「妊娠かな?」と思ったら、まず市販の妊娠検査薬でチェックする女性が多いですよね。陽性反応が出たら産婦人科へ行くことになりますが、初めての産婦人科ではどんなことをするのか、持ち物は何が必要なのか、わからないことがたくさんあると思います。今回は、初めて産婦人科を受診するときの診察内容や流れ、持ちもの、注意点をご説明します。
産婦人科ってどんなところ?妊娠したかなと思ったら行くの?
「産婦人科」は、産科と婦人科を兼ねた科のことです。
産科は妊娠や分娩、産後に関わることを専門にしていて、婦人科は主に婦人科系疾患の治療や妊娠前の健康チェックを診療目的としています。
産婦人科には、総合病院の産婦人科、大学病院の産婦人科、産婦人科専門の個人病院があります。また、レディースクリニックやウィメンズクリニックという名称で、産婦人科の診療を行っているところも増えています。
妊娠の可能性がある場合は、産婦人科がある病院やクリニックで妊娠検査をしてもらいましょう。
産婦人科の初診では何を調べるの?
「妊娠検査薬で陽性反応が出た」「生理が遅れている」「なんとなく体がだるい」といった理由から妊娠を疑って産婦人科を受診すると、まず、「正常に妊娠をしているかどうか」を調べることになります。
「妊娠検査薬で陽性反応が出ていたら妊娠しているということじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、一概にそうとは言いきれません。
妊娠検査薬は、尿中のhCG濃度を検出することで妊娠判定をします。hCG濃度は、子宮外妊娠(異所性妊娠)が起きている、不妊治療でhCG注射の投与を受けている、胞状奇胎や絨毛がんなどの絨毛性疾患がある、といった理由でも一定以上に達するため、妊娠していなくても検査薬が陽性反応を示すことがあります(※1)。
そのため、産婦人科でしっかりと検査や診察をして、正常に妊娠しているかどうかを調べる必要があります。
なお、妊娠ではなく婦人科系の病気や不調で婦人科の検診を受けたいと考えている人は、下記の記事を参考にしてください。
初めての産婦人科はいつ行けばいい?
妊娠週数の数え方では、最後に生理が来た初日を0週0日とします。
受精卵が着床し妊娠が成立するのが妊娠3週頃、妊娠検査薬が陽性反応を示すのが妊娠5週頃です。妊娠5週は次の生理予定日から1週間が経つ頃なので、生理が遅れていることに気付いて妊娠しているかもと考える人も多いですよね。
また正常に妊娠をしていれば、妊娠5~6週頃に「胎嚢」と呼ばれる赤ちゃんが入っている袋を確認することができます。
そのため、生理予定日から1週間ほど経ち、妊娠検査薬で陽性反応が出た、または生理がなかなか来ないというときに、産婦人科を受診するようにしましょう。
初めての産婦人科ではどんな診察をするの?内容は?
産婦人科の初診では、問診票の記入、検査、診察が行われます。
問診票に記入
「最終月経開始日」「生理周期」「妊娠・出産歴」「妊娠の可能性があるか」「持病があるか」「飲酒や喫煙の有無」などを詳しく記入します。
特に重要なのは、最後に生理が来た日です。記録していない場合は、受診前にできるだけ正確な日付を思い出しておくようにしましょう。
検査・診察
問診票を記入後、尿検査、触診、内診、超音波(エコー)検査などが行われます。産婦人科によっては、検査・診察前に医師と話をして、問診票の内容を確認したり、基礎体温を記録している場合は基礎体温表を見せたりすることもあります。
触診、内診、超音波検査では、背後に倒れながら両足を開いていく診察台が使われるのが一般的です。
まずは、お腹の外側から妊娠の状態を確認する触診、次に腟に指を入れて内側から子宮内膜の厚さや状態を確認する内診、その後に超音波検査をします。超音波検査では、妊娠初期に見られる「胎嚢」の有無を確認します。
「胎嚢」はとても小さく、お腹の上からみる超音波検査では映像として見ることが難しいため、腟の中から超音波を当てる経腟超音波検査が行われます。
検査・診察結果の説明
「胎嚢」が子宮の中に認められれば、正常に妊娠していることが診断されます。医師から出産予定日や現在の妊娠週数が伝えられ、今後の健診スケジュールや分娩予約についての説明などがあります。
また、妊娠週数が早いと胎嚢が確認できないこともあるため、子宮外妊娠などの疑いはないものの胎嚢が見られないという場合は、1~2週間後に再度受診するようにしましょう。
初めての産婦人科診察での持ちものは?
妊娠検査で産婦人科を初めて受診するときは、下記の持ちものや服装を参考に準備をしてくださいね。
持ちもの
□健康保険証
□基礎体温表(記録をしていれば)
□現金(2万円くらい)
□生理用ナプキン(内診時に出血することがあるため)
□診察券(他科で受診歴があれば)
基本的に妊娠検査では健康保険が適用されませんが、子宮外妊娠や他の症状があった場合には保険が適用されるので、健康保険証は必ず持参しましょう。
初診料の目安は5,000~15,000円程度と幅が広く、地域や病院、診察内容によっても異なります。現金は少し多めに、2万円くらいは用意していきましょう。
胎嚢確認後、次の健診で赤ちゃんの心拍が確認されると、役所に行って母子手帳をもらうことができます。妊婦健診の費用が助成される補助券も交付されるため、その後の健診では補助券を使うことができます。
服装
触診、内診、超音波検査では下着を脱いで診察台に上がるため、着脱しやすい服がおすすめです。
ワンピースやサロペットなどはスタイルとしては楽ですが、着脱に時間がかかったり、トップスまで脱ぐことになったりする可能性もあるので注意しましょう。靴もできるだけ簡単に脱げるものが便利です。
初めて産婦人科を受診するときの注意点は?
初めて産婦人科を受診するときは、下記のポイントに気をつけましょう。
自分に合う産婦人科を調べておく
そもそもどこの産婦人科に行ったらいいのか、何を基準に探したらいいのかわからないこともありますよね。下記の内容をポイントにリサーチしてみましょう。
● 通い続けられる場所にあるか
● 産婦人科の方針や雰囲気が自分と合っているか
● 分娩までか行っているか、または健診のみで分娩は別の病院になるのか
● 分娩まで行っている場合は、緊急時の医療技術や対応、母子同室ができるか、 バースプランの希望が出せるかなど
里帰りや転居予定で分娩する病院が別になる場合は、初診の際に相談してみましょう。分娩を希望する病院についても早めにリサーチしておくことが大切です。
予約方法を確認する
産婦人科によって、初診でも予約が必要なところと、初診では予約を受け付けていないところがあります。ホームページをチェックしたり直接電話をしたりして確認しておきましょう。
予約をしていても、時間通りに診察が受けられるとは限りません。緊急の出産が入ったり、診察内容で順番が前後したりすることもあるため、スケジュールは余裕を持っておけるといいですね。
初めての産婦人科は焦らずリラックスして
初めて産婦人科に行くときは、誰でも不安を感じるものです。内診は痛みがあるのか、そもそも無事に妊娠しているのか、など心配になりますよね。
実際に産婦人科に行くと、医師が丁寧に説明をしてくれたり助産師さんがサポートしてくれたりして、緊張が和らいだという人がほとんどです。
お腹の中の赤ちゃんのためにも、妊娠検査薬で陽性反応が出たら1~2週間後を目安に産婦人科を受診してみてくださいね。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』pp.35,46