本陣痛と前駆陣痛の違いとは?痛みの程度・持続時間・間隔などまとめ!

妊娠後期に入ると、出産のことを意識し始めますよね。「もうすぐ赤ちゃんに会える!」という嬉しい思いと同時に、陣痛がどんな痛みなのか、どれくらいの間隔で陣痛がくるのか心配になる人も多いでしょう。

そこで今回は出産を落ち着いて迎えられるように、陣痛の痛みや間隔、前駆陣痛から本陣痛までの時間や違いについてご紹介します。

陣痛って?段階があるの?

陣痛とは、赤ちゃんを子宮外へ押し出そうと子宮が収縮するときに感じる痛みのことです。

陣痛は分娩時にだけ起こるわけではなく、臨月に入った頃から出産の準備として起こりはじめ、段階的に痛みが強くなっていきます。

一般的に陣痛というと「本陣痛」のことを指します。分娩前に起こる「前駆陣痛」と赤ちゃんを産むための「本陣痛」は違うので、注意してくださいね。

前駆陣痛と本陣痛の違いは?

出産に向けて、妊婦さんの体は徐々に変化していき、まず前駆陣痛が起こり、それから本陣痛へと変わっていきます。

この2つの陣痛の違いは、具体的には次のような点があります。

前駆陣痛とは?

前駆陣痛(偽陣痛)は、本格的に分娩が始まる前の準備として起こります。前駆陣痛は、赤ちゃんを押し出すためではなく、赤ちゃんの通り道である子宮の下部や子宮頸管をやわらかくしておくための動きです。

痛みはそれほど強くなく、強くなったり弱くなったりします。なかにはお腹に圧迫感がある程度、あるいはお腹が張るだけという人もいます。

前駆陣痛は痛みを感じたときに姿勢を変えると痛みが治まることがあるのが特徴です。

本陣痛とは?

本陣痛とは、正式には分娩陣痛といい、子宮の筋肉が収縮して赤ちゃんを押し出そうとするためのものです。子宮口が広がり子宮が強く収縮するため、規則的な強い痛みをともないます。

本陣痛の場合、陣痛が進むにつれて痛みの範囲は広がり、姿勢を変えても痛みがひくことはありません。

陣痛が始まってからは、子宮口が赤ちゃんの頭が通れるほどに広がる「第1期」、赤ちゃんが産道を通る「第2期」、赤ちゃんが出たあと胎盤が出るまでの「第3期」と出産が進んでいきます。

陣痛の間隔はどれくらい?

前駆陣痛と本陣痛では間隔にも違いがあります。

前駆陣痛の間隔

前駆陣痛は痛みの間隔が不規則で、安定していません。30分後に来たかと思ったら、その後は3時間来ないなどばらつきがあります。

本陣痛の間隔

本陣痛は、痛みの間隔が規則的で、徐々に間隔が短くなっていくのが特徴です。

痛みの間隔が短くなるほどお産が近い証なので、最初は30分程度だった間隔が、20分、10分、5分と少しずつ短くなります。

一般的に、初産のときは陣痛の痛みの間隔が10分になったタイミングで産婦人科に向かうことが多いです。

子宮口の開き具合によって痛みを感じる間隔は短くなり、子宮口が完全に開ききる頃には2分に1回の間隔で痛みを感じます。

本陣痛の持続時間はどれくらい?

本陣痛の持続時間は、お産が近づくにつれて長くなっていきます。

陣痛の間隔はお産が近づくにつれて短くなっていき、最初は持続時間の短い陣痛が10分間隔できていたものが、子宮口が完全に開き分娩の第2期に入る頃には、持続時間が長く痛みの強い陣痛を高い頻度で感じることになります。

ただし、妊婦さんが陣痛を感じていても、実際は子宮の収縮が収まっていることもあるので、本陣痛の持続時間については個人差があります。

陣痛の間隔をカウントする方法は?

本陣痛はずっと同じように痛いわけではなく、子宮の収縮に合わせて痛いときと痛みが収まるときを繰り返します。

本陣痛の間隔をカウントするには、痛みのピークから次の痛みのピークまでの時間を測りましょう。

痛みが始まったなと思ったら、痛むタイミングをメモや陣痛アプリなどに記録して、間隔を測るようにしてくださいね。

陣痛の痛み方や程度はどれくらい?

本陣痛は、少しずつ痛みが強くなっていきます。「腰が割れる」「鼻からスイカを出す」などと表現されることもあります。

赤ちゃんを産み出すときはかなりの痛みを感じますが、分娩後の第3期の本陣痛ではほとんど痛みを感じなくなりますよ。

出産時に陣痛の痛みが強くなるといきみたい感覚も強くなりますが、子宮口が全開になるまでいきむのを我慢する「いきみ逃がし」が必要になります。

前駆陣痛から本陣痛、出産までの間隔は?

前駆陣痛から本陣痛への流れは人によってさまざまで、前駆陣痛後すぐに本陣痛が始まる人もいれば、数日経ってから本陣痛が来るという人もいます。

また、本陣痛が始まってから出産するまでにかかる時間にも個人差があります。

前駆陣痛の段階で病院に行ってもすぐに出産できるわけではないので、本陣痛が始まるのを待つ必要があります。

「これが陣痛かな?」と思った段階でも、その間隔や痛み方などを落ち着いて観察してくださいね。

陣痛の間隔が短くならないときはどうする?

前駆陣痛の症状がみられると、もうすぐ本陣痛だと思ってそわそわするものですが、人によっては数日待つこともあります。

出産予定日が近いのに陣痛が起こらない、なかなか間隔が短くならないときには、産婦人科の医師の指示に従って、次のような対処法をすすめられることもあります。

⚫︎太衝・三陰交といったツボを押す
⚫︎ウォーキングやスクワットといった運動
⚫︎子宮収縮を促すアロマ

出産予定日を過ぎても本陣痛の間隔が短くならないと、慌ててしまう妊婦さんもいますが、予定日はあくまで目安です。

少し予定日から遅れても、「赤ちゃんが出たい!」と教えてくれる陣痛のタイミングを落ち着いて待ってあげてくださいね。

陣痛の痛みが弱いときは?気をつけたいことって?

出産までの陣痛のなかで気をつけたいこととして「微弱陣痛」への対処があります。

前駆陣痛から本陣痛に移行する際に、規則的なのに痛みが弱い微弱陣痛であることがあります。

通常であれば、陣痛は時間とともにどんどん痛みが強くなり、間隔も短くなることで出産が進行しますが、微弱陣痛の場合は分娩までに時間がかかります。

そのため、陣痛促進剤を利用したり、赤ちゃんの様子によっては緊急帝王切開に切り替わったりすることも。

微弱陣痛の主な原因の一つは、陣痛が始まってから出産を行う際に、妊婦さんが途中で疲れてしまうことが挙げられます(※1)。

出産のときは産婦人科医や助産師のアドバイスに耳を傾けて、陣痛と陣痛の間に休息をはさみながら、出産を乗り越えてくださいね。

陣痛の痛みや間隔の判断が難しいときは、遠慮なく病院に相談を

陣痛かどうか判断できないときや、なにか体調に不安があるときは、あまり我慢せず、出産予定の産婦人科に電話をして相談しましょう。「本陣痛じゃなかった…」ということはよくあるので、気にする必要はありませんよ。

今はあまり不安がらずに、そのときに備えて心の準備をしながら、ゆったりした気持ちで過ごしてくださいね。

監修医師:産婦人科医 藤東 淳也

産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。

※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学2 産科編』p.267

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