体調が不安定な妊娠初期は下腹部痛に悩む人も多いです。下腹部痛があると、いつまで続くのかやどうして起こるのかが気になりますよね。
そこで今回は、妊娠初期の下腹部痛について、原因や痛みが続く・なくなる理由や対処法、受診の目安などをご説明します。
妊娠初期の下腹部痛が続く原因は?
妊娠初期はチクチクとした痛みや、キュッと引っ張られるような痛みなど、特に異常がなくても下腹部痛が起きやすい時期です。
主に妊娠によって起こる生理的な現象の一つなので、安静にして治まるようであれば心配しすぎる必要はありません。
妊娠初期の下腹部痛の原因は、主に以下の3つです。
子宮が引き伸ばされる
妊娠前の子宮は鶏卵くらいの大きさですが、妊娠3ヶ月の終わりにはこぶし大に、妊娠4ヶ月の終わりには新生児の頭ほどにまで急速に大きくなります(※1)。
この過程で子宮自体が大きく引き伸ばされることによって、下腹部痛を感じることがあります。
子宮を支える靭帯が引っ張られる
子宮が大きくなることにより、子宮を支える左右の靭帯が引っ張られ、ピリっとした痛みを感じることも。
子宮は均等に大きくなるわけではないので、人によっては左右両方に痛みを感じる場合や、どちらかのみで感じる場合もあります。
便秘になりやすくなる
妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増える影響で胃腸の働きが弱まることや、大きくなる子宮に臓器が圧迫されることが原因で便秘になりやすくなります(※1)。便秘になるとお腹が張って痛みを感じることもあります。
妊娠初期の下腹部痛がなくなるのはなぜ?
妊娠初期の下腹部痛は、妊娠の経過とともになくなることは決して珍しいことではありません。便秘が解消されたり、ホルモンバランスの変化に体が慣れたりすることで、自然となくなるケースもあります。
ただし、下腹部痛が急になくなる原因の一つとしては、流産の可能性が考えられます。妊娠初期の流産は、全妊娠の15%前後に見られ、妊娠12週未満の早い時期での流産が8割以上とされています(※2)。
妊娠初期の流産は胎児の染色体異常が原因であることがほとんどで、妊婦さんがどんなに気をつけていても防げるものではありません(※2)。
妊娠初期に感じていた下腹部痛が突然なくなると、「赤ちゃんは大丈夫かな」と不安になるかもしれませんが、出血や我慢できないほどの痛みがない場合は、落ち着いて様子を見てくださいね。
妊娠初期の下腹部痛の対処法は?
下腹部痛があるとつらいですよね。根本的に解決するのは難しいですが、以下のような対処法を行いましょう。
安静にする
妊娠初期は下腹部痛にかかわらず体調が不安定な時期なので、無理をせず横になる、座るなど楽な姿勢で安静にすることが一番大切です。
外出をしているときは、ゆっくり歩く、電車やバスではなるべく座るなどの工夫をして休息をとるようにしましょう。
体を温める
体が冷えてしまうと、血行が悪くなり下腹部痛が悪化する可能性があります。
腹巻きや膝掛け、レッグウォーマーなどを使う、生姜湯などの体を温める飲み物を飲む、湯船にゆっくり浸かるなどの方法で、体を冷やさないように過ごしてくださいね。
便秘を解消する
下腹部痛の原因が便秘である場合は、便秘の改善をしましょう。つわりの症状がある人は、体調が落ち着いているときに、食物繊維や乳酸菌、水分などを積極的に摂取してお腹の調子を整えてくださいね。
妊娠中に飲めない便秘薬もあるので、自己判断で便秘薬を飲むのは避け、病院で相談するようにしましょう。
妊娠初期の下腹部痛で受診する目安は?
基本的に妊娠初期の下腹部痛は、安静にして治まるようであれば、大きな心配はありません。
流産を起こしかけている「切迫流産」の場合に軽い腹痛や少量の出血があることはありますが、夜間や休日であればすぐに救急外来に行く必要はなく、翌日か予定している健診での受診で問題ないとされています(※2)。
ただし生理のときより多い出血を伴ったり、我慢できないほどの激しい腹痛が続いたりするときは、子宮外妊娠(異所性妊娠)である可能性があるため、すぐに病院を受診してください。
体調に不安があるときは、遠慮せずに病院で相談するようにしましょう。
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監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学2 産科編』p.36-37,91-92
※2 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」