【赤ちゃんのアトピー】原因や症状は?いつからなるの?治療法は?

赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、肌トラブルが起こりやすいですよね。特に「アトピー性皮膚炎」になると湿疹もひどくなりやすく、疑問や不安を感じることも多いのではないでしょうか。

今回は赤ちゃんのアトピー性皮膚炎について、症状や乳児湿疹との違い、治療法、家庭でのケアをご紹介します。

赤ちゃんのアトピーとは?アトピー性皮膚炎のこと?

アトピーとは、正式には「アトピー性皮膚炎」といい、皮膚にアレルギー反応による炎症が現れます。

赤ちゃんのアトピーは強いかゆみを伴いながら、頭部や首、顔からはじまり、次第に体やひじ、ひざの裏などの関節部分に広がります。

良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、2ヶ月以上症状が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます(※1)。

アトピーの原因と悪化させる要因としては、体質と環境があります。

もともとアレルギーが起こりやすい体質で、皮膚のバリア機能が低下している赤ちゃんの皮膚に、ダニやホコリ、花粉、ペットの毛、食べ物などの刺激が加わると、アトピー性皮膚炎が引き起こされます。

赤ちゃんのアトピーと間違えやすい「乳児湿疹」って?

乳児湿疹とは、乳児期に起こる湿疹の総称です。乳児湿疹という病気があるわけではなく、さまざまな原因で起こる湿疹をまとめて「乳児湿疹」と呼びます。

赤ちゃんは皮膚トラブルを起こしやすいので、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎を見分けるのは難しいです。

はじめは乳児湿疹と診断されてもなかなか治らず、症状が2ヶ月以上続いてアトピー性皮膚炎と診断されたということも珍しくありません。

乳児湿疹の主な原因は、皮脂の過剰な分泌や乾燥によるものがほとんどです。

多くの場合、肌が赤くなる・小さい水ぶくれができる・うろこ状のかさぶたができるなどの症状が現れます。

乳児湿疹は生後2週間を過ぎた頃から現れ始め、1歳を迎える頃には治まることがほとんどです。

新生児もアトピーになるの?

アトピーと診断するためには、1歳未満の乳児の場合、症状が2ヶ月以上続いていることが基準となります。

そのため、生後28日未満の新生児に湿疹がみられても、アトピーと診断することはできません。

新生児期の湿疹が気になる場合は、新生児訪問や1ヶ月健診のときに相談してみましょう。

赤ちゃんのアトピーの治療法は?

小児科や皮膚科を受診してアトピー性皮膚炎と診断されたら、アレルギー物質と考えられるものを取り除いたうえで、十分なスキンケアと薬による治療が行われます。

症状に応じて、炎症を抑えるために赤ちゃんでも使えるステロイドや過剰に働く免疫を抑える塗り薬などが処方されます。

アトピー性皮膚炎は保湿剤を基本とした塗り薬やスキンケアで症状をコントロールした状態が長く続くと、症状がなくなることが期待できます。

医師の指示通り、しっかりと薬を使ってこまめにスキンケアを行ってくださいね。

赤ちゃんのアトピーは、家庭でどうケアするの?

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の治療では、普段から肌を清潔に保ち保湿を心がけるといった家庭での肌のケアを怠らないようにしましょう。

下記に、赤ちゃんのアトピーのケアのポイントをご紹介します。

すすぎ残しを避ける

アトピーのケアには、赤ちゃんの体を清潔にすることが大切です。シャンプーやボディソープ、石鹸のすすぎ残しや過度な使用があると、皮膚に刺激が起こります。

使用するシャンプーや石鹸自体も低刺激なものに変えるといった対処をしてあげましょう。

乳児湿疹もアトピー性皮膚炎も、清潔を保つ方法は同じです。関連記事に詳しくご紹介しているので、参考にしてくださいね。

入浴後は特に保湿を入念に

お風呂あがりは汗をかき、その後は乾燥しやすくなるので、低刺激のベビー用ローションや保湿クリームで保湿をしてあげましょう。

肌に水分が残っているうちにコーティングしてあげると、より保湿に効果が期待できますよ。

唾液や汗の刺激を軽減する

赤ちゃんの唾液や汗が肌に付着した状態が続くと、刺激になってアトピー性皮膚炎が悪化することがあります。

汗はシャワーでも十分に流れ落ちるため、お風呂に入れないときでもさっと浴びさせてあげましょう。濡らした柔らかいガーゼで拭き取ってあげるものいいですね。

柔らかい素材の衣類に変える

衣類が肌に触れることも刺激になるため、肌気は柔らかい素材のものに変更してあげましょう。洗濯をするときは洗剤が残らないよう、量を調節してあげることも大切です。

赤ちゃんのアトピーではアレルギー物質を避けるべき?

赤ちゃんのアトピーの原因として、食べ物やダニ、ほこりといったものがアレルギー物質となって、症状を悪化させていることがあります。

しかし、たとえば食べ物が原因と疑われる場合、無理にアレルゲン除去食を取り入れると、赤ちゃんの発育に影響が出るといった心配な点もあります。

また、食べ物が原因でないアトピー性皮膚炎に除去食を取り入れるのは有効ではありません(※2)。

同様に、環境要因としてのアレルゲンを除去しても、すぐに治療をしなくてよくなるということもありません。

ただし、症状の緩和には効果が期待できるので、ダニやほこり、花粉、ペットの毛などを避けるように部屋を清潔に保ってあげましょう。

赤ちゃんのアトピーは治るの?

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、成長して年齢が高くなるにつれて、症状が良くなる割合が高いとされています。

たとえば、生後4ヶ月の赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の約70%は1歳6ヶ月には治り、1歳6ヶ月児の約50%が3歳には治癒したという報告があります(※2)。

ただ、症状の強さによっても治癒する時期は異なるため、年齢が上がってもママやパパがしっかり赤ちゃんの肌の状態を見て、必要なケアをしてあげることが大切です。

赤ちゃんのアトピーは適切な治療をしながら見守っていこう

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になって肌の状態が悪化すると、ママやパパの心配が大きくなることもあります。ただし、赤ちゃんのアトピーはストレスで症状が悪化することもよく知られていて、不安が赤ちゃんに伝わってアトピーに影響する可能性もあるとされています。

スキンケアと治療をしっかりと行い、時間をかけて治療に向き合っていけるといいですね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。


【参考文献】
※1 アレルギーポータル「アトピー性皮膚炎」
※2 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021年版」

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