「妊娠・出産で骨盤まわりの靭帯や関節が緩む」と聞いたことがある人は多いかもしれません。産後に緩んだ骨盤まわりを締めないと太りやすくなる…という噂もありますよね。なにか対策をした方がいいのでしょうか。そのままにしておいてもいいのでしょうか。
今回は、産後に緩んだ骨盤まわりはそのままにしておいてもいいのかや、骨盤まわりのサポート方法についてまとめました。
妊娠や出産で骨盤まわりはどう変化するの?
妊娠すると、ホルモンの影響で骨盤まわりの靭帯や関節が緩んだり、大きくなったお腹を支えるために姿勢が変化したりすることで、腰や足のつけ根、骨盤などに負担がかかり痛みがでやすい状態になります(※1)。
出産するとお腹を支える必要はなくなり、産後数ヶ月でホルモンが妊娠前の状態に戻るので、骨盤まわりの緩みも自然に元の状態に戻り、痛みも消えることがほとんどです。
「産後は開いた骨盤を締める必要がある」と耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、妊娠・出産により骨盤自体が開くわけではないので、戻すために何かをしなければならないということはありません。
また、「骨盤まわりが緩むことで太りやすくなる」ということもありません。
ただ、骨盤まわりの状態は自然に元の状態に戻るとはいえ、産後も骨盤まわりなどに痛みがある、痛みがでないように予防しておきたい、ぽっこりお腹を改善したいという場合は、骨盤まわりを鍛えたり、グッズを使ったりしてサポートするのがおすすめですよ。
産後に骨盤まわりをサポートするグッズは?
産後に骨盤まわりをサポートする方法はいくつかあります。以下の方法を参考に、やりやすいものから実践してみてくださいね。
1. 骨盤ベルト
骨盤ベルトと呼ばれる幅広のベルトを骨盤周辺に巻くだけで、骨盤をサポートしてくれます。産後すぐから使えるものが多いですよ。
マタニティや赤ちゃんグッズを扱うお店や一部の産院で販売されていて、インターネットでも手軽に購入できます。
ただし、正しい位置に正しい方法で巻かないときちんとした効果が得られません。痛みや怠さなどの異常を感じたらすぐに外してくださいね。
2. 骨盤ガードルやショーツ
ぽっこりしたお腹が戻らない、という方に特におすすめなのが骨盤ガードルやショーツです。どちらも悪露が落ち着いた頃から着用できますよ。
骨盤ガードルやショーツを着用するときはサイズや着用時間に気をつけましょう。長くつけすぎたり、きつすぎたりすると、本来使うべき筋力が使われずに体幹を支える筋肉が衰えてしまう可能性があります。
素材によっては蒸れてしまい肌トラブルを招くこともあるので、毎日安心して着用できるように素材にもこだわって選びましょう。
3. 椅子やクッション
骨盤をサポートしてくれる椅子やクッションを活用すると、リラックスタイムに自然と正しい姿勢に導いてくれますよ。腰にフィットして背筋が伸びるので産後の姿勢改善にぴったりです。
使いやすいものを選んで継続して使うようにしてくださいね。
骨盤まわりを鍛えるおすすめの方法は?
体操や運動は継続しにくいと感じるかもしれませんが、1日に数分行うだけでも効果が得られるものもあります。特に「骨盤スクワット」は、1回3分程でできますよ。
バストアップやヒップアップなど体の様々な部分を引き締める効果もあるので、産婦人科医に運動の許可をもらったら隙間時間にぜひ取り組んでみてくださいね。
骨盤スクワットのやり方の例
1. 足を肩幅に開き、つま先は開ける最大まで外側に向ける
2. 45秒かけて、腰を落とせるところまで落とす
3. 15秒かけて、元に戻す
4. 今度はつま先をできるだけ内側に向けて、同じように腰を上下させる
5. つま先はそのままで、上体をできるだけ前に倒して約15秒キープ
6. ゆっくり戻して終了
産後は体調を優先しよう
産後に無理に運動をしたり、骨盤サポートグッズを使ったりすると、体の回復が遅くなる可能性があります。まずは体をいたわって、回復を最優先にしましょう。
体調が落ち着いてから、できる範囲で少しずつ骨盤まわりのケアを始めていけると良いですね。
【参考文献】
※1 坂本飛鳥 他『妊娠・産後の骨盤痛が歩行に及ぼす影響:システマティックレビュー』