お腹や太ももなどにできた妊娠線がかゆくて仕方がないという人もいますよね。かゆみをひどくさせないために何か対策はあるのでしょうか。
そこで今回は、妊娠線のかゆみの原因と対策方法についてご説明します。
妊娠線とは?
妊娠線とは、妊婦さんのお腹や太ももなどの皮膚の表面にひびが入ったような状態になり、赤紫っぽく見える線のことです。
妊娠5〜7ヶ月頃からお腹がより前にせり出してきますが、その過程で皮膚が引っ張られ、皮膚の内側の真皮と呼ばれる部位に亀裂が入ってしまうことが原因です(※1)。
妊娠線が現れるかどうかには個人差があり、まったくできない人もいれば、1本だけできる人、数十本できる人もいます。
妊娠線がかゆい原因は?
妊娠線は皮膚が乾燥しているとできやすくなるといわれています。
乾燥して皮膚がカサカサになるとバリア機能が低下してしまい、アレルゲンや刺激物質が入り込んでかゆみを起こしやすくなります。
また、妊娠中はホルモンの変化や皮膚が引き伸ばされる刺激などの影響でかゆみが起きてしまうこともあります。
妊娠線がかゆい…でもかきすぎると跡が残る?
妊娠線のかゆみに耐え切れずに爪でかいてしまうこともあるかもしれません。しかし、かきすぎて皮膚を傷つけてしまうと、色素沈着が起こるおそれがあります。
妊娠線は時間が経つと白っぽくなりますが、その周囲が色素沈着の影響で黒くなっているとかえって白い線が目立ってしまう可能性があります。
また、かきこわしたところから細菌が入って化膿してしまうことも。かゆみ対策をしながら、なるべくかかないように注意してくださいね。
妊娠線のかゆみ対策は?
妊娠線のかゆみを我慢し続けるのはつらいですよね。かゆみを抑えるために以下の方法を試してみてください。
保湿をする
乾燥はかゆみを悪化させる原因なので、妊娠線まわりを中心にしっかりと保湿をしましょう。低刺激の妊娠線予防クリームなどを朝・昼・晩とこまめに塗ってあげてくださいね。
肌が潤うとかゆみが抑えられるだけではなく、肌がやわらかくなってひび割れが起こりにくくなるため、新たな妊娠線ができるのを予防する効果も期待できますよ。
下着の素材に注意する
敏感な肌に刺激を与えないように、肌に直接触れる下着の素材に気をつけましょう。摩擦が起きやすい化学繊維素材の下着ではなく、シルクやコットンなどの自然素材のものを選ぶのがおすすめです。
また、縫い目部分やゴムの部分なども刺激が強いので、できるだけ縫い目や締めつけが少なく、ゆったりと着られるものがいいですよ。
体を清潔に保つ
汗や皮脂、ホコリなどで体が汚れていると刺激になってかゆみが起こることもあります。ムレるのもかゆみの原因なので、汗をたくさんかいたらシャワーを浴びたり、下着を替えたりして体を清潔に保つことが大切です。
冷やす
お風呂に入ったあとなど、血行が良くなるとかゆみが強くなるというときには、濡れタオルなどをやさしく当ててみてください。冷やすことで一時的にかゆみが治まることもありますよ。
軽く叩く
軽く叩く刺激でもかゆみを和らげることができます。どうしてもかきたくなったら、お腹以外の場所であれば軽く叩くことで、皮膚への負担を少なくしながらかゆみを抑えられますよ。
妊娠線のかゆみが治まらないときは病院に相談しよう
妊娠線のかゆみは、どれだけ対策をとっても完全に防ぐのは難しいものです。病院ではお腹の赤ちゃんへの影響が少ないかゆみ止めの薬を処方してもらえることがあります。どうしてもかゆみを我慢できなければ、早めに産婦人科の医師に相談してくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 南江堂 『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』pp.46-47