妊婦さんはコーヒーを控えるようにと耳にした人は多いですよね。少量であれば問題ないとはいわれているものの、なぜ気をつける必要があるのでしょうか。
そこで今回は、妊婦さんが1日に飲んでいいコーヒーの量や注意点をご紹介します。
妊娠中にカフェインを控えたほうがいい理由って?
カフェインには中枢神経を興奮させる作用があり、大量に摂取すると不眠、精神興奮、震え、頻脈などを引き起こします。
胎児への影響についてまだはっきりとは分かっていませんが、妊娠中にカフェインを摂りすぎると、流産や低出生体重児のリスクを高める可能性があるという研究結果があります(※1)。
妊娠中はカフェインの影響を受けやすいともいわれており、母体と胎児の健康を守るために、妊婦さんはカフェインの摂取量を控えることが推奨されています。
妊婦はコーヒーを1日何杯まで飲める?
それでは妊婦さんは、1日にコーヒーを何杯までなら飲んでもいいのでしょうか。
カフェインの効果は体質によって異なり、この量であれば安全という線引きをするのが難しいため、日本では妊婦さんの1日のカフェイン摂取上限量は定められていません。
上限量を設けている国や機関もありますが、推奨量には違いがあります。欧州食品安全機関や英国食品安全庁は1日200mgまで、カナダ保健省は1日300mgまでとなっています(※1)。
コーヒー1杯に含まれるカフェインは、コーヒーカップで60〜90mg、大きめのマグカップなら120〜150mgであることから、妊娠中は1日にコーヒー1〜2杯程度にとどめておくと良いかもしれません(※2)。
コーヒー以外の飲み物も注意したほうがいいの?
カフェインはコーヒー以外の飲み物にも含まれています。
紅茶や緑茶、ウーロン茶、栄養ドリンクなどにもカフェインが多く含まれているため、コーヒーを2杯飲んだ日はこれらの飲み物を控えると安心です。
緑茶は100mlあたり20mg、紅茶は100mlあたり30mgのカフェインを含んでいるので、緑茶ならマグカップで1日4〜5杯、紅茶ならマグカップで1日3〜4杯程度にしましょう(※2)。
妊娠中におすすめの飲み物は?
コーヒーをたくさん飲みたい妊婦さんは、ノンカフェインのコーヒーがおすすめです。
「ノンカフェイン」は原材料にカフェインを全く含まないので、カフェインを気にせずコーヒーをたくさん飲めますよ。
似たような言葉でよく耳にする「カフェインレス」や「デカフェ」はカフェインを90%以上取り除いているもので、普通のコーヒーよりは安心です。
商品の種類が多く、気軽にリラックスタイムが楽しめますよ。ただし、カフェインが全く含まれていないわけではないので、飲みすぎないように気をつけてくださいね。
妊娠中も適度にコーヒーを楽しもう
妊娠中は赤ちゃんのことも気にしなければならないので、何かと過敏になりますよね。ただ、あまり心配しすぎるとかえってストレスが増してしまうので、適量を意識しながら妊娠中もコーヒーを楽しんでくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 食品安全委員会「ファクトシート 食品中のカフェイン」
※2 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」