働くママやパパは、育児休業中の生活費が気になりますよね。育児休業を取得する人たちの強い味方が「育児休業給付金(育休手当)」です。ただ、その受給条件や支給日、申請方法、計算方法についてはわからないという人が多いようです。
そこで今回は、育児休業給付金について、申請に向けて知っておくべきポイントをご紹介します。
育児休業給付金(育休手当)とは?
育児休業中は、会社から給料が支払われません。お金のことが心配で取得をためらうかもしれませんが、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
育児休業給付金(育休手当)は、原則として1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得する人に対して支給されます(※1)。
2023年9月時点では、育児休業を開始する前の賃金の67%(育児休業開始から181日目以降は50%)が支給される仕組みとなっています。
育児休業給付金の受給条件は?
育児休業給付金を受け取るには、以下の条件をすべて満たす必要があります(※1,2)。
● 雇用保険に加入しており、1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得した人(自営業の人や専業主婦の人は対象外)
● 育児休業を取得する前の2年間のうち11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
● 育児休業中に勤務先から賃金の80%以上を支給されていないこと
● 休業している日数が対象期間中毎月20日以上あること(ただし、休業終了月は除く)
ただし有期雇用労働者の場合、「子どもが1歳6ヶ月になるまでに契約期間が満了することが明らかでない」という条件も満たす必要があるので注意してくださいね。
育児休業給付金の計算方法は?
育児休業給付金の計算方法は、以下のとおりです。
休業開始前6ヶ月間の賃金額 ÷ 180 × 支給日数 × 67%
※休業開始後181日以降は50%となります
ただし、育児休業中に会社から給料が支払われ、給料と給付金の合計額が育児休業前の給料の8割を超えてしまう場合は支給されません(※1)。
また育児休業前の賃金月額には、以下のような上限額と下限額があります(※2)。
● 上限額:455,700円
● 下限額:79,710円
※令和4年8月1日時点
取得開始から180日目までは、育児休業前の平均月給が上限額を超える場合は約30万円までしか受け取れず、下限額を下回る場合は約5万3千円が受け取れます。
なお上限額および下限額は、毎年8月1日に変更される場合があるため、厚生労働省のホームページを確認したり、勤務先の担当者に聞いたりするようにしましょう(※2)。
育児休業給付金の受給期間は延長できる?
育児休業給付金は、原則としてママやパパが職場復帰するまで、もしくは子どもが満1歳の誕生日を迎えるまでしか受給できません。しかしママとパパでずらして育児休業を取った場合には、「パパ・ママ育休プラス」という制度で1歳2ヶ月まで受給期間を延長することができます。
また、子どもが1歳になる日時点で以下のいずれかに当てはまる場合は、受給期間を1歳6ヶ月まで延長することもできます(※2)。条件に当てはまるときには、申請を検討してください。
● 保育所への入園を希望しているのに入園できない場合
● 配偶者が死亡した場合
● 離婚などの事情で配偶者と同居しないことになった場合
● 病気やケガなどで養育困難になった場合
● 6週間以内に出産予定がある場合、または産後8週間を経過しない場合
なお1歳6ヶ月になる日時点で上記のいずれかに当てはまる場合は、受給期間を最長で2歳に達する日の前日まで延長することができます。
育児休業を分割取得した場合、給付金はもらえる?
育児・介護休業法の改正により、2022年10月から育児休業が2回まで分割して習得できるようになりました。
それぞれの育児休業中に育児休業給付金を受給できます(※2)。
育児休業を延長する場合は、一定の条件を満たせば育児休業給付金を引き続き受給できます。
詳しくは、お近くの都道府県労働局やハローワークに問い合わせてみてくださいね。
育児休業給付金の申請方法は?
育児休業給付金の手続きは、本人に代わって勤務先が行ってくれることが一般的です。勤務先の担当者に申請期限を確認しておきましょう。
申請書は自分で書かなければいけないので、「育児休業給付受給資格確認票」や「育児休業給付金支給申請書」などの必要書類を事前にもらっておくことをおすすめします。
育児休業に入る1ヶ月前など、勤務先が定めた期限内に必要書類を提出しましょう。
受給が始まると2ヶ月ごとに追加申請が必要になります(※2)。会社が自動的にやってくれるときには困りませんが、個人で申請する必要があるときには提出期限を忘れないように注意してくださいね。
育児休業給付金の支給日は?いつからもらえる?
育児休業給付金の支給日は、おおむね支給決定日から1週間後です。支給決定日は自宅に届く「育児休業給付金支給決定通知書」に記載されているので確認してみてください。
通知書が届いていない場合は、勤務先の担当者に申請が済んでいるか確認してみましょう。すでに申請済みであれば、ハローワークに問い合わせてくださいね。
ただし個人情報保護の観点から電話での問い合わせでは回答してもらえないため、窓口で相談する必要があります(※3)。
育児休業給付金を活用しよう
育児休業中の経済的負担を軽くするためにある育児休業給付金。これに加えて、現在は「出生時育児休業(産後パパ育休)」と呼ばれる休業制度と、それに合わせて支給される「出生時育児休業給付金」があります。
出産や子育てのために、一定期間の育児休業は必要です。育児休業中の生活費が心配な人も多いと思いますが、育児休業給付金や出生時育児休業給付金、会社の制度などをしっかり把握し、活用していきましょう。
※1 厚生労働省「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」
※2 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き 第11章 育児休業給付について」
※3 厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」