子どもの背中にあせもが!「放置で治る」「シャワーは逆効果」って噂は本当?

気温や湿度が高く汗をたくさんかく時期は「あせも(汗疹)」ができやすいですよね。そのままにしておくと、ひどくなってしまうこともあるため、ママやパパが予防やケアをしてあげることが大切です。

今回は子どものあせもの原因や治し方、薬は効くのかなどについてご説明します。

子どものあせもの原因は?

皮膚炎 あせも 湿疹 ただれ

あせもは、正式には「汗疹(かんしん)」と呼ばれる皮膚の疾患です。汗を分泌する「汗腺」に汗や老廃物、ミネラルなどが詰まって炎症を起こすと、小さな発疹ができます(※1)。これがあせもです。

特に、乳幼児は汗腺の活動が活発です。たくさん汗をかいたあとに放置したままだったり、汗をかいた部分を汚れたままにしたりしていると、汗腺がふさがれて汗が外に出られなくなり、あせもができやすくなるのです。

子どものあせもの症状は?

子どもによく見られるあせもは、汗腺のどの部分が詰まっているかによって、赤いあせも=「紅色汗疹」(こうしょくかんしん)と白いあせも=「水晶様汗疹」(すいしょうようかんしん)の2種類に分けられます。

赤いあせも(紅色汗疹)

皮膚の少し深いところで汗腺が詰まり、皮膚の表面に小さな赤いブツブツができます。子どものあせもでもっともよく見られるタイプです。

背中や首周り、わき、足の付け根、おしりの割れ目、ひざの裏側などにできやすく、かゆみが強いのが特徴です。子どもがかき壊したところに細菌が侵入してかさぶとなり「とびひ」などを引き起こすこともあります(※2)。

炎症がひどくなってくると、大きなブツブツになったり、こすれることで悪化してチクチクとかゆみが強くなったりするので、注意が必要です。

白いあせも(水晶様汗疹)

赤いあせもよりも浅い、体の皮膚の表面に近いところに小さな水膨れのようなものができます。

かゆみがあまりなく自覚症状が少ないので気づかないことも。特別な治療をしなくても、数日経てば自然に消えていきます。

なぜ子どもはあせもができやすいの?

主に以下のような理由で、子どもはあせもができやすいと考えられています。

汗腺が密集している

汗腺の数は大人も子どももほとんど同じですが、子どもは体が小さいので、大人と比べて皮膚の表面に汗腺が密集している状態です。汗腺が密集していると汗が溜まって蒸れやすく、あせもができやすくなるのです。

また、汗をかいても、小さい子どもは自分で着替える、シャワーを浴びるといったことがなかなかできないので、汗腺が詰まってしまいがちです。

汗をたくさんかく

子どもは新陳代謝が活発で水分量が多いので、少しの運動や寝ている間などでも汗をかきます。

また、大人は体温調節機能が発達していますが、子どもの体温調節機能が未熟なので、大量に汗をかきます。

汗が溜まりやすい状態で、汗をたくさんかくため、あせもができやすくなるのです。

子どものあせもの対策は?予防できる?

皮膚を清潔に保っておかないと、あせもは完治せず、繰り返してしまいます。かゆみを我慢するのは、子どもにとってつらいことなので、できるだけあせもにならないように以下のようなホームケアをして予防や対策をしましょう。

汗をこまめに拭く

あせもを気にして汗をかかせないようにするよりも、汗をかいたと思ったら、やわらかいガーゼやハンカチなどでこまめに拭いてあげてください。

汗を拭きとった後は着替えさせましょう。自分で汗を拭き取る習慣をつけさせることも大切です。

シャワーで汗を洗い流す

毎日必ずお風呂に入って、体の表面についた汗を洗い流しましょう。公園で遊んだり昼寝をしたりして汗をたくさんかいたときは、シャワーで洗い流してあげるのも効果的です。

ただし、あまり頻繁にシャワーを浴びすぎると、皮膚に逆効果となってしまうこともあるので、夏場でもシャワーの回数はほどほどにしましょう。

通気性のよい衣類を選ぶ

通気性の悪い衣類を身に着けていると、汗をかいたときに蒸れやすくなり、あせもの原因になります。

袖口が広く、襟元もスッキリとした衣類を選ぶようにして、吸湿・速乾性のある肌着を身につけさせましょう。

あせもは夏にできるというイメージが強いですが、暖房の設定温度が高すぎたり服を着せすぎたりすると、冬にあせもができることがあります。

冬でも、子どもが寒い思いをしない程度に薄着を心がけましょう。こまめに着替えをさせてくださいね。

室温を適切に保つ

外の気温が暑いときは冷房を適切に使って調整しましょう。サーキュレーターや扇風機などで、部屋の空気を循環させるだけでも体感温度が下がり、汗が落ち着きますよ。

ただし、汗が全く出ず寒いと感じるほどに冷やしすぎないように気をつけてくださいね。

子どものあせもの治療法は?薬で治る?

白いあせもは、放っておいても自然に治まっていくので特別な治療は必要ありません。

一方、赤いあせもができて基本のケアをしても症状が改善しない場合や、症状がひどくてかゆみが引かない場合は、小児科や皮膚科を受診してきちんと治療しましょう。

病院では、症状に合わせて炎症を抑える作用のある塗り薬が処方されます。薬を使えば、基本的に数日で症状が落ち着きます。

ただし、突発性発疹や手足口病などでも、あせものような湿疹が現れることがあります。

薬を数日ほど使っても炎症が改善されない、あるいは発熱など湿疹以外の症状がある、といった場合は、小児科を受診してくださいね。

子どものあせもの予防は清潔第一

肌を清潔に保ち、できるだけ涼しい環境で過ごすことが、あせもの予防につながります。

炎症がひどくなるとかゆみを我慢できなかったり、かき壊した傷口から細菌が入ってしまったりする恐れがあるので、ひどくなる前にしっかりケアしてあげてくださいね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。

※1 日本皮膚科学会雑誌「新・皮膚科セミナリウム 発汗と皮膚疾患 3.発汗と皮膚炎」
※2 日本皮膚科学会「とびひ」

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