乳児湿疹は母乳が原因のこともある?皮膚科医に聞いた真実とケア方法

赤ちゃんの肌にできる乳児湿疹。「ちゃんと肌のケアしていたはずなのに、どうして乳児湿疹になってしまったのだろう…」と悩むママは多いと思います。

そこに追い打ちをかけるように言われるのが、「乳児湿疹の原因は母乳だ」という言葉。

果たして、そんなことはあるのでしょうか?そこで今回は、皮膚科専門医で、子どもの皮膚に詳しい「恵比寿mamaクリニック」の加藤円香先生に、乳児湿疹の原因と母乳との関係、正しいケア方法についてお話を伺いました。

そもそも乳児湿疹とは?

乳児湿疹とは、新生児ニキビや乳児脂漏性湿疹など乳児期にできる湿疹の総称です。

医学的には明確な定義はされていませんが、加藤先生によれば、アトピー性皮膚炎とそれ以外の乳児期の湿疹とを区別するための用語として使われることが一般的なようです。

乳児湿疹の原因が母乳、ってどういうこと?

乳児湿疹の原因として、なぜか母乳が挙げられることがあります。

これは、母乳を与えているママが乳製品や脂質の多いものなどを過剰に食べることで母乳の質が悪くなり、その母乳を飲むことで乳児湿疹ができてしまう、という考え方からきているようです。

しかし、赤ちゃんが飲んだ母乳の成分が原因で、乳児湿疹になることはあるのでしょうか?

Q. 「乳児湿疹の原因は母乳」という噂は本当なのでしょうか?

A. ママの食べたものによって母乳の質が悪くなり、その母乳を飲むことで乳児湿疹ができるということはありません。

しかし、赤ちゃんが母乳を吐いてしまったり、口からこぼれてしまったりして、母乳が赤ちゃんの皮膚につくことが乳児湿疹の原因となることはあります。

母乳に含まれる微量のタンパク質や赤ちゃん自身のよだれが赤ちゃんの肌を刺激して、乳児湿疹やよだれかぶれになることがあるんです。

ですので、大切なのは赤ちゃんの皮膚に母乳がつかないようにしたり、肌をきれいにしてあげたりすることですよ。

母乳が原因でないなら、乳児湿疹の本当の原因は?

恵比寿mamaクリニック 加藤円香先生

では一体、乳児湿疹が起きる原因はなんなのでしょうか?加藤先生によると、主に以下の3つが挙げられるとのことです。

皮脂の増加

赤ちゃんが乳児湿疹になりやすい原因の1つは、新生児から生後3ヶ月頃までは肌の皮脂の分泌が盛んなことです。

分泌された皮脂が毛穴に詰まることで、新生児ニキビや乳児脂漏性湿疹などを引き起こしてしまいます。

肌の乾燥

大人に比べて、赤ちゃんの皮膚のターンオーバーのサイクルは速く、肌の水分を溜め込む角層がきちんとできる前に次の皮膚に入れ替わってしまいます。そのため、赤ちゃんの肌は乾燥しやすい状態です。

肌が乾燥していると外からの刺激を受けやすくなるため、乳児湿疹ができてしまいます。

母乳や離乳食、よだれによる刺激

赤ちゃんの皮膚はとても薄く、外部からの刺激に敏感です。

母乳やミルク、離乳食などが口からこぼれて肌についてしまうと、それが刺激となって乳児湿疹を引き起こしてしまいます。

また、離乳食が始まると多くなるよだれも、赤ちゃんの肌の刺激となります。

乳児湿疹のケアで大切なことは?

乳児湿疹ができてしまったときのスキンケアで大切なのは、「優しく洗い、保湿し、保護すること」。その方法を加藤先生に詳しく伺いました。

やさしく洗う

弱酸性の石鹸・ベビーソープをふかふかに泡だてて洗います。このときガーゼなどは使わず、手でやさしく洗ってあげることが大切です。

保湿をする

お風呂から出たらなるべく5分以内に、赤ちゃんの肌を保湿してあげましょう。ベビーローションなどの保湿剤は、赤ちゃんの肌がテカテカになるまで塗ってあげて大丈夫です。

また、お風呂上がりだけでなく、朝出かける前に保湿をしてあげることも大切です。外出すると肌は刺激を受けることが多いので、保湿をすることで外的刺激から肌を守ってあげると良いでしょう。

保護をする

乳児湿疹のケアにおいては、実は「肌を保護する」ことも大切。

離乳食や授乳の前後に顔にワセリンやクリームを塗って保護してあげることで、食事による刺激から肌を守ってあげましょう。

乳児湿疹は予防できるの?

乳児湿疹は、基本的に前述のようなスキンケアをすることで予防できるとのこと。日頃から、こまめなスキンケアをしてあげることが大切ですよ。

ただ、どんなにケアをしていても乳児湿疹ができてしまうことはあります。スキンケアを続けていても、皮膚がジュクジュクしたり、赤ちゃんが手でひっかいたりしてしまうようであれば、早めに病院へ行くことをおすすめします。

乳児湿疹は正しいスキンケアで治そう

乳児湿疹の原因が「母乳の質」であることはありません。また、ママの妊娠中の生活が影響することもないので、赤ちゃんに乳児湿疹ができてしまっても、自分のことを責めたり落ち込んだりしないでください。

重要なのは、正しい方法でのスキンケアです。スキンケアは赤ちゃんとのコミュニケーションの時間でもあるので、こまめにケアしてあげてくださいね。

取材協力

恵比寿mamaクリニック
恵比寿にある、ママと家族のための漢方&皮膚科クリニック。一般皮膚科だけでなく、小児皮膚科や美容皮膚科など、肌に関する悩みの総合的なサポートを行なう。

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