赤ちゃんの離乳食が始まる頃になると、多くの人が気になり始めるのが母乳の卒業時期ではないでしょうか。母乳をやめる方法には「卒乳」や「断乳」がありますが、そもそもの違いや、方法を知らない方も多いようです。
そこで今回は、卒乳と断乳の違いやに方法、メリット・デメリットなどをご紹介します。
卒乳とは?断乳との違いは?
卒乳とは、赤ちゃんが母乳を必要としなくなり、自分からおっぱいを卒業していくことです。一方、断乳とは、ママの意志によって母乳育児をストップさせることをいいます。
厚生労働省は、授乳を終了する時期は個人差があるため、親子のタイミングや考えを尊重しながら母乳をやめる時期を決めることを推奨しています(※1)。
母乳を飲ませることは赤ちゃんに栄養を与えるだけでなく、スキンシップとしての役割もあるので、◯歳までにと無理にやめる必要はありませんよ。
自然に卒乳するのはいつごろ?
赤ちゃんが自然に卒乳する時期というのは個人差があります。「こそだてハック読者アンケート」にて卒乳・断乳を完了した時期について聞いたところ、1歳代が圧倒的に多く、2番目が0歳6〜11ヶ月、3番目が2歳以降という結果になりました(※)。
3歳以降に卒乳するケースもあるため、赤ちゃんにあわせて決めるようにしてくださいね。
赤ちゃんの成長や体重の増加具合によって卒乳するかしないか悩んでいる場合は、小児科医や助産師などに相談するのがおすすめです。
卒乳を促すうえでの前提条件は?
赤ちゃんが卒乳するのに重要なのは、「1日3回の離乳食で十分に栄養が摂れている」「白湯や麦茶など母乳以外から水分補給ができる」こと。この前提に加え、以下のポイントを知ることで卒乳へ促すことができます。
● コップやマグから飲み物が飲める
● ママの卒乳への気持ちが固まっている
● 母乳をあまり吸っていない
● 母乳を飲んでいるときに気がそれることが増えた
上記のポイントを参考に、「赤ちゃんの準備ができるまで気長に待つ」という気持ちで、ゆっくりと進めていきましょう。
卒乳の仕方とは?
以下の方法では、完全に自然というわけではありませんが、自然に近い卒乳ができます。ママと赤ちゃんが卒乳に向けて時間をかけて条件を満たしていくこと、心構えができるようになることが大切ですよ。
自然に近い卒乳の方法
1. 離乳食をすすめる
2. 赤ちゃんがおっぱいをしっかり飲んでくれる時間帯以外は、離乳食や補食、お茶や水などを与える
3. 徐々に1日の授乳回数が減ってきたら卒乳の頃合いをみる
4. 赤ちゃんが自らおっぱいを欲しがらなくなったタイミングを見逃さず、その日からおっぱいを与えないようにする
ポイント
3日程度おっぱいを飲まない日が続けば、卒乳できたと考えましょう。
1歳を過ぎた頃からは母乳を与える場所や時間帯を整えてあげるのがおすすめです。
いつでも欲しいときに、ではなく、「夜だけ」「外出時はしない」と、少しずつ切り替えることで赤ちゃんも心構えができるようになりますよ。
卒乳するメリット・デメリットは?
卒乳は赤ちゃんにとって負担が少なく、成長に合わせた離乳ができるのがメリットです。しかし、自然な卒乳だからこそのデメリットもあります。
例えば、今まで授乳を通して得られていたスキンシップが無くなること。
栄養面では必要がなくても、眠いときや寂しいときに精神安定剤としておっぱいを飲みたがる子は珍しくありません。
卒乳するときは、授乳以外のスキンシップを今まで以上にとるようにすると、赤ちゃんが安心感を得られますよ。
卒乳はママと赤ちゃんのタイミングで進めよう
卒乳は「いつまでにするべき」という決まりはありません。仕事や家庭環境などの事情が許すのであれば、赤ちゃんの気が済むまで授乳を続けてみましょう。
ママが無理をして授乳を続けていたり、赤ちゃんが「いらない」と言うようになったりするなど、卒乳の必要性を感じたときはママと赤ちゃんのタイミングで進めていけると良いですね。
※アンケート概要
実施期間:2017年6月30日~7月9日
調査対象:卒乳・断乳を完了した/検討している「こそだてハック」読者
有効回答数:207件(うち卒乳・断乳を完了したママは169名)
収集方法:Webアンケート
監修専門家:助産師 佐藤 裕子
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助産院では、日々多くのママたちからの母乳相談や育児相談を受けています。具体的に悩みを解決でき、ここにくると安心してもらえる、そんな助産師を目指しています。
【参考文献】
※1 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」