家事や育児で忙しい中、離乳食を毎回イチから作るのは大変ですよね。離乳食後期〜完了期は食べる量も増えてくる頃なので、なおさらだと思います。
「そんなときおすすめしたいのが、離乳食のストック作りです」
そう語るのは、毎日アップする料理や離乳食の写真が大人気の料理インスタグラマー・Minaさん。
そこで、Minaさんに、離乳食のストック作りで役立つアイテムや食材、ストック作りの手順や離乳食完了期の1週間のやりくり方法を教えていただきました。
離乳食のストック作りをしてみませんか?
初めまして。インスタグラムに、料理や離乳食の写真を投稿しているMinaと申します。
夫の仕事の都合で2017年1月にイギリスのリバプールに移住しました。その後、息子を出産し、現在はイギリスで専業主婦をしています。
離乳食の献立を考えるのってたいへんですよね。
栄養バランスを保ちつつも、食べやすくて、美味しくて、しかも見た目も興味を引くものでないと赤ちゃんは食べてくれなかったりするので。
そこで私は、息子が生後7ヶ月頃(離乳食中期)から、離乳食のストックを一度にたくさん作って、それをやりくりして1週間の献立を考えるようにしています。
息子は現在、離乳食完了期ですが、この方法のおかげで献立作りがだいぶ楽になりました。
離乳食はストック作りが命!
「忙しくて離乳食をイチから作ってられない!」という人ほど、離乳食のストック作りをした方がいいと思います。
なぜなら、冷凍庫にストックがあるというだけで心のゆとりになるから。
具体的に説明していきますね。
離乳食ストックで心にゆとりができる理由1
離乳食ストックのメリットは、何よりもまず調理時間の短縮です。
離乳食ストックはすでに調理済みなので、炒めたり煮たりする時間が格段と短くなります。
だから、短時間で作り終えることができます。
離乳食ストックで心にゆとりができる理由2
食材の無駄がなくなることも離乳食のストックを作るメリットの1つです。
ストックを活用せず、毎回イチから調理していると食材がいつのまにか冷蔵庫で傷んでしまうことがありますよね。
でも、ストックをまとめて作って小分けにし、冷凍しておけば、知らぬ間に傷んでしまうことがなくなるので経済的です。
買ってきた食材をその日のうちに調理して冷凍しておけば、新鮮さも保たれます。
食材を無駄にした罪悪感とは無縁です。
離乳食ストックで心にゆとりができる理由3
離乳食のストックは組み合わせ次第で和食、洋食、中華など、さまざまなメニューを作ることができます。つまり、離乳食ストックをうまく活用すれば、献立のレパートリーが増やせるんです。
そのため、献立で悩まされたりすることが減って、無駄な時間が減るはずです。
こうした理由から、ストックを活用して離乳食を作るようになると、心にゆとりが持てるようになります。
離乳食のストック作りの手順は?
では、実際に離乳食のストック作りをする際の手順について説明していきますね。
私は週末に食材をまとめ買いするので、その日の夜と次の日の夜、息子を寝かしつけた後に離乳食のストックを作るようにしています。
1日目は主に野菜、2日目は肉や魚を使った離乳食のストック作りをする日です。
それぞれ2時間ほどかかりますが、それで1週間から10日分は離乳食ストックを用意できます。
それでは先日行った離乳食のストック作りを例に、基本的な手順を見ていきましょう。
離乳食ストック作り1日目
まず、複数の野菜を1つの鍋で一緒に茹でます。
茹でたら野菜は細かく刻みます。
茹で汁は捨てず、こしてから野菜だしとしてストックします。
ほうれん草のように色が茹で汁に出やすい野菜だけは別の鍋で茹でます。
茹でるのと同時進行で蒸し野菜も作ります。
茹でて刻んだ野菜の一部を使って「ケークサレ」を作ります。
ケークサレとは、フランス料理の一つで、塩味のケーキのことです。
次に、蒸したさつまいもやカットしたフルーツを使ってパウンドケーキを作ります。
ちなみに、このとき使った「スイートポテト」というのはお菓子ではなく、スイートポテトという品種のイモのことです。
日本では手に入りにくいので、そのときはさつまいもで代用するといいと思います。
ケークサレやパウンドケーキ、そして輪切りにしたイモなど、オーブンで焼く必要があるものは一緒に焼いてしまいます。
できあがった各ストックを製氷器や密閉式ポリ袋に入れて冷凍保存します。
離乳食ストック作り2日目
米粉と牛乳(豆乳)でホワイトソースを作ります。
鰯の水煮やツナなどの魚と豆腐で、お魚ハンバーグを作ります。
ついでに、お魚ハンバーグと同じタネを使ってつみれも作ります。
このほかにマッシュポテトやトマトピューレ、茹でた鱈などを用意して、それらも含めて、すべて製氷皿あるいは密閉式ポリ袋に入れ、冷凍保存します。
製氷皿から食材を取り出すには、毎回、製氷皿の裏に流水を当てて少し溶かしたりする必要があって面倒です。そのため、製氷皿で凍らせた食材は、後日、中身をすべて密閉式ポリ袋に移しておくとよいです。
離乳食のストック作りで役立つアイテムは?
ここからは、離乳食のストック作りで私が使っているアイテムの一部をご紹介します。
なくても問題ありませんが、あると便利なアイテムばかりです。
製氷皿
製氷皿は細かくカットした野菜、だし、ホワイトソースなどを冷凍するのに便利です。
私は15ml、30ml、50ml、60mlの容器を持っていて、入れるものに合わせて使い分けています。
衛生面を考えて、蓋つきのものを選ぶといいですよ。
シリコン製氷皿 蓋付き 2個入り
密閉式ポリ袋
製氷皿に入れない食材は、基本的にすべて密閉式ポリ袋に入れて冷凍保存します。
また、製氷皿で冷凍した食材も取り出しやすさを考えて、次の日に密閉式ポリ袋へ移し変えています。
日付を記入できるので、いつ作ったものか一目瞭然ですよ。
ジップロック イージージッパー M 12枚入
すりおろし器など
すりおろし器、すり鉢、こし網、しぼり器などがあると、離乳食初期から完了期までずっと使えるので便利です。
私はそれらがセットになったものを使っています。重ねてコンパクトに収納できるので場所を取りません。
リッチェル 調理器セットE
クッキングライナー
ハンバーグやおやきを焼くときにフライパンに敷いて使います。
油をひかなくても、食材がフライパンにくっつかずに焼けます。
日本ではアルミホイルで同じような製品があるそうですね。
三菱アルミニウム 魚焼きホイル フライパン用 25cm×12m
離乳食のストック作りで役立つ食材は?
次に離乳食のストックを作るときに、あると便利で、私がよく使う食材をご紹介しますね。
米粉
米粉は購入したら、すぐに密閉容器に入れて保存しています。
蒸しパンやパウンドケーキを作ったり、ホワイトソース作りに使ったり幅広く使えます。
小麦粉より“ダマ”にならないのでおすすめですよ。
魚沼産コシヒカリ100% 米粉1kg
オートミール
オートミールはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なので、離乳食にぴったりの食材です。
水分を吸わせてから加熱して冷ますと、固まる性質があるので、牛乳や豆乳でふやかしてからレンジで加熱、冷ましたあとにカットすれば手軽にオートミールパンが作れます。
前述の「手順」には出していませんが、オートミールパンは冷凍もできるので、たくさん作ってストックしておくと便利ですよ。
日食オーツ オートミール 350g
だしパック、レトルトなど
自分でイチから作るとたいへんだけど、あると離乳食のバリエーションが広がるだしやハヤシライス、鶏レバーなどはパックやレトルト、粉末に頼っています。
ただし、だしは安心して使用できる無添加素材のものを選んでいます。
完全無添加 天然だしパック 10g×20袋入
以上が、私が普段やっている、離乳食のストック作りの方法です。
けっこうたいへんそうに見えるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。
ストック作りの2日間は寝る時間が多少遅くなってしまったりするかもしれませんが、そのぶん残りの5日間がだいぶ楽になりますよ。
続けて、このストックを使って、離乳食完了期の1週間をどうやってやりくりするのか、具体例を見せながらご説明します。
離乳食ストックで完了期の1週間をやりくりしよう!
2日間で1週間分以上の離乳食ストックを作ったら、それをベースに1週間やりくりします。
もちろん、その場でイチから作る一品もありますが、メインとなるのは離乳食のストックを使ったものです。
とある1週間で実際に作った朝・昼・晩3食を例に説明しますね。
1日目
朝食
前日のストック作りで朝が少しつらかったので、さっそくストックからケークサレと蒸し野菜を解凍しました。
それらを盛りつけるだけの簡単朝ごはんです。
昼食
息子がお昼ご飯前に寝てしまったので、その間に晩ご飯用に鶏チャーシューを作りました。
できたてをほぐして息子のお昼ご飯に。薄味で作ったので大人用にはタレをかけました。
卵ご飯は、冷ましたご飯にストックしておいたほうれん草、溶き卵1/2個を混ぜ、ラップを敷いた耐熱皿に流し入れ、レンジで加熱。
ラップごと取り出し、食べやすい大きさに切りました。
夕食
ツナと白菜のとろとろ煮は大人のご飯から取り分けたものです。息子用にとろみをつけて食べやすくしています。
お味噌汁も取り分けたものです。
おやきは、ストックのマッシュポテトとブロッコリーに小麦粉と水を少しずつ加えて混ぜ、フライパンで焼いています。
2日目
朝食
トマトスープはストックの野菜だし、トマトペースト、鱈、人参、ブロッコリーで作りました。
昼食
お昼に外出したので、お弁当とおやつのバナナを持っていきました。
だし巻き卵だけ作り、その他はストックを使っています。
雑菌が繁殖しないよう、食材はしっかり冷ましてから蓋をします。
夕食
炒飯の具材はストックから。パプリカはあらかじめ皮をむいて柔らかく茹でてストックしたものなので、ご飯と具材を解凍して軽く炒めるだけでした。
大人のご飯の付け合わせにとうもろこしを茹でたので、息子にも取り分けてストックのほうれん草と少量のバターで和えました。
3日目
朝食
高野豆腐は薄切りで水戻し不要のものを使っています。
キャベツ、人参はストックから。すでに柔らかく煮てあるので、忙しい朝でも素早く卵とじが作れます。
昼食
シチューは切ってアク抜きしたじゃがいもを野菜だしで煮て、ストックの玉ねぎ、人参、ブロッコリー、ホワイトソースを加えて煮込んだものです。
ストックを使ったシチューの作り方は他にもあり、インスタグラムで紹介していますが、いずれもホワイトソース:野菜だし=2:1になるように作っています。
野菜だしが薄い場合はコンソメを入れたり、月齢に応じてバターを加えても美味しいですよ。
オートミールパンは、オートミールにバナナと豆乳を加えてふやかしたあと、レンジで温めてから冷ましたものです。
夕食
鮭とキャベツのバター蒸し、じゃがいも、お味噌汁は大人のご飯から取り分けたものです。
このとき、味付けなしで蒸し焼きにした鮭を2切れ、ラップに包んで離乳食ストックに追加しました。
4日目
朝食
クリームスープは野菜だし+ホワイトソースです。
オートミールパンには、ストックのスイートポテトのマッシュを加えています。
昼食
ストックを使ってご飯のおやき(ご飯、トマトピューレ、とろけるチーズ、小麦粉を混ぜたもの)と、じゃがいものおやき(マッシュポテト、鮭、青海苔、水、片栗粉を混ぜたもの)を作りました。
息子がご機嫌で、おもちゃで遊んでいるときは、いつもより少し時間をかけて離乳食を作っています。
夕食
炊き込みご飯、筑前煮、豚ひき肉とキャベツの重ね蒸しは大人用に作ったものですが、薄味なので息子に取り分けました。
炊き込みご飯はたくさん炊いて、小分けにして離乳食のストックに追加しました。
5日目
朝食
味噌バター蒸しは、切ってアク抜きしたじゃがいもを少量の味噌とバターで蒸し焼きにした後、3日目の夕食時にストックに追加した鮭とアスパラを冷凍のまま加え、さらに蒸し焼きにしたものです。
昼食
トマトクリームリゾットはご飯とストックの鱈、玉ねぎ、 パプリカ、トマトピューレを解凍して鍋に入れ、牛乳と煮込んだものです。
夕食
さつまいもご飯は炊いたものではなく、ストックの蒸したさつまいもを混ぜたご飯です。ラップに包んで丸めています。
6日目
朝食
4日目の夕食時にストックした炊き込みご飯を解凍しました。
オムレツは耐熱容器に溶いた卵を入れ、ふんわりラップをし、レンジで加熱して作っています。
昼食
野菜だしでパスタを茹で、ストックのホワイトソース、鮭、玉ねぎ、ほうれん草を加えてクリームパスタを作りました。
スクエアスイートポテトは、マッシュしたスイートポテトを四角に成型して、表面に卵黄を塗ってオーブンで焼き、一口サイズに切り分けたものです。
夕食
チキントマトライスは、鶏肉を細かく刻んで炒め、ストックの玉ねぎ、パプリカ、ご飯、トマトペーストを加えてさらに炒めたものです。
ハッシュドポテトは本来は揚げるものですが、今回は細かく刻んだじゃがいもを小麦粉をつなぎにして、オリーブオイルで焼きました。
7日目
朝食
ご飯のおやきは、具材を混ぜたご飯に水と小麦粉を大さじ1ずつ入れ、クッキングライナーを敷いたフライパンで焼いて作りました。
おやきは手づかみでも手がベタベタになりにくいので、後片付けが楽ですよ。
昼食
1日外出だったので、お昼ご飯とおやつ用に野菜と果物を組み合わせたパウンドケーキを焼きました。バターと砂糖は使わずに作っています。
取り分けして食べやすいように、一つひとつラップに包んで持っていきました。
夕食
チキンポテトは、細かく刻んで少量の醤油で炒めた鶏肉を青海苔とストックのマッシュポテト、人参と混ぜ、フライパンで焼きました。
卵サラダはマヨネーズではなく、ヨーグルトで和えています。
離乳食のストック作りのコツは?
離乳食のストック作りで押さえておきたいコツやポイントは以下の通りです。
大人用のご飯の取り分けについて
お味噌汁など薄味で作れるものや、油分が少なく柔らかいものは大人用に作ったものを取り分けて息子に与えています。
反対に、離乳食のストックからツナや鯖のほぐし身などを大人のご飯のおかずとして使うこともあります。
離乳食のストックの保存期間について
離乳食ストックは、冷凍保存した場合、1週間〜10日で使い切るようにしています。
離乳食ストックの解凍方法について
離乳食のストックを解凍するときは電子レンジの加熱機能を使っています。
ただし、温めすぎると水分が飛んで固くなってしまうので、こまめに停止して、解凍具合を確認することが重要ですよ。
離乳食のストック作りの注意点は?
離乳食のストックを使ってやりくりする場合、常温で自然解凍すること、解凍したものを再度冷凍すること、食べ残しを保存することは絶対に避けた方がいいと思います。
なぜなら、雑菌が繁殖するとされているからです。
そのため、離乳食ストックはまとめて茹でたり蒸したりオーブンで焼いたりして、短時間で効率よく作ることが大切です。
離乳食のストック作りはできる範囲で!
離乳食のストック作りは、とにかく楽しく続けることが大切だと思います。
息子は今では何でも食べるようになりましたが、以前は長い間イスに座っていられなかったり、食べるのを嫌がって泣きじゃくったりすることがありました。
何とか食べてほしいと思って作ったものも、握りつぶされ床に捨てられ、何度も悲しい思いをしました。
そんなことが続くと、楽しいはずの食事中もつい不安な顔になったり、眉間にシワが寄ってしまったり…。
そんな悲しい顔のママに食べさせられても、美味しくなかっただろうと猛反省しています。
だからこそ、「食べてくれるかなぁ」「これとこれの組み合わせは好きそうだなぁ」と、息子の喜ぶ顔を想像しながら離乳食のストック作りをするようにしています。
この記事を読んでくださったみなさんも、どうか頑張りすぎず、心の余裕を持って離乳食を進めていってほしいと思います。
今回ご紹介した離乳食のストック作りの方法が、少しでもお役に立てればうれしいです!
Mina
料理インスタグラマー
イギリス在住2年目の専業主婦です。夫と息子との3人暮らしで、日々の料理や離乳食をインスタグラムに投稿しています。