赤ちゃんの中耳炎の症状と見分ける方法!1歳で手術が必要なこともあるの?

風邪をこじらせて中耳炎を発症する新生児・赤ちゃんは多いのをご存知でしょうか。赤ちゃんは喋ることができないので、なるべく早く気づいてあげたいですよね。

そこで今回は、新生児・赤ちゃんの中耳炎について、症状や原因、予防法などをご紹介します。

そもそも中耳炎とは?どんな症状が出る?

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中耳炎とは、細菌やウイルスが中耳に侵入し、炎症を起こしている状態のことです。

耳の構造には外耳、中耳、内耳という3つの部分があり、中耳は鼓室という空気で満たされた空間と鼓膜でできています。

子どもの場合は、急性中耳炎と滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)にかかりやすいです。

急性中耳炎は、ウイルス感染など風邪によって起きることが多く、短期間で治る傾向にあります。

滲出性中耳炎は、風邪や急性中耳炎、副鼻腔炎などのあとに中耳に炎症が起こって、鼓膜の内側に液体が溜まることで起こります。

滲出性中耳炎は発熱や痛みはほとんどなく、聴力が低下する、耳が詰まった感じするという自覚症状しかないことが多いため、早期発見が難しい病気です。

なかなか治りにくく、ときには治療に数年を要することもあります。

赤ちゃん・新生児が中耳炎になる原因は?1歳でなりやすい?

中耳炎は特に子どもに起こりやすく、年齢が上がるにつれて次第にかかりにくくなります。

急性中耳炎は1歳までに約75%、滲出性中耳炎は1歳までに50%以上がかかるとされています(※2)。

赤ちゃんや新生児が中耳炎になりやすい原因は主に以下の2つがあります。

耳の構造

赤ちゃんや新生児は耳と鼻をつなぐ管が大人より短く、水平に近い構造になっているため、中耳にウイルスや菌が入りやすいのです。

免疫力

赤ちゃんや新生児は免疫力が低いので、風邪をこじらせやすく、中耳炎になりやすくなっています。

生まれた直後はまだママから受け継いだ免疫力が効いて病気にかかりにくいものの、特に生後6ヶ月頃にはその効力も切れて、風邪などを引きやすくなります。

赤ちゃん・新生児の中耳炎を見分ける方法は?

赤ちゃんや新生児はしゃべれないので、「耳の奥が痛い」「物音が聞こえにくくなった」「耳が塞がった感じがする」などとママ・パパに伝えることができず、中耳炎にかかったのかを判断するのが困難です。

発熱や耳だれといった分かりやすい症状が出なくても、鼻水や咳があり泣き止まない、耳を引っ張る、耳をいじるなどの行動があれば、中耳炎の可能性を疑いましょう。

風邪が治ってきたのに、おむつを替えても、授乳をしても、しっかり睡眠をとってもずっとグズって泣き続けているときは一度小児科や耳鼻科に相談してみると良いかもしれません。

赤ちゃん・新生児の中耳炎はどうやって診断するの?

中耳炎の診断は、基本的に問診と視診で行われます。赤ちゃん・新生児の様子を具体的に医師に伝えられるよう、どんな症状が出ているかメモをしておきましょう。

耳鏡という器具で赤ちゃんの耳の中を見て、鼓膜が赤くなっていないか、水が溜まっていないか、耳漏がないかどうかなどをチェックして診断されます。

赤ちゃん・新生児の中耳炎の治療法は?1歳でも薬や手術が必要なの?

急性中耳炎・滲出性中耳炎の治療は、基本的に薬を使って行われます。

症状が軽い場合、医師が処方した解熱鎮痛薬だけで治ることも多いですが、炎症が強い場合は抗生物質などで治療します。

5日前後処方されるので、医師の指示通りしっかりと使用しましょう。

このほかにも、滲出性中耳炎の治療には、鼓膜を切って膿や液体を出したり、小さなチューブを入れて液体を出したりする治療方法もあります。鼓膜は切っても再生するので、音が聴こえなくなるということはありません。

どのような治療を行うかは赤ちゃんの月齢や症状によって変わります。

症状が軽くなってきたからといって中断してしまうと、なかなか治らなかったり、急性中耳炎が滲出性中耳炎になったりする恐れがあります。しっかりと最後まで治療を受けてくださいね。

新生児は中耳炎で入院することもある?

治療を行ってもなかなか中耳炎が治らないことがあり、入院する赤ちゃんもいます。

特に新生児は、中耳炎の有無に関わらず、発熱をしていたら敗血症・髄膜炎など大きな病気が隠れている可能性があるため、入院となることも多いです。

新生児の入院の場合、病院によってはママやパパが一緒に泊まれることもあります。入院期間は症状や治療の効き具合などによって変わるので、詳しくは病院に確認してみてくださいね。

赤ちゃん・新生児の中耳炎の予防法は?

中耳炎は風邪を引いたときに起きやすいので、風邪を予防することが大切です。

赤ちゃん・新生児は体温調節が難しいため、エアコンによる室内の温度調整や着ているものには常に注意を払ってくださいね。

風邪の症状があれば、小児科や耳鼻科を受診しましょう。もし風邪を引いて鼻水が出ているようであれば、1日数回こまめに吸ってあげて予防をしましょう。

また、母乳やミルクをあげたあとすぐに横に寝かせてしまうと、胃酸が逆流して中耳炎につながることがあります。ゲップをさせて落ち着いてから寝かせてあげるようにしてくださいね。

赤ちゃん・新生児の中耳炎は風邪予防から

急性中耳炎がなかなか治らず、滲出性中耳炎に移行すると、赤ちゃん・新生児の耳の聞こえが悪くなることがあります。赤ちゃん・新生児の健康のためにも、まずは風邪予防をしましょう。

もし風邪を引いてしまったら、すぐに小児科か耳鼻科を受診して中耳炎を予防してあげてくださいね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。


※1 日本小児耳鼻咽喉科学会「小児急性中耳炎診療ガイドライン 2018年版」
※2 日本耳科学会「小児滲出性中耳炎診療ガイドラインについて 一般の方・おうちの方へ」

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