妊娠が進むにつれてお腹はどんどん大きくなり、妊婦さんの体にも負荷がかかるようになります。「腰が痛くて歩きにくい」「痛みで起きることがある」という妊婦さんもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠中の腰痛対策に効くストレッチをご紹介します。
腰痛に効くストレッチをするときの注意点は?
妊婦さんがストレッチをするときは、お腹の赤ちゃんを圧迫しないように注意する必要があります。
無理な前屈やうつ伏せになるストレッチ、腹筋など、お腹を締めつけたり負荷がかかったりするストレッチは避けてください。
また、お腹が張っている、痛い、不正出血があるなど、体調が優れないときはストレッチを控えましょう。妊娠中は血圧も変動しやすいので、不調を感じたらすぐにストレッチを中断してくださいね。
ストレッチを行うのは、体調が良いときに1日1回からはじめて、習慣化していくようにしましょう。筋肉がほぐれている入浴後を中心にストレッチを行うと、より効果が発揮されやすいのでおすすめですよ。
妊婦の腰痛に効くストレッチとは?
ここでは、妊婦さんの腰痛に効くストレッチ方法をご紹介します。
妊娠中は運動ができないと思われがちですが、体調や妊娠の経過をみながら、妊婦さん向けのストレッチなら行うことができます。
以下のストレッチは自宅で簡単にできるものばかりです。お腹の張りに気をつけながら、無理のない程度でストレッチを実践してみましょう。
1. 猫のポーズ
場所を選ばずに、手軽にできるストレッチです。妊娠後期に悩まされる、便秘解消も期待できます。
- 両足の膝を肩幅に、両手は両肩の真下にくるような姿勢で四つん這いになる
- 息を吐きながら、おへそを見るようにして背中を丸めていく
- ゆっくり、深く呼吸をしながら背中を気持ちよい所まで反らす
- 2~3の動作を2、3回繰り返す
2. 椅子を使ったストレッチ
仕事の休憩時間などにもできる、手軽なストレッチです。
椅子は誰かに座ってもらったり、固定された棚などを使うなどして安全を確認してからストレッチをするようにしてください。
- 足と手を肩幅くらいに広げ、椅子の背もたれを手でしっかりとつかむ
- 肩が椅子の背もたれと同じ高さになるまで、腕を伸ばしながら頭を下げる。立ち位置が椅子と近いときは、少し後ろにずらす
- 頭の先からお尻にかけて背もたれから一直線になっている状態で、息を吐きながら背骨を伸ばす
- 2~3の動作を3回ほど繰り返す
3. 腰のツイストストレッチ
骨盤まわり全体に効果があるとされているストレッチです。
少し痛みを感じる場合はすぐにやめましょう。無理のない範囲でストレッチするようにしてください。
- 仰向けに寝て、膝を軽く立てる
- 膝をつけたまま、足を右側にゆっくり倒す。このとき、上半身はなるべくに傾かないようにする
- 足を元の位置に戻し、同様にして足を左側に倒す
- 2〜3の動作を3回ほど繰り返したら、足を元の位置に戻して腹式呼吸でリラックスする
4. 腰まわしストレッチ
仙骨まわりに効果があるとされているストレッチです。分娩がスムーズになる手助けをしてくれますよ。
- 足を肩幅に広げて立つ
- 肩の力を抜いて、腰に両手をあてる
- 骨盤の向きを正面に固定したまま、水平に腰を回す(左右5回ずつ)
生活の中でできる腰痛対策とは?
妊娠中に腰が痛くなったときは、ご紹介したストレッチを試すだけでなく、日常生活で姿勢を正したり、骨盤まわりをサポートしてくれるグッズを身につけたりするのも効果的ですよ。
腰が痛くなったときや、腰痛を予防する対策方法を以下にご紹介するので、参考にしてみてください。
骨盤サポートグッズを使う
妊婦帯や妊娠用のベルト・ガードルで、骨盤まわりをサポートしましょう。腰の負担が減ることで、腰痛予防や痛みを緩和することにつながります。
骨盤サポートグッズには、産後にも兼用できるものや、妊婦専用のものもあります。お腹が苦しくならず、つけやすいものを選びましょう。「トコちゃんベルト」など広く支持されているものも多いので、自分に合ったものを見つけられると良いですね。
体に負担がかかる習慣をやめる
荷物を片側の肩にかけ続けたり、足を組んで長時間座ったりしていると、体に負担がかかります。
このような習慣がある人は、正しい姿勢を取るように意識しましょう。
ストレッチは自分のペースで行おう
今回ご紹介したストレッチは、どれも短時間で手軽にできるものばかりです。体調を最優先にしつつ、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
もし痛みが強い場合は、無理せず健診のときに医師に相談するようにしてくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 日本助産学会誌「妊娠期の体重増加と腰痛発症時期との関連及び対処法」