生後半年を過ぎた頃から「後追い」が始まる赤ちゃんもいますよね。どこへ行くにも赤ちゃんがついて来て少しでも離れると泣くので、困ってしまうママ・パパも多いのではないでしょうか。
今回は赤ちゃんの後追いについて、行動の意味、時期はいつからいつまでなのか、対処法や注意点、しない場合もあるのかなどをご説明します。
赤ちゃんの後追いはいつからいつまで?
赤ちゃんの後追いとは、目の前にいたママやパパが視界から見えなくなると、後を追いかけたり、探し回ったり、不安で泣き出したりする行動のことです。
赤ちゃんの後追いが始まる時期は個人差が大きいですが、早いと生後6ヶ月頃からみられ、生後9~11ヶ月頃にピークを迎えることが多いようです。
後追いが始まる頃になると不安を感じるようになり、人見知りや場所見知りなどもみられはじめます。
同時に、ママやパパへの執着がとても強くなる赤ちゃんが多く、それをアピールするようになる時期でもあります。
記憶力が発達するにつれて、赤ちゃんはママやパパが視界から見えなくなったとしても戻ってくることを学んでいきます。
そのため、1歳〜1歳半頃になると後追いが落ち着くことがほとんどです。
環境の変化に対応できるようになったり1人遊びができる集中力がついてきたりすると、少しずつ後追いをしなくなるともいわれています。
ただし、後追いが終わる時期も個人差が大きく、2歳頃まで続く、一度落ち着いたと思っても再開する、といったケースもあります。
赤ちゃんが後追いするときの対処法・注意点は?
赤ちゃんの後追いが始まると、トイレにもなかなか行けなかったり家事や仕事が進まなかったりして、困ってしまうこともありますよね。
また、後追いがピークの頃は、ハイハイからつかまり立ち、伝い歩きと行動範囲がどんどん広がる時期と重なることが多く、赤ちゃんがどこでも構わず後追いをすると誤飲や怪我などにつながることもあります。
ここからは後追いの対処法や注意点をご紹介します。
離れるときは声がけを徹底する
赤ちゃんのそばを少しでも離れるときは、「ちょっと〇〇へ行くよ」「すぐに戻ってくるから待っていてね」といったように声をかけましょう。
まだ意味が通じなくても、声がけがないまま急にママやパパがいなくなると赤ちゃんは不安になり、後追いが悪化することもあります。
「ママやパパが一時的に離れても戻ってくる」と認識できるようになると後追いは落ち着いてくるので、離れるときは忘れずに声がけをして赤ちゃんに理解させることが大切ですよ。
家事などはできる範囲で
後追いの時期にいつも通り家事などをやろうとしても、どうしても無理が出てしまいます。
後追いが落ち着くまでは、あえて家事にかける時間や、やるべきことを減らすと、赤ちゃんが後追いをしてきにイライラしたり焦ったりすることが少なくなるはずです。
パートナーや家族と協力しながら、どちらかが赤ちゃんの相手をしてその間にささっと家事を済ませるなどの工夫ができるといいですね。
ママやパパ以外の人と触れ合う時間を増やす
家の中でママやパパとだけで過ごす時間が長いと、赤ちゃんのママやパパへの愛着が強くなり、後追いが激しくなるケースもあります。
公園や子育て支援センターなど月齢の近い赤ちゃんが集まる場所などに出かけたり、祖父母や友人の家へ行ったりして、ママやパパ以外の人たち、特に同じ年代の子どもと触れ合う機会を増やすようにしてみましょう。
「絶対にママやパパでないとダメ」ということが減ってくると、後追いが落ち着くケースもありますよ。
危ない場所はガードする
ママやパパの姿を探して、キッチンや階段、浴室など危険な場所に赤ちゃんが一人で移動してしまうこともあります。
赤ちゃんから目を離すときは、たとえ一瞬であっても必ず周囲に危ないものがないか確認し、ベビーゲートなどを置いて守ってあげましょう。
おんぶ紐や抱っこ紐を活用する
赤ちゃんの後追いが激しい時期は、家事などをするときに抱っこ紐やおんぶ紐を使うのも一つの方法です。
上手く活用することで、ママやパパは家事や仕事などが捗り、赤ちゃんは安心して過ごすことができます。
ただし、赤ちゃんが大きくなるにつれて腰や肩などに負担がかかったり、いつまでも後追いが終わらなかったりすることもあるため、毎回ではなくどうしても必要なときに使うなど工夫しながら使えるといいですね。
後追いをしない赤ちゃんもいるの?理由は?
赤ちゃんのなかには、後追いをしない子もいます。
まわりの月齢が近い赤ちゃんたちが後追いをし始めているのに自分の子だけしていないと、不安になることもあるかもしれません。
後追いをするかしないかは、赤ちゃんの性格や育った環境が影響することもあります。
たとえば、1人遊びが好きな赤ちゃんは、遊びに熱中している間はママやパパが離れても気づかないことがあります。
また、兄弟姉妹や祖父母など多くの家族と一緒に住んでいると、「ママやパパだけが特別な人」という意識があまり強くなく、ママやパパだけを追いかける後追いがみられないこともあります。
赤ちゃんが後追いをしないと、自閉スペクトラム症(自閉症・ASD)ではないかと思うママやパパもいるようですが、後追いをしないこと以外に気になることや指摘されることがなければ、基本的には心配ないでしょう。
もし少しでも気になることがあったら、かかりつけの小児科やお住まいの地域の保健センターなどで相談してみてくださいね。
赤ちゃんの後追いは温かく見守ろう
赤ちゃんの後追いが始まると、いつまで続くのだろうと思うこともあるかもしれません。ママやパパにとっては大変な時期ですが、赤ちゃんの成長の一環なので、安全面に十分に注意しながら温かく見守っていきましょう。
「家事はしっかりとできないもの」とおおらかな気持ちで、赤ちゃんに接してあげられるといいですね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。