新生児・赤ちゃんの見える世界は?見え方を画像で紹介

生まれてすぐの赤ちゃんは、「まだ、あまり目がよく見えていない」と言われていますが、赤ちゃんから私たちはどのように見えているのか、ちょっと気になりませんか?

そこで今回は、赤ちゃんの目が見える世界を写真で再現してみました。赤ちゃんの視力の発達について、小児科医の武井先生の解説と共に、詳しくご紹介していきます。

知ってますか?新生児の視力のこと

目がキョロキョロと動いて、どこを見ているのか分からない新生児。生まれたばかりの赤ちゃんは、両目の焦点を定める能力が備わっていないため、目的もなく眼球を動かしています。

新生児の視力は0.01〜0.02ほどですが、「まぶしい」「暗い」といった明暗は認識することができます。ママにとっては慣れた明るさも、新生児にとっては刺激が強いので、直射日光を見せないようにしたり、部屋の明るさを調整したりしてあげましょう。

武井先生

武井先生

新生児には、なるべく長時間強い光を見せないようにしましょう。スマホの光や直射日光、カメラのフラッシュなどは赤ちゃんの目には刺激が強いのです。

赤ちゃんの視力はどう発達する?
赤ちゃんの目に見える世界を再現!

ここからは、赤ちゃんから30cm離れた人の顔がどのように見えるのか再現した写真とともに、赤ちゃんの視力の発達についてご紹介します。

新生児の視力

新生児の視力

  • 視力:0.01〜0.02
  • 認識できる色:白、黒、グレー
  • できること:徐々に1点を見つめるようになる

新生児の視力では、明暗だけが区別できるのみなので、実はこの写真のようにぼんやりとしか見えていません。

認識できる色も白、黒、グレーのみなので、モノクロのような世界が見えています。

生まれたばかりの頃はキョロキョロと目を動かしていた新生児も、だんだんと1点を見つめる「固視」を始めて、ママやパパの髪の生え際あたりを見つめるようになります。

武井先生

武井先生

この時期はまだ視力ははっきりしていないので、顔を近くにつけて、赤ちゃんに話しかけてあげてください。

だんだんと、自分の保護者はだれか、はっきり理解できていきますよ。

生後2ヶ月〜生後4ヶ月の赤ちゃんの視力

生後2ヶ月〜生後4ヶ月の赤ちゃんの視力

  • 視力:0.04〜0.08
  • 認識できる色:白、黒、グレー、赤
  • できること:ものを目で追うようになる

赤ちゃんが生後2〜4ヶ月になると、目の焦点を定められるようになり、人間の形などをぼんやりと認識できるようになってきます。

生後4ヶ月近くになると、上の写真よりも少し人の顔が見えるようになるため、ママやパパの口元が笑っているかどうかも分かるようになってきますよ。

動きのあるものを目で追う「追視」をするようになり、目と手が連動して発達するようになります。さらにこの時期になると「赤色」を認識し始め、だんだんと他の原色も分かるようになってきます。

この時期の赤ちゃんの視力でははっきりとした色や形のおもちゃの方が認識しやすいため、赤ちゃんが反応しやすいおもちゃを使ってあげましょう。

生後6〜8ヶ月頃の視力

生後6〜8ヶ月頃の視力

  • 視力:0.1
  • 認識できる色:ほとんどの色を区別できる
  • できること:奥行きや距離感がつかめる

生後6〜8ヶ月頃になると、空間認知能力が発達し始めて奥行きや距離感がつかめるように。赤ちゃんの視力はさらに発達し、認識できる色や形もどんどん増えてきます。

また、人の顔を覚えて、ママやパパと他人のことを区別できるようにもなりますよ。一般的に、この時期になると人見知りが始まると言われていますが、詳しくは後ほどご説明します。

1歳頃の視力

1歳頃の視力

  • 視力:0.2〜0.25
  • できること:目と動作、記憶のつながりが強くなる

1歳頃になると赤ちゃんの視力は0.2〜0.25になり、細かいものまで見えるようになります。上下左右や奥行きなど、立体を把握する力もついてくるので、行動の幅もぐっと広がります。

また、目で見たものと動作、記憶とのつながりも強くなってくるので、この時期はたくさんの物に触れたり、見たりとたくさんの経験をさせてあげてくださいね。

赤ちゃんの視力と色との関係とは?

新生児の視力と色の関係

生まれたばかりの赤ちゃんの目で見えているのはモノクロの世界。視力も弱く、ママが抱っこしたくらいの近さでやっとぼんやりと見える程度です。

視力が発達途上にある赤ちゃんにとっては、コントラストがはっきりしたものの方が認識しやすいと言われているため、たとえばベッドメリーはビビッドな色のものが多いのです。

ただ、生まれたばかりの赤ちゃんは色の違いをまだ認識できないため、白黒のベッドメリーを使うママもいるようですよ。

生後2ヶ月以降の赤ちゃんの視力と色の関係

生後2ヶ月以降から次第に「赤」を認識し、見ている世界に色が増えていきます。色はまず原色を認識できるようになり、次第にパステルカラーのような淡い色が分かるようになると言われています。

しかし視力はまだ弱く、赤ちゃんの視界はぼんやりとしています。

そのため、赤ちゃんのおもちゃは色がビビッドで、大きくて形が分かりやすいものを選んであげることが大切ですよ。

赤ちゃんの視力と人見知りは関係ある?

前にも述べたように、生後6ヶ月頃から赤ちゃんはママの顔を認識できるようになり、ママ以外の人の顔も分かるようになります。

そのため、顔の識別ができるようになるこの時期に人見知りが始まるとも言われています。

しかし、赤ちゃんは生まれてすぐに他人と母親とを区別できるとの研究結果もあり、視力の発達が直接人見知りに関係するのではないようです(※1)。

最近の研究によると、「相手に近づきたい」という気持ちと「相手が怖い」という気持ちの相反する感情の葛藤により人見知りが起きると言われています。

人見知りが強い赤ちゃんもいれば、人見知りをしない赤ちゃんもいますが、なぜ人見知りの程度の差があるのかは、まだ明らかになっていません。

武井先生

武井先生

人見知りをする、しないは、視力の発達との関連は低いでしょう。どちらかというと、人見知りはその子の個性として考えてあげてくださいね。

赤ちゃんの視力の発達はここに注意!

生まれてから発達していく赤ちゃんの視力。大人の目と比べて赤ちゃんの目は繊細なので、ママは以下のことに注意してくださいね。

テレビやスマホを見せすぎていませんか?

日本小児科医会は、乳幼児期にテレビやスマホ、タブレットなどの平面画面を見る時間が長いと、赤ちゃんの視力の発達を妨げると提言しています(※2)。

子育て中にテレビやスマホを全く見せないということは難しいかもしれませんが、赤ちゃんに長時間見せたままにしないようにしましょう。

こういうときは「弱視」「斜視」かも?

赤ちゃんの目は、発達の過程で「斜視」や「弱視」といった病気になることもあります。

黒目が内側に寄りすぎていたり、逆に外側を向いてしまっていたり、フラッシュをたいて写真を撮ると片方の目だけが違う色に光っていたりする場合は、「斜視」の可能性があります(※3)。

また、赤ちゃんがものを見るときに異常に近づいたり目を細めたりする場合は「弱視」の可能性があります(※4)。

どちらの場合も、乳児健診でチェックしてもらえるので早期発見されやすいですが、もし普段の生活で赤ちゃんのものの見方について気になることがあれば、眼科医に相談してみましょう。

武井先生

武井先生

この他にも、赤ちゃんを呼びかけたときに視点があうかどうか、また、赤ちゃんに顔を近づけて、表情が変わるかどうかも見てみてください。

生後6ヶ月以降になっても視点があわない、ママが顔を近づけても表情が変化しないという場合は、視力の発達の問題が疑われる可能性があるので、医師に相談してみましょう。

赤ちゃんの視力の発達をゆっくり見守ろう!

赤ちゃんの目は、私たちが思っているより見えていないことに、驚いたママもいるかもしれません。視力以外にも、赤ちゃんは声や感触などでママやパパを認識していきます。

ぜひ、赤ちゃんにたくさん触れてたくさん話しかけてあげてください。

また、赤ちゃんの視力の発達に合わせて、人の顔や景色などさまざまなものを見せてあげることで、赤ちゃんの世界をどんどん広げてあげてくださいね。


監修:武井智昭

監修:武井智昭

小児科/高座渋谷つばさクリニック


日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。

※1 科学技術振興機構(JST)「赤ちゃんの「人見知り」行動」
※2 日本小児科医会「スマホに子守をさせないで!」
※3 日本小児眼科学会「子どもの眼の発達と年齢ごとの異常所見について」
※4 日本弱斜視視学会「弱視」

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