授乳中、乳腺炎のしこりが痛い!取れない!詰まりの原因と対処法は?

授乳タイムは赤ちゃんとの幸せな時間ですよね。ただ、「おっぱいにしこりができて痛い」「しこりが取れない」といった乳腺炎のような症状に悩むママも少なくありません。

今回は、乳腺炎によるしこりや詰まりの原因と対処法についてまとめました。

授乳中、おっぱいのしこりが痛い!乳腺炎とは?

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授乳中におっぱいを触るとなんだか、ごりごり…しこりのようなものがある、ということがあるかもしれません。放っておくと乳腺炎になったり、すでに乳腺炎を発症していたりする可能性があります。

乳腺炎は主に、授乳の回数や頻度の少なさ、母乳の過剰分泌、ママのストレス・疲労などが原因で引き起こされます(※1)。

乳腺炎には大きく分けて次の2タイプがあります(※1)。

うっ滞性乳腺炎

なんらかの理由で母乳が乳管にたまった(うっ滞した)状態です。細菌感染はしていないため「非感染性乳腺炎」とも呼ばれます。

乳房全体が赤くなる、しこりができる、しこりを触ると痛む、乳房に熱感があるなどの症状があらわれます。

もともと乳管の狭い初産ママや、卒乳・断乳などで母乳が供給過剰になったときに起こりやすいとされています。

感染性乳腺炎

乳腺が細菌に感染することによって起こる乳腺炎です。赤ちゃんの口腔内細菌が傷ついた乳頭から感染して起こる場合と、うっ滞性乳腺炎が進行して起こる場合があります。

乳房の激しい痛みや腫れ、悪寒、高熱、インフルエンザのような体の痛み、血の混ざった膿や母乳が出るなどの症状が出ます。

細菌感染の有無でうっ滞性乳腺炎と区別されますが、症状がほぼ同じ場合も少なくなく、ママ自身でどちらの乳腺炎になっているかを判断することは難しいです。

乳腺炎と乳がんのしこりの違いは?

乳腺炎になるようなしこりは、乳管が閉塞し母乳が溜まることでできます。

押したりつまんだりすると、動く、弾力性がある、場所によって固かったりやわらかかったりする、などの特徴があります。

乳がんと混同されることもありますが、乳がんによるしこりは押しても動かず、石のように固くごつごつしていることが多いです。

ただし、乳腺炎によるしこりも詰まり方次第では固くなることがあり、判別しにくいケースもあります。心配なときは、早めに母乳外来か婦人科で相談しましょう。

乳腺炎になるしこりや母乳の詰まりを解消するには?

おっぱいのしこりを解消するには、以下のような方法を試してみてください。

1回の授乳でしっかり飲ませる

赤ちゃんは飲みはじめにたくさん飲むので、しこりがある方の乳房から授乳するようにしましょう。

角度や姿勢を少しずつ変えながらまんべんなく吸わせて、1回の授乳でしっかり飲ませることがポイントです。しこりの近くに赤ちゃんの下アゴがくるようにするといいですよ。

授乳をしながらしこりの部分を軽く押すと、しこりが解消されやすくなることもあります。

必要に応じて搾乳をする

詰まりを悪化させないために、授乳時間が長くあいて赤ちゃんに直接飲ませることができない場合や、赤ちゃんが1回の授乳で母乳を飲み切れず授乳後もおっぱいの張りが強い場合には、搾乳をするのもひとつの方法です。

搾乳することでしこり部分の母乳を出し切ることができ、解消につながることもあります。

母乳外来や産婦人科を受診する

しこりが解消されないときは、母乳外来や出産した産婦人科を受診しましょう。

マッサージをして溜まった母乳を出やすくしたり、しこりの原因や適切な対処法を教えてもらったりできますよ。

乳腺炎が悪化…しこりが痛い、熱があるときの対処法は?

しこりが腫れて痛みや熱を持っている場合は、タオルでくるんだ保冷剤・冷却ジェルシート・濡れタオルなどを当て、適度に冷やしましょう。心地よいと感じるくらいに冷やすことで、症状をいくらか軽減できることもあります。

発熱をした場合は、マッサージや入浴などは避け、すぐに母乳外来や出産した病院で診てもらってください。

病院で抗生物質などを処方されたら、授乳の間隔をあけたり、搾乳しておいた母乳を与えたりする必要が出ることもあります。必ず医師と薬剤師に確認するようにしてくださいね。

母乳のしこりや乳腺炎を予防するには?

しこりや乳腺炎を予防するためには、下記を実践してみるのがおすすめです。

セルフケアをする

毎日おっぱいの状態を観察し、しこりができていないかどうか確認する習慣をつけましょう。状態を知ることで、変化がすぐにわかるようになります。

発熱の症状がなく、母乳外来などでマッサージをしても問題ないと指導されたら、セルフマッサージをするのもいいですね。

栄養バランスの良い食事をとる

乳腺炎を予防するために、食事や水分を制限したり、反対に多く摂取したりする必要はありません(※1)。産後の体の回復のためにも、栄養バランスの整った食事をとることが大切です。

不足しがちな食材を加えたり、1食に「主食(ご飯やパン、麺類など)」「主菜(肉や魚、大豆製品など)」「副菜(野菜やきのこ類など)」がそろうように意識したりして、さまざまな種類の食材を食べられるといいですね。

適度な水分をとる

乳腺炎になったからといって水分摂取を控える必要はありません。普段どおりの量をしっかりと飲むようにしてくださいね。

ストレスや疲れをためない

産後しばらくは赤ちゃんのお世話に追われ、なかなか休めないものですが、赤ちゃんと一緒に短時間でも昼寝をしたり、夜間のおむつ替えや夜泣きはパートナーと交代で行ったりと工夫しながら、できるだけ休息をとることを心がけてください。

乳腺炎をはじめ、母乳育児がうまくいかないことがストレスの原因になることもあります。

母乳外来を受診したり、お住まいの地域の子育て支援センターやオンラインの育児相談などを利用したりして、母乳に関する悩みや不安をできるだけ解消し、ストレスを緩和できるといいですね。

清潔に保つ

感染性乳腺炎のように細菌感染が原因で乳腺炎になることもあるため、乳房と全身を清潔に保つことも意識しましょう。

乳腺炎の症状が出ているときは湯船に浸かるのは避け、シャワー浴にしてくださいね。

授乳中にしこりが痛い!となる前に

しこりや乳腺炎の予防法と対処法を知っておくことで、ちょっとでも違和感があったときに適切なケアができ、悪化させずに済むこともあります。

育児中はつい自分のことは後回しにしてしまいがちですが、ちょっとでもいつもと違うと感じたら早めに対策をとるようにしてくださいね。

監修医師:産婦人科医 藤東 淳也

産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。


※1 日本助産師会「乳腺炎ケアガイドライン2020」p.28-31,68-69,71-72

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