おりものが臭い原因は?酸っぱい匂いは病気?臭うときの対策は?

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人には言いにくい体の悩みはいろいろありますが、おりものもそんな悩みの一つ。特におりものの匂いについては恥ずかしくてなかなか人に相談できない、という女性も多いようです。そこで今回はおりものが臭い原因や臭うときの対策、酸っぱい匂いは病気なのか、悪臭と病気の関係性などをご説明します。

おりものって何?

そもそも「おりもの」とは、腟や子宮頸管からのさまざまな分泌液と、腟壁の古い細胞が混ざり合った液体のことをいいます。健康的な女性であれば、おりものが分泌されることが普通で、主に以下2つの役割を担っています。

細菌の繁殖を防ぐ

粘り気のあるおりもので、細菌が外部から侵入することを防ぎ、腟内での繁殖も抑えます。

受精のサポート

特に排卵日付近になると子宮頸管で分泌される頸管粘液の量が増え、精子が子宮内にスムーズに進めるようになります。卵子まで到達する確率が上昇し、受精がサポートされます。

おりものに酸っぱい匂いがあるのは正常なの?

おりものは生理周期によって色や状態が変化しますが、その匂いも同様に変化しています。無臭の期間もありますが、基本的には酸っぱい匂いがするのも正常で、これはおりものの役割と関係しています。

排卵が近づくとエストロゲンの量が増え、頸管粘液の量も増加します。この時期のおりものは、頸管粘液によって透明で伸びのある液体となり、精子が子宮内に入りやすくなって、受精の確率が高まります(※1)。においもほとんど無臭です。

逆に、排卵後はプロゲステロンの分泌量が増えることで頸管粘液が減ります。弱アルカリ性の頸管粘液が減るため、おりものは酸性の状態になり、細菌などから腟内を守ります(※2,3)。

おりものが酸性の状態になると酸っぱい匂いがするため、特に生理前のおりものからは酸っぱい匂いがするようになるのです。

おりものが臭い原因は?

おりもの自体の酸っぱい匂いは不快感があるほどのものではありませんが、まれに不快な匂いがするときがあります。「魚が腐ったような匂い」「生臭い」「脇汗を放置した後のような匂い」など表現はさまざまですが、この場合、陰部で雑菌が繁殖している可能性があります。

脇や足の裏などと同じように、汗や汚れが溜まる部位は雑菌が繁殖しやすく、不快な匂いがありますよね。陰部も同じで、雑菌が繁殖すると不快な匂いが現れるのです。

陰部を不衛生にしていると、雑菌が繁殖します。特に高温多湿な時期は雑菌にとって居心地の良い環境です。

ただ、陰部を衛生的に保とうとして洗いすぎるのも要注意です。必要なおりものまで流されて、細菌の侵入や繁殖を防ぐ自浄作用が低下する恐れがあります。

またストレスや体調不良でおりものがうまく分泌されず、腟内の自浄作用が低下して、雑菌が繁殖しやすくなる場合もあります。

おりものが臭い!病気の可能性がある?

おりものの酸っぱい匂いは、基本的に治療が必要なものではありません。しかし、魚が腐ったようなツンとした匂いや腐敗臭といった、顔を背けたくなるような悪臭が出ている場合は、性感染症の可能性もあるため、注意が必要です。

おりものが悪臭を放つようになる病気はいくつかありますが、「細菌性腟症」や「淋菌感染症」、「トリコモナス腟炎」が代表的です。こうした病気に感染している場合、おりものの悪臭以外に色や状態が変化します。

また、放っておくと不妊の原因になることもあるので、少しでも可能性があるときは一度婦人科できちんとした検査を受けるようにしましょう。

悪臭があり、灰色で粘り気の少ないおりもの

灰色っぽく、サラサラとしたおりもので悪臭がする場合は、細菌性腟症の可能性があるので、婦人科を受診しましょう。特に症状がないことがほとんどですが、腟炎や子宮頸管炎になる前に腟剤で治療することが大切です。

悪臭があり、黄緑色の膿のようなおりもの

黄緑がかった膿みのようなおりもので悪臭がする場合は、淋菌感染症の可能性があります。放置すると不妊を引き起こす恐れがあるので、早めに病院を受診しましょう。

悪臭を発し、黄色・淡い灰色で泡だったおりもの

黄色や淡い灰色で泡だったおりものがみられたときは、トリコモナス原虫に感染して起こる、トリコモナス腟炎の可能性があります。おりものが悪臭を放ち、外陰部には腫れや痛み、かゆみ、ただれが見られることもあります。

おりものが臭いときの対策は?

おりものが臭いと感じるときはどうすれば良いのでしょうか?以下に、おりものが臭くなるのを防ぐための対策をご紹介します。

  • 疲れやストレスを溜めず、免疫力を高める
  • コットンやシルクなど、通気性のよい下着をつける
  • おりもの用のシートや生理用ナプキンをこまめに取り替える
  • お風呂で洗いすぎず、刺激の少ないデリケートゾーン専用の石鹸を使う

おりものの自浄作用を維持するために、無理をしないように心がけ、陰部を清潔な状態に保ちましょう。生活習慣を改めるだけでも、おりものの匂いの改善が期待できます。

おりものが臭いかどうかをチェックして体を守ろう

おりものの匂いは生理周期によっても変化しますが、体調の影響を大きく受けます。酸っぱい匂いは生理前によく感じることですが、悪臭は病気の可能性もあります。おりものは、いわば健康のバロメーターなのです。

こうしたおりものの変化に気づくために、日頃からおりものの状態をチェックしておきましょう。特に20代~30代にかけてはエストロゲンの分泌量が多く、おりものの分泌量が多い年代でもあり、放っておくと臭いにおいを発しやすくなります。

日ごろの習慣で対策をしながらも、何か異変を感じたときは早めに婦人科を受診してくださいね。おりものは排卵日や妊娠兆候も教えてくれる、女性にとって大切な存在です。自分の体を守ることだけでなく、妊活にもつながりますよ。

監修医師:産婦人科医 間瀬徳光先生


2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行っている。IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)として、母乳育児のサポートにも力を注いでいる。

※1 株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版』p.22,79
※2 日本産科婦人科学会「1.内分泌・不妊検査法」N-23
※3 日本産科婦人科学会「1.女性生殖器の解剖」

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