「妊娠12週の壁」という言葉を目にして、不安を感じている妊婦さんもいるかもしれませんね。妊娠12週目にはどのようなことが起こっているのでしょうか。
そこで今回は、「妊娠12週の壁」の意味や、妊娠12週頃の流産の原因などをご紹介します。
「妊娠12週の壁」って?
妊娠12週を越えると流産の確率がぐっと低くなることがわかっています(※1)。
妊婦さんの間で、妊娠12週を無事に越えたいという願いから「妊娠12週の壁」という言葉が生まれたようです。
ただし、「妊娠12週の壁」は医学的な用語ではないため、明確な定義があるわけではありません。
妊娠11週を越えた妊娠12週0日目を指すこともあれば、妊娠12週を越えた妊娠13週0日目を指すこともあります。
妊娠12週頃の流産って?どれくらい起こりやすい?
それでは、妊娠12週頃の流産は実際どれくらい起こるものなのでしょうか。
オーストラリアの研究では、心拍が確認できた妊婦さん697人のうち、無事に妊娠12週を迎えられたのは、685人でした(※2)。
つまり98.4%の妊婦さんは無事に妊娠12週目の壁を越えていることになります。
流産は妊娠12週までに起こることが圧倒的に多いといわれていますが、ほとんどのケースでは無事に迎えられるので、心配しすぎないでくださいね。
妊娠12週頃の流産の原因は?予防はできる?
妊娠12週未満の早期流産の主な原因は、胎児の染色体異常によるものがほとんどです(※2)。
妊婦さん自身がどんなに気をつけていても予防できることではありません。
妊婦さんが「体を動かしすぎた」「仕事で無理をした」といったことが原因で流産することは、ほぼありません。
なかなか体調が安定しなくてストレスを感じやすい時期ですが、なるべくリラックスして過ごせるように、自分を最優先にして過ごしてくださいね。
妊娠12週の赤ちゃんと妊婦さんの状態は?
では、妊娠12週目の妊婦さんと赤ちゃんはどのような状態なのでしょうか。
妊娠12週の妊婦さん
妊娠12週には、もともと鶏の卵くらいの大きさだった子宮が手の拳より大きくなって、お腹のふくらみが少し目立ってきます。
これまで着ていた服がきついと感じ始める妊婦さんも多いです。
つわりがある人は、個人差は大きいものの、症状のピークが過ぎて少し治まりはじめた、という人が増えてきます。
妊娠12週の赤ちゃん
この時期の赤ちゃんはお腹の中の羊水を飲み込み、おしっこをするようになります(※1)。
エコー検査では、赤ちゃんが伸びをしたり、口をあけてあくびをしたりしているような様子が確認できるかもしれません。
妊婦健診のたびにたくさんの動きが見られるので、赤ちゃんの成長がますます実感できるはずですよ。
「妊娠12週の壁」を気にし過ぎないで
妊娠12週目が近づくと不安になるかもしれませんが、無事に乗り越えて元気な赤ちゃんを出産している人はたくさんいます。
いつもと体調が違うなど少しでも心配なことがあったら、遠慮なく医師や助産師に相談しましょう。
健康管理に気をつけながら、できるだけ穏やかな気持ちでマタニティライフを送っていけるといいですね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学 2産科編 第3版』p.293,295,763
※2 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」