胸焼けは妊娠初期に多い症状の一つで、悩んでいる妊婦さんもたくさんいますよね。つらい胸焼けは、どのように対処すればいいのでしょうか。
そこで今回は、妊娠初期の胸焼けの原因や治し方、注意点についてご説明します。
妊娠初期の胸焼けの原因は?
妊娠初期の胸焼けの原因は、主に以下のようなことが考えられます。
つわり
妊娠初期の胸焼けは、消化器系のトラブルを起こすつわりの一種として考えられることもあります。
少し食べただけでも、まったく食べなくても胸焼けの症状が現れるなど、症状の感じ方は人によって異なるのが特徴です。
つわりによる嘔吐で胃酸が食道を荒らして、胸焼けが起こることもあります。
ホルモンバランスの変化
妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えます(※1)。
このホルモンが活発になっていると胃腸の働きが弱まり、食べたものをうまく消化できなかったり、胃酸の分泌量が増加して逆流しやすくなったりすることで、胸焼けが起こりやすくなると考えられています。
妊娠初期の胸焼けの治し方・対処法は?
妊娠初期の胸焼けを治すには、以下の対処法を試してみましょう。
1回の食事量を減らす
1回の食事で食べ過ぎると胃酸がたくさん出て胸焼けを起こしやすいため、1回の食事量は減らして、5~6回に小分けにするのがおすすめです。
空腹になると吐き気をもよおす「食べつわり」の人は、空腹時や寝起きに胸焼けを起こしやすいので、さっと食べられるお菓子やフルーツなどを持ち歩いたり、寝るときは枕元に置いたりしてすぐに口にできるようにしてくださいね。
食事内容を見直す
脂っぽい食事やスパイスのきいた刺激的なメニューは胸焼けを引き起こしやすくなるので控えましょう。
就寝前の飲食を控える
就寝直前に飲食をすると、寝ている間に胃酸が分泌されて胸焼けを引き起こす原因になるので、なるべく控えてくださいね。
寝る時に頭を高くする
前にかがんだり、横になったりすると胃酸が逆流するので、寝るときに少し頭を高くしてみると逆流を予防できます。クッションや抱き枕などを使って、楽な姿勢を見つけてください。
食後はすぐに寝転ばない
食後は特に胃酸の分泌量が増えるので、食べたあとはすぐに寝転ばず、ソファーや座椅子、クッションなどで体を起こした状態で休みましょう。
妊娠初期の胸焼けの注意点は?
妊娠初期に胸焼けがあると、薬を頼りたくなるかもしれません。ただし、妊娠初期は、赤ちゃんの重要な器官が形成される時期で、薬を服用すると悪影響を及ぼすリスクがあります(※2)。
自己判断で薬を飲むことはやめて、症状がつらいときは、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
妊娠初期に体調の不安があるときは産婦人科へ
胸焼けは妊娠初期に起きやすいマイナートラブルで、つらい時期が続きますよね。
今回ご紹介した対処法の中で自分に合うものを見つけつつ、くれぐれも無理をせず体調に不安があるときは早めに医師に相談してくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』pp.36〜37
※2 南江堂 『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』pp.2-4