妊娠中に歯医者で麻酔やレントゲンを受けてもいい?胎児への影響は?

妊娠してから歯の痛みに悩まされている人もいますよね。妊娠中にレントゲン撮影や麻酔が必要になる治療は受けてもいいのでしょうか。

そこで今回は、妊婦さんが歯医者さんでレントゲンや麻酔を受けていいのか、処方される薬は問題ないか、胎児に悪影響を与えることはないかなどをご説明します。

妊娠中に歯医者で治療は受けられるの?

妊娠中に虫歯や歯周病、親知らずがあった場合、歯医者で治療を受けても問題ありません。

妊娠中に歯の治療を受ける時期は、体調が安定してくる妊娠中期(妊娠16~27週)が良いとされています。

妊娠後期(妊娠28週以降)に入ってからでも治療はできますが、お腹が大きくなってきているので、治療台に仰向けで寝続けるのは大変です。

体に負担がかかるので、なるべく妊娠中期までに治療を終わらせられると良いですね。

妊娠中にレントゲン撮影をしても大丈夫?

歯医者のレントゲン撮影で浴びる放射線の量は胎児に悪影響を及ぼすほどではないため、妊娠中でも問題ありません。

日本産科婦人科学会は「50mGy(ミリグレイ)未満の被ばく量であれば安全」としています(※1)。

歯医者で受けるレントゲン撮影の被ばく量は0.01mGyを下回る量なので、お腹の赤ちゃんにも影響がありません。

また、歯医者でのレントゲン撮影は口に向けて当てるもので、お腹に直接当たるわけではないうえに、鉛のエプロンを首からかけて撮影します。

歯の治療でレントゲン撮影をすることになっても心配しすぎないでくださいね。

妊娠中に歯医者で麻酔を受けられるの?

抜歯したり歯茎を切ったりするような治療では、局所麻酔を打つこともあります。

歯の治療でよく使われる麻酔薬で、妊婦さんが受けると胎児の奇形リスクが上がるという報告はありません。

麻酔を使わずに痛みを我慢すると余計にストレスがかかって体の負担となってしまいます。大掛かりな処置の際は、無理せず麻酔薬を使ってもらいましょう。

ただし、以前麻酔を打ったときに体調を崩したことがある人は、妊娠中でも同じ危険があります。治療前に必ず歯科医に伝えてくださいね。

妊娠中の歯の治療後に痛み止めを飲んでもいいの?

親知らずを抜歯するなど大掛かりな歯の治療を行った場合には、抗生物質や痛み止めの薬が処方されることがほとんどです。

抗生物質は妊娠中でも飲めるものを処方されるので、細菌の感染を予防するためにもしっかりと飲み切りましょう。

鎮痛薬はアセトアミノフェンという成分を含む「カロナール」などであれば、胎児への影響がほぼないとされています。

ただし、漫然と飲み続けると赤ちゃんに影響がある場合があるので、痛みがあるときだけ飲むようにしてくださいね(※1)。

また、痛み止めの成分の中には服用を避けたほうがいいとされるものもあります。

市販の鎮痛薬でいうと「バファリン」や「イブ」、「ナロンエース」などは、妊娠後期の妊婦さんは飲んではいけないことになっています(※2,3,4)。

妊娠中はくれぐれも自己判断で薬を飲まないようにしましょう。

妊娠中は歯のトラブルに気をつけよう

歯医者で行われるレントゲン撮影や、治療で使われる麻酔薬や痛み止めの薬は、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす心配はほとんどないので、安心して治療を受けて、早めに治してくださいね。

妊娠中は虫歯や歯周病になりやすい時期なので、いつも以上に歯磨きや食事内容に気をつけて口内ケアに努めましょう。

監修医師:歯科医師 角田 智之

歯科医師 角田 智之先生
1992年に明海大学卒業後、日本大学医学部歯科口腔外科にて診療に従事。久留米大学医学部口腔外科などを経て、2008年に開業。現在は福岡市博多区にて診療を行う。予防歯科や心理的要因にて発症するといわれている舌痛症を専門的に診察している。


※1 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」
※2 バファリン「FAQ よくあるご質問」
※3 エスエス製薬「よくあるご質問」
※4 大正製薬「ナロンエース」

妊娠から出産まで毎日更新!妊婦さんの評価No.1の無料妊娠アプリ「ninaru」

記事一覧に戻る