赤ちゃんに刺身や生魚はいつから食べさせていいの?

みんなが集まる場やお祝い事のタイミングでよく出される刺身。赤ちゃんに生の魚をいつから食べさせていいのか気になっている人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、赤ちゃんに刺身や生魚はいつから食べさせていいのか、食べさせる際の注意点などをご紹介します。

赤ちゃんの刺身や生魚はいつからOK?

刺身 生魚

赤ちゃんに刺身や生魚を食べさせても良い時期に明確な指標はありませんが、消化器官が整いはじめ、大人と同じものが食べられるようになってくる2歳以降にしましょう(※1)。

赤ちゃんの胃や腸などの消化器官は、大人に比べて未発達のため、刺身や生魚のような生のたんぱく質を消化する能力が不十分です。

また、生の魚は食中毒やアレルギーのおそれもあります。抵抗力が未熟な赤ちゃんには衛生面からも勧められません。

赤ちゃんに魚卵を食べさせていいの?

たらこやいくらなどの魚卵は、消化・衛生面に加えて、塩分を摂りすぎてしまうことがあります。与えていい時期に明確な決まりはありませんが、3歳以降を目安に少量ずつが良いでしょう(※2)。

魚卵は醤油などで漬けてあり、塩分が多すぎるため、赤ちゃんの体の負担になりやすい食べ物です。

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」によると、1日あたりの食塩摂取量の目標は、1~2歳の子どもで3.0g未満です(※3)。

軍艦巻き2貫に乗っているいくらの量(10g)でも0.5gほどの食塩が含まれているため、すぐに1日の許容量をオーバーしてしまうこともあります(※3)。

加熱した刺身はいつから食べていい?

離乳食期の赤ちゃんに生の刺し身を食べさせることはできませんが、加熱をした刺し身なら、魚の種類によっては食べさせることができます。

刺身用の切り身として売られている魚は、骨がないため調理がしやすく、鮮度もいいので、加熱したものであればむしろ、離乳食期の赤ちゃんにおすすめですよ。

刺身用に売られている魚のなかで、離乳食期の赤ちゃんに加熱して食べさせてをいい魚を時期別にご紹介します。

離乳食初期から食べられる魚

鯛/かれい/ひらめ/たら

初期は白身魚が基本です。火を通しても身がやわらかく、脂質が少ない淡白な味なので、初期から与えられます。塩付けなど味付けされていないものを使いましょう。

離乳食中期から食べられる魚

鮭/まぐろ(赤身)/かつお/めかじき/ぶり

白身魚に慣れた離乳食中期頃から食べられる魚です。めかじき・ぶりは中期から食べられますが、脂質が多いため、他に食べられる魚に慣れた頃が良いでしょう。

鮭は、アレルギー症状を引き起こしやすい「特定原材料等28品目」のひとつです。初めて食べさせるときは、アレルギー症状が出た場合や心配ごとに備えて、かかりつけの医療機関を受診できる曜日の午前中に与えましょう。

離乳食後期から食べられる魚

あじ/いわし/さんま/さば/さわら

上記は中期までの魚に慣れたあとに食べられる魚です。皮と骨を丁寧に取り除いて、細かくほぐしてから与えましょう。

さばアレルギー症状を引き起こしやすい「特定原材料等28品目」のひとつです。また、魚のすり身にはアレルギー症状を引き起こしやすい特定原材料である「エビ」「カニ」、つなぎに「小麦粉」や「卵」が使われている場合があります。

初めて食べさせるときは、アレルギー症状が出た場合や心配ごとに備えて、かかりつけの医療機関を受診できる曜日の午前中に与えましょう。1日1口からはじめて、様子を見ながら量を増やすようにしてください。

生魚を初めて食べさせるときの注意点は?

赤ちゃんが2歳を超えて消化器官が整えば、刺身や生魚を食べられるひとつの目安となります。ただし、食べさせる際は以下に気をつけてください。

骨やうろこ、筋などに注意する

丸々一匹の魚を捌いたときなどは、調理の過程で赤ちゃんの食べる分に骨やうろこが入ってしまう可能性があります。また、刺身用のさくや切り身の場合でも、筋や細かい小骨、うろこが残っていることもあります。

これらが残っていると、骨が喉に刺さったり、喉に詰まらせてしまう原因にもなり得るので、食べさせる前に残っていないかを確認しましょう。

食中毒に注意する

刺身には食中毒を起こすウイルスが混入していることがあります。また、鮮度が落ちたものを食べると、少量でも嘔吐や下痢などの症状が現れることがあります。

そのため、刺身や生魚を与える際には、必ず新鮮なものを直前まで冷蔵庫で保管した上で与えるようにしましょう。魚のなかでも特に青魚は、鮮度が落ちやすく傷みやすいため、生で与えるのは避けたほうがいいでしょう。

最初はごく少量だけ食べさせる

魚のなかには、前述のとおりアレルギーの原因となり得る種類のものもいます。

赤ちゃんに初めて刺身や生魚を食べさせる際は、念のため少量だけ食べさせ、その後アレルギーの症状が出ていないか様子を見ましょう。

刺身や生魚、いつから与えるかは慎重に

2歳を過ぎて消化器官が整ってきたとしても、刺身や生魚は「食べさせなくてはいけない」というものでもありません。そのため、ママやパパから無理に食べさせるのではなく、本人が欲しがったらあげるようにしましょう。

魚のなかにはアレルギー症状が出るものもあります。生魚を食べられるようになっても、刺身なら1切れ丸々与えるのは避け、初めて食べさせる離乳食と同じように少しずつ与えるところから始めましょう。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。

※1 母子栄養協会「お刺身は何歳から食べられる?」
※2 母子栄養協会『イクラは何歳から食べられる?』
※3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

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