妊娠中のクラミジアは危険?胎児への影響は?妊婦健診でわかるの?

妊婦健診で初めてクラミジアの検査を受けるという人も多いのではないでしょうか。「どうして妊娠中にクラミジアの検査を受けなければならないの?」と疑問に思うかもしれませんね。

今回は、妊娠中にクラミジアにかかるとどんな危険性があるのかをご説明します。

クラミジアとは?

カップル 夫婦

クラミジアとは、性行為を通じて人から人へ感染する病気で、男女ともに最も感染者が多い性病(性感染症)です。口を使った性行為で、咽頭に感染することもあります。

個人差がありますが、女性がクラミジアに感染すると以下のような症状があらわれます。

● おりものの量の増加
● 不正出血
● 下腹部痛
● 性交痛

ただし、感染しても自覚症状が現れないことも多く、知らないうちにうつされたり、うつしてしまったりするケースが多くあります。

最近は、20〜30代の世代で感染者が増えており、年間の患者報告数は男女合わせて2.5万人を超えています(※1)。

感染すると、卵管閉塞や骨盤内の癒着を引き起こして不妊の原因になることもあります。

クラミジアは妊婦健診でわかるの?

厚生労働省は、妊娠初期から30週までの間に1回クラミジア検査を推奨しています(※2)。大体20週前後までに検査をしている産院が多いようです。

検査結果は3日前後で出ることが多いですが、結果が陰性であれば次回の妊婦健診で報告されることがほとんどです。

妊娠中にクラミジアに感染するとどうなるの?胎児への影響は?

妊娠中にクラミジアに感染すると以下のようなリスクがあります(※3)。

流産・早産

胎児を包んでいる卵膜と呼ばれる部分に炎症が起こり、子宮収縮が促されて流産や早産を引き起こすおそれがあります。

胎児への感染

出産時に赤ちゃんが産道を通り抜ける際、クラミジアに感染してしまうおそれもあります。

クラミジアに感染している妊婦さんが出産した場合、そのうちの約10%で産道感染が起こるといわれます(※4)。

赤ちゃんがクラミジアに感染すると、約25〜50%の割合で「新生児結膜炎」を発症し、生後数日で症状が現れます。

また、約10〜20%の割合で「新生児肺炎」にかかり、生後1~3ヶ月で咳などの症状を引き起こします。

赤ちゃんに大きな負担がかかってしまうので、適切な時期に検査を受けることが大切です。

妊娠中のクラミジアの治療方法は?

妊娠中にクラミジアに感染していることが判明したら、妊娠中でも飲める抗生物質で治療することになります。

クラミジアのような性感染症は目に見える症状が治ったとしても、自己判断で服用をやめずに、医師の指示通りに飲みきるようにしましょう。

少しでも体内に病原体が残っていると再び増殖したり、抗生物質に耐性をもったりするおそれがあります。

また、自分がクラミジアに感染していたらパートナーも感染している可能性も大きいと考えましょう。

性交渉を通じてお互いに移しあってしまわないよう、パートナーと同時に治療を受けてくださいね。

クラミジアは早めに治療を受けよう

妊婦健診でクラミジアにかかっていることがわかると、ショックを受ける人もいるかもしれませんが、誰でも感染する可能性がある病気です。

生まれてくる赤ちゃんのことを考えて、パートナーにしっかり話し、相手にも検査や治療を受けてもらってくださいね。

監修医師:産婦人科医 藤東 淳也

産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。

※1 国立感染症研究所「性器クラミジア感染症の発生動向、2021年」
※2 厚生労働省「標準的な妊婦健診の例」
※3 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン2016」
※4 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.219

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