母子手帳や育児書などに記載されている、赤ちゃんの一般的な成長・発達の目安を見たことがあるママも多いのではないでしょうか。
ですが、赤ちゃんの発達には個人差が大きく、周りの赤ちゃんよりゆっくりめのペースでできるようになったり、運動発達の順番が違ったりすることも。
なかには、特定の運動発達をやらずに大きくなる赤ちゃんもいます。
そこで今回は、育児書の目安とは異なる、自分のペースで成長・発達している赤ちゃんの様子をご紹介します。
3人に1人のママが
赤ちゃんの成長・発達を不安に思っていた
「ninaru baby」では、赤ちゃんの成長・発達ができるようになった月齢の調査を行うと同時に、赤ちゃんの成長・発達について気がかりがあるかどうかについても教えてもらいました(※)。
そして、3人に1人ものママが、赤ちゃんの成長・発達について気がかりを抱えていることがわかりました。
具体的には、「他の子よりできるようになるのが遅いこと」「他の子がやることをやらないこと」「発達の順番が違うこと」が上位にあがりました。
他の赤ちゃんと比較し、成長・発達の違いに一喜一憂してしまうママは少なくないようです。
次の章からは、赤ちゃんの成長・発達に気がかりを持っていた先輩ママによる体験談と、小児科医の武井先生による解説をご紹介します。
赤ちゃんの成長「遅い」エピソード
寝返りは遅かったけれど…
うちの子は、生後6ヶ月ギリギリでやっと寝返りをしました。他の赤ちゃんと比較していろいろ不安になり、おもちゃを使って寝返りを促してみたり、寝返りをやって見せたりもしました。
そのあと、すぐにおすわりができるようになり、つかまり立ち・あんよも少し早めにできるようになりました。
今になって思うのは、成長や発達には赤ちゃんの性格や気分もあるのかな、ということ。うちの子はどんなタイプなのかな?と楽しみながら、赤ちゃんの成長を見守れるといいな、と思います。(匿名ママさん)
一人では歩こうとしませんでした
うちの子は、あんよを始めたのが1歳5ヶ月と遅めでした。「周りの子はどんどん歩けるようになっているのに…」と、とても焦ってしまったことを覚えています。
手を持ってあげればスタスタ歩けるのですが、自分からは歩こうとしませんでした。いざ、私の手を離して歩き始めたら、危な気もなくスタスタスタスタ歩いていました。
歩き始めの、よちよち危なっかしい歩き方を見たかったな…と思います。(3才ママさん)
あんよは特に個人差が大きいですね
あんよは、赤ちゃんの発達の中で最も個人差が大きいかもしれません。赤ちゃんの性格や環境に左右されやすく、慎重な性格の赤ちゃんは一歩が出るのに、1歳6ヶ月近くになるなど時間がかかることもあります。
赤ちゃんの発達で、できるようになるタイミングをよく相談されるのが、あんよ、おしゃべり、バイバイの3つです。
いずれも、時期がくればできるようになることがほとんど。その日がくるのを、温かく見守りながら待ってくださいね。
赤ちゃんの成長
「やらなかった」エピソード
はいはいをほとんどしませんでした
うちの子はずりばいを全くせず、そして、はいはいもほんの少ししただけで、すぐにつかまり立ちをしてしまいました。
「はいはいをたくさんしたほうが、足の発達にいい」と聞いていたので、離れたところから呼んだり、おもちゃを見せたりして、はいはいを促したこともありました。当時は、運動面で何か問題が出るのでは…と、とても不安に思っていました。
そんな心配をよそに、そのまますぐに歩き出すようになりましたが、転んでも自分で手を着き、自分で立ち上がっています。ケガなどもまったくしていません。個人差ってほんとうに大きいので、あまり心配しなくても大丈夫ですよ。(みなみママさん)
おすわりは好きじゃないみたいです
うちの子は、両足を前に投げ出して座る"おすわり"をしません。
他の赤ちゃんたちが同じような座り方をしているのに、うちの子は正座のような座り方をします。
おもちゃの前に"おすわり"をさせて遊ばせてみたり、後ろに倒れないように私が娘の後ろに座って支えてあげたりもしました。でも、生後10ヶ月になる今も、自分から"おすわり"はしません。
おすわりはしなくても、ちゃんと腰はすわっています。座り方にも好みがあるみたいなので、今は特に心配していません。(くまママさん)
保護者の促しでやるようになることも
特定の運動発達をやらないまま、成長する赤ちゃんもいます。最近は、シャフリングベビー(いざりっこ:はいはいをせず、おすわりの状態で動くこと)も増えているように思います。
無理のない範囲で発達の練習をさせてあげると、やるようになることもありますよ。
赤ちゃんの成長
「順番が違った」エピソード
はいはいの前につかまり立ちをしました
うちの子は寝返りを始めたのが生後6ヶ月とゆっくりめでしたが、体が大きいので「持ち上げるのが大変なのかな?」と思っていました。
その後、はいはいをする前につかまり立ちをマスター。生後9ヶ月のときのことです。低月齢の頃から足を突っ張って立つ姿勢をとるのが好きだったので、発達には赤ちゃんの好みもあるのかな?と思います。
今、1歳1ヶ月ですが、あんよはまだしていません。はいはいのスピードが早いので、歩かなくても事足りているのかもしれません。(ままちぇママさん)
腰がしっかりすわる前につかまり立ちを
うちの子は、おすわりが安定する前につかまり立ちをマスターしてしまいました。
まだ腰がしっかりすわっていなかったので、つかまり立ちをする度に腰を支えてあげなくてはならず、大変でした。腕の力が強かったのかもしれません。(はなこママさん)
発達の順番が変わることはよくあります
心配するママも多いかと思いますが、赤ちゃんの運動発達の順が変わることは、実は珍しくありません。
とくに、はいはいよりつかまり立ち、伝い歩きが早い赤ちゃんはよく見ます。最近は、入れ替わる発達の内容もそれぞれで、個人差が大きくなっているように思います。あまり心配しすぎず、長い目で様子を見守ってくださいね。
先輩ママの体験談
赤ちゃんの成長・発達に個人差を感じた瞬間
わが子の健やかな成長を願うあまり、つい、周りの赤ちゃんと成長・発達のスピードを比較してしまうこともあります。
だからこそ、わが子の個性に気づけたママもいたようです。
そんな、「うちの子ならでは」の成長・発達エピソードをご紹介します。
右回りが好きみたいです
うちの子は、生後3ヶ月のときに初めて寝返りをしました。
スムーズに寝返りをできるようになった生後5ヶ月の今でも、右回りしかできません。これも個性なのかな…と思います。(ゆうとママさん)
発達のペースがとにかく個性的でした
赤ちゃんの発達には個人差が大きいといいますが、うちの子は本当に自分のペースでできるようになっていきました。
生後7ヶ月でつかまり立ちをマスターし、そこからおすわりをしたいけれど上手に座れず、よく泣いていました。
つかまり立ち、ずりばい、はいはいをマスターしてから、やっと最後に、安定しておすわりができるように。
はいはいの時期が長かったからなのか、あんよをマスターした後はフラフラすることなく、しっかり歩いていました。(ポンママさん)
伝い歩きからあんよまで時間がかかりました
うちの子は、つたい歩きができるようになってから、あんよができるようになるまで半年かかりました。
「これも個性かな」と思って、とくに不安には思いませんでした。(ぽんこママさん)
体重が関係したのかも?
うちの子は、寝返りより先に、寝返り返り(うつ伏せから仰向けになること)ができるようになりました。
そのときは焦ったり、不安になったりもしました。でも、今思えば、体重が重かったので、足を持ち上げて体をひねるのが大変だったのかもしれません。(ちゃぽママさん)
赤ちゃんにも好きな体勢・嫌いな体勢、好きな向き・嫌いな向きがあるみたいですね。
お子さんには、どんな個性がありますか?
赤ちゃんの個性を見つけてあげよう
大人にも個性や性格の違いがあるように、赤ちゃんにも個性があります。
成長・発達はあくまでも目安の一つ。他の赤ちゃんと比べて遅いこと、順番が違うこと、そしてやらないことも個性の一つであることがほとんど。
「うちの子は、こんな個性があるんだ」と違いを認め、無理のない範囲でサポートしながら、これからの成長を楽しみに待てるといいですね。
監修:小児科/高座渋谷つばさクリニック 武井智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※アンケート概要
実施期間:2018年11月26日~2018年11月28日
調査対象:「ninaru baby」利用者
有効回答数:69件
収集方法:Webアンケート