妊婦健診で行うエコー検査の項目にある「BPD」の値が気になる妊婦さんもいますよね。週数に応じた大体の基準が知りたい人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は胎児のBPDでわかることや週数ごとの値についてご説明します。
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エコーのBPDは胎児の何がわかる?
「BPD(児頭大横径)」は、赤ちゃんの頭の左右幅で一番大きいところの直径を測定した値のことです(※1)。
妊婦健診で行われるエコー検査で妊娠12週ごろから測定されはじめます。
BPDは、他に測定されるCRL(頭からお尻までの長さ)などと合わせて出産予定日を決定したり、赤ちゃんの推定体重を計算したりするのに使われます(※2)。
胎児のBPDの週数ごとの値を表でチェック
上記はBPDの週数ごとの値を示した表です。元気に生まれてきた赤ちゃんの95%がこの値のなかに入るといわれています(※1)。
ただし、BPDはあくまでもエコーで測定したものなので、誤差が生じやすく、実際よりも頭の大きさがズレているケースもあります。
医師から特に指摘を受けていなければ、表の数字とズレていても不安に思いすぎる必要はありませんよ。
BPDが週数平均より大きい・小さい原因は?
妊婦健診の際に医師から「赤ちゃんの頭が大きい・小さい」と伝えられることがあります。
頭の形はそれぞれですが、BPDの測定の際に頭の形が縦に長いか横に長いかということは、考慮されていません。
機能は正常でも、頭の形が縦に長いタイプの赤ちゃんはBPDが短く「頭が小さい」、横に長いタイプの赤ちゃんはBPDが長く「頭が大きい」と判断されやすくなります。
「少し頭が大きい・小さいかもしれない」という言葉だけであれば過度に心配する必要はありません。
ただし、追加で検査をした上で頭の大きさについて医師から指摘を受けた場合は、以下のような病気の可能性があります(※3)。
胎児の頭が大きい場合
- 脳の周りの水分がたまる「水頭症」
- 21番目の染色体が通常より1本多く存在することによって起こる「ダウン症」など
胎児の頭が小さい場合
- 脳の大きさが小さい「小頭症」
- 頭の骨の欠損により、頭の中身が外に飛び出した状態の「脳瘤」など
- 何らかの理由で脳に障害が加わったことにより脳全体がなくなってしまう「無脳症」
BPDの値で出産予定日の計算は変わることもある?
妊娠初期にCRLやBPDを超音波で測定し、赤ちゃんの大きさをもとに正確な妊娠週数を確定させるので、最初に伝えられていた出産予定日が変わることもあります(※3)。
妊娠が確定した段階では、出産予定日は最終月経開始日を0日目として計算しますが、排卵日がズレている場合もあるので、赤ちゃんの大きさによって妊娠週数を修正します。
妊娠初期の段階は赤ちゃんの成長の個人差が少ないため、超音波で計測した値と標準の大きさと照らし合わせて、より正確な妊娠週数を出すことができますよ。
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監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 日本超音波医学会 「超音波児計測の標準化と日本人の基準値」
※2 日本産婦人科学会 「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」p.83
※3 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.52