妊娠後期の過ごし方!出産までにしておきたい5つのこと

妊娠後期に入ると、赤ちゃんと対面できる日まであと数ヶ月。出産のときを迎えるのは楽しみでもあり、不安でもありますよね。

そこで今回は、ママにとっても赤ちゃんにとってもいいお産ができるように、妊娠後期に心がけたいことや注意点をご説明します。

妊娠後期の過ごし方が大切なの?

妊娠後期に入ると、ママのお腹はかなり重くなり、出産が近づいているという実感が湧いてきます。

大きくなった子宮で胃が圧迫され、胃もたれや胸やけが起きたり、食欲がなくなったりと、いわゆる「後期つわり」に悩まされるママもいます。また、心臓や肺などにも負担がかかるので、動悸や息切れなどが起こりやすくなる時期でもあります。

一方赤ちゃんは、内蔵などの器官や中枢神経などがほぼ完成し、エコー検査で全身の画像が映りきらないほど大きく成長しています。しかし、体の機能は未熟なので、妊娠37週以降の正期産に入るまではママのお腹のなかでしっかり育てていく必要があります。

妊娠後期になると、出産が近づいて少し油断してしまうかもしれませんが、母子ともに健康な状態で出産を終えるためには、妊娠後期の過ごし方も大切です。

次からは、元気な赤ちゃんの産声を聞くために、妊娠後期に心がけたいことを具体的に見ていきましょう。

妊娠後期の過ごし方1. 合併症に気をつける

妊娠後期になると、少し気がゆるんでしまう妊婦さんもいますが、引き続き注意が必要です。

妊娠中に特に気をつけたい合併症に「妊娠高血圧症候群」があり、これは肥満や高血圧などがリスク要因と考えられています(※1)。

妊娠高血圧症候群が重症化すると、ママと赤ちゃんの両方に危険が及ぶおそれがあります。塩分の多い食事は控え、急激に体重が増えないよう、引き続き健康的な生活を心がけてくださいね。

また、妊婦健診で血圧やたんぱく尿を調べることで早期発見できる可能性があるので、妊娠後期も必ず定期的に健診を受けることが大切です。

妊娠後期の過ごし方2. 不快症状は心配しすぎない

妊娠後期になると、大きくなった子宮が胃を圧迫するため、胃のむかつきや吐き気など、いわゆる「後期つわり」に悩まされる妊婦さんも少なくありません。

また、妊婦さんの体内を循環する血液の量が増えることで、全身に血液を送り出す心臓に負担がかかり、動悸や息切れも起こりやすくなります(※2)。

そのほか、下半身を通る大静脈が子宮に圧迫されることと、ホルモンバランスが変化して体が水分を溜めこみやすくなることによって、足のむくみがひどくなることもあります(※2)。

これらはいずれも妊娠に伴う生理的現象なので心配しすぎず、ゆったりと過ごしましょう。

あまりに症状がつらいときや、出血などの異変があるときは、かかりつけ医に相談してくださいね。

妊娠後期の過ごし方3. 安産に向けて準備する

「できるだけ安産にしたい」というのは、妊婦さんみんなに共通する願いですよね。

妊娠後期は、次の2つのことを意識して、安産に向けた準備を進めましょう。

体力をつけておく

出産は何といっても体力勝負。お腹が大きくなってくると動くのが億劫になってきますが、無理のない範囲で運動を続け、ウォーキングやスクワットなどで体力をつけておくことが大切です。

また、安産体操で産道周辺の筋肉を鍛えておくと、スムーズなお産につながるのでおすすめです。股関節や骨盤まわりをよく動かすことで、腰痛や恥骨痛などのマイナートラブルが改善されることもありますよ。

ただし、切迫早産のリスクや合併症があり、医師から安静にするよう指示を受けている妊婦さんは、必ず指示に従い、自己判断で運動したりしないようにしてくださいね。

呼吸法を練習しておく

お産のときの呼吸法を練習しておくこともおすすめです。出産当日は、陣痛の痛みや不安などで頭がいっぱいになってしまう妊婦さんも多いので、事前にイメージトレーニングしておくことで、落ち着いてお産に臨めるようになりますよ。

「ヒッヒッフー」というリズムで知られるラマーズ法や、心身をリラックスさせてお産の不安を軽減するソフロロジー式など、分娩のときに用いられる呼吸法はさまざま。

助産師外来でアドバイスを受けながら自分に合った呼吸法を見つけて、練習してみてくださいね。

妊娠後期の過ごし方4. お産の流れを把握する

陣痛が来てからあわてないために、事前にお産の流れを把握しておくことも大切です。

どのような流れでお産が進み、ママやパパがすることは何なのかなどをイメージトレーニングしておくと、いざ本番というときにも余裕を持って出産に臨むことができますよ。

立ち会い出産を予定している場合は特に、夫婦そろって分娩当日の流れを確認しておくと、心構えができるので安心です。いきみ逃しの方法など、パパにも知っておいてもらいたいですね。

妊娠後期の過ごし方5. 入院の準備

遅くとも妊娠37週の正期産の時期に入る前には、出産の入院準備を済ませておきましょう。ママ自身のものだけでなく、生まれたあとのベビー用品も必要ですよ。

思わぬタイミングで破水が起きると、その時点ですぐに入院することになります。ママが我が身ひとつで病院へ向かわなければならなくなったときも、パパがすぐ荷物を持ってこられるよう、玄関近くに入院用のバッグをまとめておくといいですね。

そのほか、入院した場合の連絡先リストや病院までの交通手段なども、余裕のあるうちにしっかりと確認しておきましょう。

妊娠後期はリラックスした過ごし方を

妊娠後期はお腹がかなり大きくなるため、思いどおりに動けず、イライラしてしまうことがあるかもしれません。また、特にはじめての出産だと、陣痛やお産の痛みなどに対する不安も重なるものです。

しかし、ストレスや不安は赤ちゃんに良い影響を与えないので、あまり考えすぎないようにしてくださいね。

妊娠後期は、生まれてくる赤ちゃんの名前を話し合ったり、お腹に向かってやさしく話しかけたりと、ワクワクしながら過ごしましょう。できるかぎりの準備を済ませたら、あとはリラックス。最後まで健康に気をつけて過ごしてくださいね。

監修専門家:助産師 佐藤 裕子

助産師 佐藤裕子さん
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助産院では、日々多くのママたちからの母乳相談や育児相談を受けています。具体的に悩みを解決でき、ここにくると安心してもらえる、そんな助産師を目指しています。

※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』pp.102-111
※2 南江堂 『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』p.56,86

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