遺伝?おしゃぶりは?歯科医が「赤ちゃんの歯並び」でよく受ける質問

赤ちゃんの乳歯が生えてくると、気になることの一つに歯並びがあります。ニコリと笑ったときに歯並びがガタガタしているより、きれいに整った歯並びのほうが心象もいいですよね。

そこで、歯医者さんが「赤ちゃんの歯並び」についてママからよく聞かれる質問について教えてもらいました。

赤ちゃんの乳歯で気になることは?

赤ちゃんの歯で気になること

「ninaru baby」で赤ちゃんの乳歯についてアンケート(※)をとったところ、虫歯歯並びへの関心が圧倒的に高いことがわかりました。

最近、うつ伏せ寝や口呼吸、頬杖が歯並びや噛み合わせに影響を与えることもわかり(※1)、赤ちゃんの癖や生活習慣を見直すママも多いようです。

具体的に、どのようなことを気にしているママが多いのでしょうか。

《赤ちゃんの歯並びQ.1》
「赤ちゃんの歯並びは遺伝しますか?」

親子3世代 赤ちゃん ママ ばあば

ゆんママ

ゆんママ

私は歯並びが悪いことがコンプレックスで、視線を感じると口元を手で隠してしまうこともあります。

子供にはそのような思いをさせたくないのですが、私の歯並びは子供に遺伝してしまうのでしょうか?

また、矯正をするとしたら、いつ頃からするのがよいのでしょうか?

茂山医師

茂山医師

遺伝だけでなく、癖も影響します

歯の大きさや顎の大きさは、遺伝の要素もあります。そのため、ママやパパの歯並びが悪いと、赤ちゃんも同じような歯並びになる可能性は高くなります。

ですが、歯並びは遺伝だけでなく、指しゃぶりや口呼吸、うつぶせ寝などの癖によるものもあります。

食事のときに唇を閉じてしっかり噛むこと、姿勢を正すこと、仰向けで寝ることなど、生活習慣を改善することで歯並びやかみ合わせの異常を予防できることもあります。1歳ごろから意識してみるといいですね。

矯正の開始時期ですが、「受け口」は早ければ早い方がいいとされ、3歳ごろから治療を開始します。歯が重なって生える「叢生(そうせい)」の場合は、5歳〜9歳の間に顎を広げる治療を行えると効果的です。

歯の重なり具合が小さい場合、12歳ぐらいまで待って矯正を始めるケースもあります。子供の歯の状態によって開始時期が異なるので、「歯並びがおかしい」と思ったら、早めに受診しましょう。

矯正医に相談しておくと、開始時期はまだ先にしても、時期を逃すことなく治療できるので安心ですよ。

《赤ちゃんの歯並びQ.2》
「おしゃぶりは歯並びを悪くしますか?

赤ちゃん おしゃぶり

もったんママ

もったんママ

おしゃぶりをすると安心感を覚えるのか、うちの子はグズグズしているときやねんねするとき、おしゃぶりが欠かせません。

先日、義母に「おしゃぶりをしていると歯並びが悪くなる。今すぐやめさせなさい」と言われてしまいました。ママ友からも、歯並びを気にして指しゃぶりをやめさせた話を聞いたことがあります。

おしゃぶりをしていると、歯並びが悪くなってしまうのでしょうか?

茂山医師

茂山医師

おしゃぶりは2歳半には卒業しましょう

乳歯の奥歯(乳臼歯)が生え揃う2歳半〜3歳過ぎまでおしゃぶりを使っていると、以下を引き起こす可能性が高くなることがわかっています。

「開咬(かいこう)」:上の歯と下の歯の間に隙間ができること
「交叉咬合(こうさこうごう)」:奥歯の噛み合わせがズレること
「出っ歯」

他にも、正しく発音ができない、上顎がめくれる、顎の発達が遅れる、口呼吸になりやすい、口を開けたまま食べるようになりやすいといった、歯並び以外の影響も懸念されます。実際に、そういった子供も診ています。

そのため、日本小児歯科学会では1歳を過ぎたらおしゃぶりを常時は使わないこと、2歳半になったらおしゃぶりをやめるように促すことを推奨しています。

指しゃぶりは、今は様子を見ましょう

指しゃぶりをすることで、不安や緊張を解消できる赤ちゃんもいます。そのため、生活環境・心理的状態を重視して、指しゃぶりは無理には止めさせなくてよいという意見が一般的です。

ただし、口腔機能(噛む、飲み込む、喋る)を健全に発達させるためにも、4~5歳を過ぎても指しゃぶりをしている場合は、指導をした方がよいという意見が多くなります。

4歳以下でも、指しゃぶりが習慣化する危険がある子供に対しては、指導する必要があると言われています。

《赤ちゃんの歯並びQ.3》
「乳歯がすきっ歯で歯並びが気になります」

赤ちゃん すきっ歯

るんママ

るんママ

うちの娘は前歯がすきっ歯です。通りすがりの人にも「あら、すきっ歯ね」と言われてしまい、それ以来、よその赤ちゃんを見かけると歯並びをチェックしてしまいます。

夫には「永久歯はひと周り大きいんだから、すき間は埋まるよ」と言われましたが、女の子なのでとっても気になります。永久歯もこのまますきっ歯の状態で生えてくるのでしょうか?

茂山医師

茂山医師

永久歯がきれいに生えやすいので安心を

乳歯はどこかの歯と歯の間に隙間があることが一般的で、全ての歯がすきっ歯ということもよくあります。

これは、パパの言うとおり、乳歯よりも大きな永久歯が生えるためのスペースです。この隙間があるおかげで、永久歯がきれいに生えやすいと言えます。

歯と歯の間に食べかすが詰まりやすい状態なので、糸ようじ(フロス)を使ったり、歯と歯の間に沿って平行に歯ブラシを動かすなどして汚れを取るようにしてくださいね。

《赤ちゃんの歯並びQ.4》
「乳歯の虫歯は歯並びに影響しますか?」

ドーナツ

匿名ママ

匿名ママ

うちの子は1歳6ヶ月なのですが、前歯2本に虫歯ができているようです。

小学生のお子さんがいるママ友から、「うちの子はもうすぐ乳歯が抜けて永久歯に生え変わるから、虫歯の治療はしない」と聞きました。

こんなに小さなうちから虫歯の治療をするのはかわいそうなので、このまま永久歯に生え変わるのを待ちたいと思っています。ただ、乳歯が虫歯だと、永久歯の歯並びに影響するという話も聞きました。

茂山医師

茂山医師

乳歯は虫歯の進行が早いのが特徴です

乳歯は永久歯に比べて薄く、酸への耐性や強度が弱いのが特徴です。そのため、虫歯を放っておくと、すぐに神経まで虫歯が進行してしまいます。

お友達のお子さんのような、永久歯に生え変わる寸前で、乳歯の根がグラグラしているような場合は経過を見ることがあります。

永久歯への生え変わりは、前歯で平均6歳から。それまでの期間を考えると、お子さんの虫歯はほぼ確実に神経に達してしまうと思います。

乳歯の虫歯は永久歯に大きく影響します

虫歯が進行すると、強い痛みが生じます。また、乳歯が虫歯で崩壊すると永久歯の生えるスペースが減り、歯並びが悪くなる可能性が高まります。

また、虫歯によって乳歯の神経が壊死したり、炎症を起こしたりすると、骨の中で作られる永久歯に影響します。変色した永久歯が生えたり、虫歯になりやすい永久歯ができてしまう可能性があるため、早めの治療をお勧めします。

《赤ちゃんの歯並びQ.5》
「乳歯の歯並びが悪いので心配です…」

赤ちゃん 歯並び

りくママ

りくママ

生後8ヶ月で、やっと下の前歯が生えてきました。

白いものがうっすら見えたときは気づかなかったのですが、ある日、前歯が「ハの字」 に生えていることに気づきました。このまま、歯並び悪い子に育ってしまったら…と不安です。

茂山医師

茂山医師

程度が軽ければ問題ありません

歯の生える時期としては、問題ありませんね。乳歯がねじれたり、曲がった位置に生えていても、程度が軽ければ問題ありません。そのまま様子を見てください。

乳歯を支える骨には、適度に押されたり引っ張られたりすることで引っ込んだり、出っ張ったりする性質があります。そのため、頬や唇、舌の筋肉によって、乳歯が適正な位置へ誘導されることがよくあります。

乳歯が極端に横向きに生えていたり、変形した歯が生えてきたりした場合は受診してください。

歯並びが気になったら小児歯科に相談しよう

赤ちゃんに初めて生えてきた歯がねじれていたり、曲がっているとママは気になりますよね。

また、おしゃぶりや指しゃぶりは気になるかもしれませんが、赤ちゃんにとって安心できる大切な行為でもあります。

無理にやめさせたり怒ったりせず、声かけをしたり、興味をほかにそらすなどして自然と卒業できるといいですね。

乳歯の歯並びが気になったら、小児歯科に相談するのも一つの方法です。赤ちゃんや子供にやさしく接してくれる先生やスタッフがいるので、安心して通えますよ。

※アンケート概要
実施期間:2018年11月25日~2018年12月27日
調査対象:「ninaru baby」利用者
有効回答数:183件
収集方法:Webアンケート

取材協力:茂山 久夫さん 歯科医師/茂山歯科医院士


九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Comprehensive Dentistry)、日本顎咬合学会、北九州歯学研究会若手会に所属。「一生を通じて付き合える歯医者さん」をコンセプトに、本人以上に患者さんのお口を分かっている、そんな信頼できる歯科医師を目指しています。大切な歯を守る第一歩は子どもの頃に作られる習慣と正しい知識です。子育てのお悩みの解消に少しでも貢献できたらと思っております。

子育ての情報が満載の無料育児アプリ「ninaru baby」

ninaru baby

記事一覧に戻る