赤ちゃんが夜に突然咳き込みだすと受診したほうがいいのか心配になりますよね。「ケンケン」と聞き慣れない咳をしている場合はクループ症候群かもしれません。
そこで今回はクループ症候群について、原因や症状、治療法、予防法などをご紹介します。
クループ症候群とは?赤ちゃんはいつからかかるの?
「クループ症候群」とは、声帯や喉の周辺にウイルスが感染することなどで引き起こされる症状の総称です。
生後6ヶ月頃の赤ちゃんから3歳頃の子どもに多く見られる疾患で、秋と冬に発症しやすくなります(※1)。
RSウイルスやアデノウイルス、インフルエンザウイルスなどに感染することで起こります。
クループ症候群の症状は?
クループ症候群は、声帯や喉の周辺で発症するため、症状の多くは咳や声にあらわれます。
クループ症候群の主な症状
● ケーンケーンという犬の遠吠えに似た乾いた咳が出る
● 息を吸うときに、ヒーヒー・キューキューと音がする
● 声がかれる
● 呼吸のたびに、鎖骨のくぼみ辺りや肋骨の間がペコペコへこむ
一般的に、クループ症候群になると、咳など風邪のような症状から始まり、発熱を伴う場合もあります。
気温が低下する夜に悪化する傾向にあり、寝つきが悪くなることも特徴です。
赤ちゃんのクループ症候群で病院を受診するタイミングは?
クループ症候群の症状が現れた場合は、自己判断で市販の咳止めを飲ませるのは控えましょう。
赤ちゃんが息苦しそうにしていて唇や顔色が悪くなっていたら、夜間でも急いで病院を受診してください。
赤ちゃんや子どもに現れた症状を見て、重症なのか判断しにくい場合は、小児救急電話相談(#8000)に電話するとすぐに受診したほうがよいか教えてくれますよ。
クループ症候群の治療法は?
症状がひどい場合は、咳を鎮める薬や喉の腫れをとる薬が処方されます。
呼吸が苦しそうであれば、入院して炎症を抑える注射をしたり、吸入をしたりすることもあります。
症状が軽い場合、小児科を受診して自宅で安静にして様子を見ます。炎症を抑えるステロイドのシロップ薬が処方されることが多いです。
通常は1~2日かけて回復しますが、水分をしっかり与えながら、部屋を乾燥させないようにすることが大切です(※1)。
部屋の湿度を上げるために、加湿器を使ったり、洗濯物を部屋干ししたりしましょう。
お風呂の壁に熱いシャワーを当て、湿度が上がった空間の中にしばらくいると、呼吸が楽になることもありますよ。
クループ症候群になっても落ち着いて対処しよう
赤ちゃんや子どもが普段聞きなれない咳をしていると心配になってしまうかもしれませんが、適切な治療を受ければ回復していきます。
クループ症候群はワクチン接種だけですべて予防することはできないので、特に感染しやすい秋や冬は手洗いをきちんと行い、感染対策を心がけましょう。
もし赤ちゃんや子どもがケーンケーンというような独特の咳をして息苦しそうにしていたら、すぐに病院に連れて行ってあげてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
【参考文献】
※1 日本小児呼吸器学会「小児の咳嗽診療ガイドライン2020」