なかなか乳児湿疹が治らないと、どうしてあげたらいいか分からないと困っている人も多いかもしれません。ときどき耳にする「赤ちゃんに飲ませている母乳が、乳児湿疹の原因になる可能性がある」という話は事実なのでしょうか。
今回は母乳と乳児湿疹の関係、乳児湿疹の原因や対処法についてご紹介します。
乳児湿疹の原因が母乳って本当?
乳児湿疹とは赤ちゃんの皮膚トラブルの総称で、新生児中毒性紅斑やアトピー性皮膚炎、乳児脂漏性湿疹などさまざまな病気を含みます。
そのため原因も病気によって異なり、「ママの食事が母乳の質に影響し、その母乳を飲むことで乳児湿疹ができる」という噂には医学的な根拠が全くありません。
母乳で育った赤ちゃんの方が乳児湿疹ができやすいということはなく、もちろんミルクを飲んでいる赤ちゃんでも乳児湿疹はできます。
赤ちゃんが乳児湿疹になるのをおそれて、食事に神経質になりすぎる必要はありませんよ。
乳児湿疹の原因は?
乳児湿疹の原因は主に赤ちゃんの肌質と皮質の分泌量が多いことが考えられています。
皮脂の増加
特に新生児期から生後2〜3ヶ月頃までは、ホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んです。
一方で毛穴はまだ小さいため、皮脂が毛穴に詰まりやすく乳児湿疹が起きやすい状態です。
皮脂の角質層が薄く乾燥しやすい
赤ちゃんは肌の角質層が薄く肌がダメージを受けやすいため、乳児湿疹が出やすくなります。
生後2〜3ヶ月を過ぎると赤ちゃんの肌は皮脂の分泌が落ち着き、今度は乾燥しやすくなります。肌が乾燥していると、寒暖差やダニなど外からの刺激を受けやすくなるため、乳児湿疹ができてしまいます。
乳児湿疹への対処法は?
乳児湿疹は基本的に、肌を清潔にしておくことで自然に治まっていきます。お風呂のときは、弱酸性の石鹸やベビーソープを泡立てて赤ちゃんの体を手で優しく洗い、しっかりと洗い流してあげてくださいね。
お風呂上がりはベビー用ローションや保湿クリームを塗って赤ちゃんの肌を守ってあげましょう。加湿器などを使って、部屋の湿度を調節することも効果的ですよ。
乳児湿疹は一般的に1歳頃までに自然に治まっていくことが多いですが、症状が改善しない・悪化するという場合は皮膚科もしくは小児科を受診するようにしましょう。
乳児湿疹と母乳の関係を心配しすぎないで
乳児湿疹はそもそも多くの赤ちゃんに起きることであり、母乳が原因で発症するという医学的根拠はありません。食事について神経質になりすぎないでくださいね。
もし、乳児湿疹のケアをしているのに症状が一向に良くならないというときは、自己判断でケアを継続せずに、一度かかりつけの小児科や皮膚科で診察をしてもらいましょう。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。