私がエバーセンスに入社した4月下旬は、まだ春の桜の名残を感じさせる若葉の香りが、辺りを包んでいました。入社2ヶ月を迎え、いつの間にか朝家を出ると夏の香りに満ちているのに気付き、月日の流れの早さにハッとさせられます。
入社初日は、新卒時代を思い出すようなドキドキ感を抱えつつ、引くはずの入り口のドアを押し続け…
あれ?あっ…開かない!いきなり門前払いなのか!?と焦った日を懐かしく思い出します(最近自分のドジさに拍車がかかっている気がして焦る30歳…笑)。
申し遅れました私、4月に入社をした塙 佑佳と申します。1歳10ヶ月の娘と5歳年上の主人の3人家族です。
つい先日、娘を保育園へお迎えに行った帰り道、何もないところを指差して「トトロ!」と叫んだ娘。
「え!トトロいるの?」と探しましたが、娘が指差した先に、トトロを見つけることはできませんでした。
やはり子供にしか見えないのでしょうか…
(ジブリ好きなので、トトロは本当にいるんじゃないかと思っています)。
でも、道端に落ちている葉っぱですら、目を輝かせて拾う娘を見ていると、当たり前の景色を特別に変えてしまう感性を、子供は持っているのかもしれません。子供といると、当たり前のことが新鮮に思えたり、忘れかけていた大切なことに気付かされたり…。子供を育てているというよりも、親は子供に育てられているのだなと実感する瞬間の多い毎日です。
そんな新米ママの私が、これまで歩んできた背景と、エバーセンスとの出会いについて今回はお話させていただきます。
▲打ち合わせ中を隠し撮りされたひとコマ。
夢を叶え、忙しくも充実した日々
幼い頃から、文章を書くことが好きだった私。叔父が新聞記者、叔母が雑誌編集者ということもあり、小学生の頃から出版業界への関心はありました。大学時代のアルバイトも、某大手新聞社の原稿係として、記者の方のサポート業務を担当(館内放送もしたり、今思うと貴重な体験)。
私は夕方から、午前0時までの勤務だったので、帰りは社員の方と相乗りでタクシー帰宅。首都高から見える東京タワーのオレンジ色の灯りを横目に、年上の記者の方と家に着くまでの長い時間、人生について語らうこともしばしば…。普通とは少し違う、濃密な学生時代を過ごしていた気がします。
大学を卒業してからの約6年間は、ガーデニングという言葉を世に広めた編集長の元、ガーデン、インテリアを中心とした雑誌の編集に携わりました。私が入社して2年目で創刊20年。センスの良い読者も多く、全国各地の素敵な家と庭をたくさん取材しました。繁忙期は毎日終電帰りで…不規則な生活は日常茶飯事。でもそれ以上に得るものも多く、毎日色んな人に会えるのが刺激的で充実した日々を送っていました。
しかし突然、人生の分岐点となる出来事が訪れます。
大切な人を失って、気が付いた
私が望む生き方とは何か
私は数年前、当時26歳のときに突然父を亡くしました。父は実家から私たち兄弟に会うために車で東京に向かう途中、突然意識を失いそのまま旅立ってしまいました。運転していたにも関わらず、誰も傷付けることなく旅立った姿は、誰に対しても優しかった父らしい最期だと今は思います。
自他共に認める仲良し一家で、上京して離れても、幸せな時間をたくさん共有してきた家族5人。初めて経験する身近な人の死が突然過ぎて、驚きと後悔と寂しさで立ち直るまでに時間を要しました。事実は小説よりも奇なりという言葉がありますが、皮肉にもこんな形で、身を以て知ることになるとは。一生かけても消えぬ悲しみがあることを知りました。
父が亡くなった直後は、仕事が繁忙期の真っ只中で、昼間は全ての感情を押し殺して仕事に没頭し、帰宅後に一人泣き崩れる日々。大切な家族を失っても、簡単に休めない…寄り添ってあげたい家族に会う時間さえなくて…このままで良いのだろうか…そんな感情が芽生え始めていました。
迷いながらも仕事を続け、父が亡くなって、ちょうど1年後の命日を迎えた翌日、兄夫妻に子供が誕生しました。生まれ変わりとか因果めいたことは分かりませんが、ただそのとき強く感じたのは、「ああ、命はこうやって繋がれていくんだな…」という確かな思いでした。失われる命があれば、また新しく生まれる命もある。その経験が「私も命を繋いでいきたい、そして自分が育ったようなあたたかくて幸せな家庭を築きたい」と強く決心させるきっかけになりました。
その後、辛い時期にずっとそばで支えてくれた主人と結婚し、すぐに妊娠。生まれてくる子供と主人と0から新しい生活を始めようと、妊娠を機に退職を決意しました。
▲新米パパ時代の初々しい主人。
心機一転、新しいスタート
でも仕事と家庭の両立に悩む毎日
退職後の約1年間は仕事に携わることは一切なく、主人と子供のために時間を使いました。
しかし、もともと仕事人間だったので、仕事をしたい思いが抑えきれず…家なら稼働できるのではと、フリーランスで仕事を再開することに。開始早々実感したのは、家で娘のそばにいられるし仕事も快調!なんて考えが、まず甘いこと。
自分が仕事をしたいときに限って娘がグズり、結局娘が寝た深夜に集中して仕上げる毎日が続きました。寝不足で娘に優しくできなかったり、仕事も満足いくパフォーマンスがあげられない…。フリーランスで苦労するなら、以前のような仕事を続けながら家庭も両立させるなんて、夢のまた夢なのかな。諦めかけていたそんなとき、Wantedlyで見つけたのがエバーセンスでした。時間ではなく成果で評価してくれる、自分の裁量で働けて家族との時間も確保できる…ここなら自分らしく働けるかもしれない。
娘を保育園に預けることへの躊躇もあり悩みましたが、主人が「ゆかはゆかの人生を生きていいんだよ。君のその思いを家の中だけに閉じ込めておくのはもったいないよ」と背中を押してくれ、踏み出すことができました。
そして出会ったエバーセンス
初めてメールのやり取りをしたときから、とても心地の良い、素敵な雰囲気を文面から放っていたまきこさん。面談でお話したときもそのイメージはブレず、さらにキラキラして見えました。何より仕事も家庭も大切にしながら、心から生き生きと日々を過ごしている様子が伝わり、エバーセンスなら私の理想が叶えられるかもしれない!とぐんぐん引き込まれていったのを覚えています。
最初に面談をした直後は、保育園が決まらず、すぐに働くことができなかったため、一度は断念。
しかし数ヶ月後、ダメ元で応募した保育園から抽選に当たったと連絡をもらったその日に、再度まきこさんからも連絡をいただきました。不思議な偶然…でも必然のような強い縁に導かれ、トントン拍子で採用が決まり、今に至ります。
私が面談をしたまきこさん、けいたさん、牧野さんは、3人ともやさしく穏やかな雰囲気ながら、胸の奥には常にブレない芯の強さを感じ、とても心惹かれました。
エバーセンスに入って思ったのは、それは社員全員に共通しているな…というところ。のんびり歓談モードから一転、ピリリッと空気が代わり集中モードに入ると、みんなびっくりする程まっすぐで真剣な瞳に変わる。内に秘める熱というか、個々が心の中に持つ強い意志の光が、エバーセンスをより高みへと導いているんだなと、日々実感しています。
そしてもうひとつ、私自身がエバーセンスに入って改めて実感したことは、当たり前は、こんなにも幸せだということ。娘と保育園帰りに手を繋ぎ、夕日がきれいだねーなんて言いながら笑ったり。おやすみって、家族3人一緒のベッドで眠りについて、おはようってまた一緒に起きられること。
働きながらも、家族の時間がしっかり持てる今、何気ない日々の一瞬一瞬を、とても幸せに感じるんです。この感情は、仕事も家族の時間も大切にできる、エバーセンスの環境がくれた贈り物だと思っています。
▲娘はシャボン玉が大好き!夢中で追いかける姿を眺めるのが最近の楽しみ。
今日も生きる、当たり前だけど、宝物のような毎日を
大袈裟かもしれませんが、私は今日人生が終わっても後悔しないくらいの心構えで、1日1日を生きるようにしています。もちろん、つまらないことで娘に怒ってしまったり、仕事でミスをしたり、反省ばかりの日も多いです。でも1日の終わりには、必ず今日の私を支えてくれた周りの人たちに、「ありがとう」と思える自分でありたいと思っています。
余談ですが、不器用で人見知りな自分を、あたたかく迎えてくれるエバーセンスのメンバーには感謝しています。初日の自己紹介以降、ドッジボール好きキャラになっておりますが(笑)スポーツ観戦がとにかく好きです。
野球は東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアムへは仕事帰りによく観戦に行きました。他にもサッカー、テニス…スポーツは大体何でも見ます(オリンピック期間はまさに私にとって天国!)。朝活で映画を撮ったり、下北の本屋さんでイベントのインターンをしてみたり、割と行動派なので、徐々に色んな面を出していけたらと思っています。
私より絶対先に死なないと約束してくれた旦那さんと、元気がないときは「ママ、ぎゅーっ」と言って抱き締めてくれるやさしい娘。
そんな2人の存在と、もうひとつの家族みたいにあたたかい、陽だまりみたいなエバーセンスのメンバー。
そんな人たちと過ごす当たり前のようで、でも二度と同じ日はやって来ない、宝物のような日常。
今日もそれを抱き締めながら、私はエバーセンスでごきげんに働いています。