「子どもにはしっかり朝ごはんを食べさせた方がいい」と思ってはいても、毎日何を食べさせたらいいのか悩みますよね。朝の忙しい時間に、それほど手間をかけることもできず、いつもパンやおにぎりだけで済ませてしまうこともあるかもしれません。そこで今回は、子どもの朝ごはんについて、必要な栄養素や使いたい食材、料理の例をご紹介します。毎日の献立づくりの参考にしてみてくださいね。
子どもに朝ごはんが不可欠な理由は?
私たちの脳は、「ブドウ糖」を唯一のエネルギー源として動いており、ブドウ糖が不足すると、脳の働きと活力が低下してしまいます。
ブドウ糖は夜、寝ているあいだに使われてしまい、朝起きたときには足りない状態に。子どもの学習能力を上げるためには、脳が活発に動く午前中に脳をいきいきと動かし、やる気や集中力を高めることが大切なので、朝ごはんをしっかり食べて、ブドウ糖を補ってあげることが重要なのです。しっかりと噛んで食べることで脳の血流が良くなり、学習効果のアップにもつながりますよ(※1)。
朝ごはんを食べずに学校へ行くと、注意散漫になり、記憶力が低下するといわれています。また、空腹でお腹が鳴るのを気にしていては、授業に集中できない可能性もあります。子どもたちが一日を元気に過ごすためにも、毎朝きちんと朝ごはんを食べさせてあげたいですね。
子どもの朝ごはんで摂りたい栄養素と食材は?
朝ごはんの献立を考えるときに役立つのが「6つの基礎食品群」と呼ばれるものです(※2)。これは食べ物を栄養素ごとに6つの品目に分類したもので、それぞれの群からまんべんなく食材を選び取ることで、栄養バランスの取れた食事になりますよ。
「からだをつくる」栄養素
● 第1群:魚介、肉、卵、豆
働き:タンパク質が豊富で、筋肉や血液をつくります。
食材:魚、かまぼこ、ちくわ、牛肉、豚肉、鶏肉、ハム・ソーセージ、鶏卵、うずら卵、豆腐、納豆、厚揚げなど
● 第2群:牛乳、乳製品、小魚、海藻類
働き:カルシウムが多く、骨や歯をつくります。
食材:牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、しらす干し、わかめ、こんぶ、のり、など
「からだの調子をととのえる」栄養素
● 第3群:緑黄色野菜
働き:色の濃い野菜で、カロテンが豊富。皮膚や粘膜を保護したり、体の機能を調節したりする働きがあります。
食材:ほうれん草、トマト、かぼちゃ、にんじんなど
● 第4群:淡色野菜、果物
働き:ビタミンCや食物繊維を多く含み、免疫力を高めます。
食材:キャベツ、だいこん、りんご、バナナ、みかん、いちごなど
「エネルギーを生む」栄養素
● 第5群:穀類、いも
働き:体内ですばやくエネルギーに変わります。
食材:ごはん、パン、うどん、そば、スパゲッティ、さつまいも、じゃがいもなど
● 第6群:油脂
働き:脂質が多く、体のエネルギーになります。
食材:サラダ油、バターなど
子どもの朝ごはんにぴったりの料理とは?
農林水産省では、先述の「6つの基礎食品群」のような栄養素の観点に加えて、「何を」「どれだけ」食べれば偏りのない食事になるのかを、「料理」の組み合わせとして示した「食事バランスガイド」の活用も推奨しています(※3)。
その食事バランスガイドを参考に、朝ごはんで取り入れたい料理の例をご紹介します。
主食
ごはん(米)、パン、めん類など、主に炭水化物の供給源となります。特にごはんは腹持ちが良く、ブドウ糖を長時間にわたり安定して脳に送ることができるので、朝ごはんに最適ですよ。
おかかごはんや卵かけごはんにすると、記憶力を高めるといわれる栄養素コリンや、集中力を高める効果を持つ必須アミノ酸のリジンも一緒に摂れるのでおすすめです(※1)。
子どもが食べやすいようにおにぎりにするのも良いですね。時間がない朝は、トーストやシリアルを代わりに食べるのもいいでしょう。
副菜
野菜、きのこ、いも、海藻を使った副菜で、ビタミンやミネラル、日本人に不足しがちといわれる食物繊維を補給しましょう。
夕食の残りの味噌汁やスープを朝ごはんのときに出すと手軽ですね。ほうれん草を茹でてお浸しにしたり、ブロッコリーを蒸したりするのもおすすめです。時間がなければ、トマトやきゅうりを切るだけ、レタスを洗ってちぎるだけでも副菜になりますよ。
主菜
肉、魚、卵、大豆を使った料理で、タンパク質を補給しましょう。
和食なら、焼き魚、卵焼き、冷や奴はいかがでしょうか。納豆をごはんにかけて食べるのも良いですね。洋食なら目玉焼きやハムエッグ、またウィンナーを茹でてホットドックにすると、子供も食べやすいですよ。
牛乳・乳製品
牛乳や乳製品からカルシウムを摂取するのも重要です。
主食・副菜・主菜に加えて、牛乳をグラス1杯飲んだり、ヨーグルトを食べたりすると朝ごはんの食事バランスがさらに良くなります。ヨーグルトに多く含まれる乳酸菌は、腸内環境を整えてくれる働きもありますよ。
果物
主にビタミンCやカリウムの供給源となるのが、果物です。時間のない朝も、トーストにみかんを1個添えるなど工夫したいところ。特に汗をかきやすくカリウムが不足しがちな夏場は、バナナを切ってヨーグルトに混ぜて食べると、夏バテ防止に一役買ってくれますよ。
子どもの朝ごはんは栄養バランスが大切
子どもの身支度を整えたり、洗濯や洗い物をしたりと、ママにとっては何かと慌ただしい朝ですが、今回ご紹介した「6つの基礎食品群」や「食事バランスガイド」を参考に、朝ごはんについて見直してみませんか?
毎日のことなので凝った献立を考える必要はありません。前の日の夕食を作るついでに野菜や卵を茹でておいたり、洗ってすぐに食べられるミニトマトを加えたりすることで、栄養をプラスできますよ。
子どもが元気に一日を過ごせるように、愛情を込めて朝ごはんを作ってあげたいですね。
※1 農林水産省「朝ごはんを食べないと?」
※2 新星出版社『栄養成分の事典』 pp.12-13,165
※3 農林水産省「栄養素と食事バランスガイドとの関係」