とびひと聞くと、「あせもとどう違うの?」「周りにうつしてしまうのでは?」といったことを考えるママやパパも多いのではないでしょうか。いざ、とびひになったときのために正しい情報を知っておきたいですよね。
そこで今回は、子どもがとびひにかかったら保育園や幼稚園へ行けるのか、お風呂はどうしたらいいのか、自宅でのケア方法などをご説明します。
とびひとは?
とびひは、正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」という皮膚の感染症です(※1)。接触によって細菌が感染し、火事の飛び火のように広がっていくため、「とびひ」と呼ばれています。
とびひは大きく分けると2種類ありますが、赤ちゃんや子どもは、かゆみを伴う水ぶくれが体のあちこちにでき、破れるとただれ(びらん)が起こる水ぶくれタイプがほとんどです。
あせもや虫刺され、湿疹などをかき壊して傷ができた部分に細菌がくっつき、とびひを発症します。
とびひは夏に赤ちゃんや子どもがかかることがほとんどですが、アトピー性皮膚炎などを持つ大人が感染することもあるので、注意が必要です。
とびひが広がりやすいのはなぜ?
赤ちゃんや子どもがとびひにかかると、膿(うみ)を持った小さな水ぶくれができて、水ぶくれがつぶれるとジュクジュクした汁が出て、かさぶたのようになります。
かゆみが強いので我慢できずにかいてしまい、汁のついた手で体のほかの部分を触ってしまうと全身に広がっていきます。
さらに、その手が触れた「物」を介して感染するため、家庭や保育園・幼稚園内で感染が広がりやすいのです。
とびひの潜伏期間中に、感染していることに気づかないまま、まわりの人にうつしてしまうケースもあります。
とびひでも保育園や幼稚園に行けるの?
感染症の扱いを定めている「学校保健安全法」では、「医師の診察を受けて治療した上で患部をガーゼなどで覆っていれば、登園しても良い」とされています(※2)。
ただし、ほかの子どもたちに感染させてしまう危険性はゼロではないので、医師に相談し、病状によっては許可が下りるまで登園を控えたほうがいいでしょう。
通っている園によっては、とびひに感染したときの登園ルールが定められていることもあるので、事前に確認しておいてくださいね。
とびひでもお風呂に入ってもいい?
子どもがとびひにかかったら、お風呂をどうしたらいいのか悩むこともあるかもしれません。
患部を清潔にしておくことが大切ですが、家族内での感染拡大を防ぐことも必要なので、水ぶくれが破れているうちは湯船に浸かるのは避け、シャワー浴をさせてください。
きょうだいがいる場合、感染している子どもは最後にお風呂場に入るようにさせましょう。
お風呂では石けんやボディソープをよく泡立てて、患部をこすらないようにそっと洗い、シャワーでやさしく洗い流してくださいね。
患部を清潔にしたあとに、病院で処方された薬を塗りましょう。
とびひのホームケアの注意点は?
子どもがとびひにかかったら、お風呂のほかにも、家庭でのケア方法で気をつけたいことがいくつかあります。以下のポイントに注意してみてくださいね。
タオルは共用しない
家庭内での感染を防ぐため、ほかの人とタオルを共用しないようにしてください。また入浴後は、清潔なバスタオルで水分を抑えるように体をふいてあげましょう。
病院で処方された薬を最後まで使う
家にある軟膏などを安易に使わず、小児科や皮膚科で処方された薬を使うようにしてください。
症状が軽い場合は患部を清潔にしてから処方された抗生物質の軟膏を塗ります。
とびひが全身に広がりジュクジュクしている場合は、抗生物質やかゆみを抑える飲み薬を処方されることもあります。
薬を適切に使っていれば、少しずつ乾燥してかさぶたになっていきます。「かさぶたになればもう大丈夫」と思いがちですが、薬を塗るのをやめてしまうと、かさぶたの中にまだ細菌が残っていて再発することも。
医師に完治したと診断されるまでは、用法・用量を守って薬を使い続けてくださいね。
爪を短く切っておく
できるだけ患部をかかないようにさせていても、子どもはどうしてもかゆくて掻いてしまうことがあります。
爪が伸びている状態で患部に触れると、皮膚を傷つけたり爪の間に細菌が繁殖したりしてしまうため、爪を短く切って整えておくようにしましょう。
とびひはお風呂やタオルでの感染に気をつけて
とびひができると子どもはかゆみを我慢することが難しく、かき壊したところからまた菌が広がっていく…という悪循環が起こりがちです。また、まわりに小さい子どもがいる場合は、感染が広がりやすいので注意が必要です。
虫刺されやあせもをかき壊していたり、とびひと思われる症状がみられたら、早めに小児科か皮膚科を受診して薬を 処方してもらってくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
【参考文献】
※1 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A とびひ Q1“とびひ”とは何ですか?」
※2 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A とびひ Q18 幼稚園・保育園、学校は行ってもいいですか?」