うんちは赤ちゃんの体調を示すバロメーターです。いつもと違う緑色や黒色のうんちが出ると、「なにか病気なのかな…」と心配してしまうかもしれませんね。
今回は赤ちゃんのうんちは普段何色なのか、体調や病気に注意した方がいいのは何色のときなのかや、対処法などをご紹介します。
赤ちゃんの健康なうんちって何色なの?
大人のものとは色が全然違うので最初は驚くかもしれませんが、赤ちゃんの正常なうんちは明るめの黄色です。
胆汁に含まれるビリルビンという成分の影響を受けて、赤ちゃんのうんちは黄色くなります(※1)。
また、母乳やミルクだけで育っているうちは、下痢のように水っぽいうんちが出ます。離乳食が始まって固形物を食べ始めると、成長とともに少しずつ硬くなっていきます。
また、うんちのなかに白いツブツブが混じっているのに気づき、「これは病気のサインなのでは?」と考える人もいますが、こちらも心配ないとされています。
母乳やミルクを飲んでいる間は、その脂肪分が固まって白いツブツブになることが多いからです。
赤ちゃんのうんちの色が緑!新生児が出すこともある?
黄色と同様に、緑色も正常なうんちです。赤ちゃんのうんちの色は、黄色の色素を持つ胆汁のビリルビンの影響を受けているのですが、これが腸内に滞在する時間が長くなり酸化すると緑色に変化します(※2)。
例えば、うんちの回数が少なかったり、授乳の際に多量の空気を飲み込んだりすると、うんちが腸の中で多くの空気に触れて酸化して緑色になります。
また、母乳育児の場合は、母乳の成分が乳酸菌の生成を促進するため、うんちが酸化して緑色になりやすくなります。このような緑色のうんちは、甘酸っぱいにおいがします。
この他にも、うんちが出た後にしばらく放置されると、空気に触れて酸化して緑色になることもあります。
普段なかなか見ない緑色のうんちを出すと驚いてしまうかもしれませんが、赤ちゃんから緑色のうんちが出ても基本的に問題はありません。
赤ちゃんのうんちが黒色!病気のサイン?
赤ちゃんが食べた物に鉄分や黒い色素が多く含まれていた場合、うんちが黒っぽくなることがあります。数日後に黄色か緑色のうんちに戻っていれば、問題ありません。
しかし、赤黒いうんちが出たときは注意が必要です。うんちに血が混じっているのは、腸から出血している可能性が高いので、速やかに病院を受診する必要があります(※2)。
鮮血が混じっている場合と赤黒い血が混じっている場合があるので、黒っぽいうんちが出たときは赤みがかっていないかを確認するようにしてくださいね。
注意したい赤ちゃんのうんちの色は?
うんち全体がクリーム色や灰白色など、白っぽい色のときは、赤ちゃんが病気にかかっているサインかもしれません。胃腸炎でもこの色の軟便になる場合があります。
もし皮膚も黄色い場合には先天性胆道閉鎖症などの病気が疑われるため、小児科を受診してください(※2)。
先天性胆道閉鎖症になると、腸に胆汁が流れにくくなるため、うんちに黄色い色素が含まれずに白くなるのです。うんちの変化に伴って、皮膚や白目の部分が黄色になる場合があります(※3)。
また、白いうんちをしたときに赤ちゃんがぐったりして食欲がなく、嘔吐もしている場合は、ロタウイルスによる急性胃腸炎の可能性があります(※2)。
食事が取れない、発熱がある場合には速やかに小児科を受診しましょう。
赤ちゃんのうんちの色が緑や黒でも慌てないで!
オムツを替えるときは、日頃からうんちの状態をチェックしておきましょう。うんちの変化に敏感になって、赤ちゃんの体調管理も楽にできるようになりますよ。
もしいつもと違う状態や色のうんちが出たら、そのオムツを持って医師に確認してもらうと、病気の特定がしやすいですよ。その場合は、色やにおいが変わってしまう前に、早く病院へ持ち込むように心がけましょう。
あるいは、写真を撮って、それを見せるだけでも判断材料になります。いつもと違ううんちが出たら、慌てずに落ち着いて対処してあげてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 大阪小児科医会「赤ちゃんのウンチ」
※2 愛知県小児科医会「赤ちゃんのうんち、どう?」
※3 難病情報センター「胆道閉鎖症」