排卵時の卵胞の大きさは?サイズをチェックする方法はあるの?

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不妊治療をしていると、きちんと卵胞が大きくなって排卵されるかどうか気になりますよね。また、より妊娠しやすいタイミングで性交や採卵をするためにも、卵胞の大きさを把握することが重要です。

そこで今回は、排卵されるときの卵胞の大きさや、サイズのチェック方法などについてご説明します。

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卵胞の大きさはなぜ重要なの?

卵胞とは、卵巣内にある、卵子が入っている袋のような組織です。卵胞が発育して成熟すると、卵胞から卵子が飛び出します。これが「排卵」です。その後、精子と受精した卵子は受精卵となり、子宮内膜に着床すると「妊娠」が成立します。

不妊治療のうち、タイミング法では排卵日の2日ほど前から何度か性交渉を行い、人工授精は排卵当日に治療を行うと、妊娠する確率が高いとされます(※1)。

また、体外受精や顕微授精では、卵胞が十分に大きくなって、排卵する直前に卵子を採る(採卵する)必要があります。

そのため、妊娠の可能性を高めるためには、より正確に排卵のタイミングをつかむ必要があります。

卵胞の大きさは、排卵が近づくにつれて大きくなっていくので、婦人科の検査でサイズを測ることで、排卵日を予測することができるのです。

排卵時の卵胞の大きさは?

排卵時の卵胞の大きさは約18~22mmです(※2)。

卵胞は15~20個程度が同時に発育を開始します。生理が始まると発育のスピードが速くなり、1日に約1~2mmずつ大きくなっていきます。具体的な発育ペースの目安は、次のとおりです(※2,3)。

● 生理開始日:0.2~0.4mm
● 生理開始3日目:2~5mm
● 生理開始8日目:10mm
● 排卵日前日:22mm

なお、複数の卵胞が同時に育っていきますが、すべての卵胞が排卵するわけではなく、最終的に20mm程度にまで発育した1個の成熟卵胞だけが排卵します。

1つの卵胞が排卵したあと、一緒に発育を始めた残りの卵胞は排卵せずに少しずつ小さくなり、やがて消えてなくなります。

卵胞の大きさをチェックする方法は?

排卵日が近くなったら、婦人科で腟からプローブという医療器具を入れて、経腟超音波検査を行うことで、卵胞の大きさを測ることができます。これを「超音波卵胞計測(卵胞チェック)」ということもあります。

前述のとおり、卵胞は約20mmにまで発育すると排卵が起こるので、超音波検査で卵胞の大きさを測ることで、あと何日くらいで排卵するかを推測することができます。

また、超音波検査では子宮内膜が十分厚くなっているかどうかも見ることができます。

卵胞の大きさ以外の排卵日予測方法は?

不妊治療では、超音波検査で卵胞の大きさを測ったあと、尿中の「LH(黄体形成ホルモン)」の数値を調べることもあります。

LHとは、脳下垂体から分泌され、排卵を誘発するホルモンです。排卵直前にLHの分泌がピークを迎えるため、卵胞の大きさとあわせてLHの分泌量も調べることで、より正確に排卵日を予測することができます。

なお、市販されている排卵検査薬も、尿に含まれるLHに反応する仕組みです。排卵検査薬が陽性反応を示したタイミングで性交渉を何度か行うと、妊娠の可能性が上がります。

卵胞のサイズをチェックする費用は?

経腟超音波検査による卵胞チェックにかかる費用は、不妊治療の内容や医療機関によっても異なります。健康保険が適応されない場合は、自費負担は1,500〜3,000円ほどです。

卵胞チェックの結果、大きさが十分ではなく、数日後にまたチェックが必要になることもありますが、そのときはチェックの回数分だけ費用がかかります。

卵胞計測を受けるタイミングや回数、費用などについては、あらかじめかかりつけの産婦人科で確認しておきましょう。

卵胞のサイズが小さいと排卵できない?不妊の原因になる?

超音波検査による卵胞チェックの結果、卵胞の大きさが足りず、その周期での排卵や採卵は断念せざるをえないこともあります。

排卵は通常、脳の視床下部からGnRHというホルモンが分泌されるところから始まります。

GnRHの作用で脳下垂体から「FSH(卵胞刺激ホルモン)」と「LH(黄体形成ホルモン)」というホルモンの分泌が促され、FSHによる刺激で卵胞が発育し、LHの分泌がピークを迎えると排卵が起こるのです。

そのため卵胞が十分に発育しないということは、脳の視床下部や下垂体の機能が低下し、LHやFSHといったホルモンが正常に作用していないことが考えられます。

卵胞が発育せず、排卵に至らないと、精子と卵子が出会うことができないため、そのままでは妊娠が難しくなります。

そのため場合によっては、後述のように、ホルモン剤の治療によって卵胞の発育や排卵をサポートすることがあります。

卵胞を大きく育てるには?治療法は?

自然な状態では卵胞が大きくならない場合、ホルモン剤によって卵巣を刺激し、卵胞の発育と排卵を促す治療を行うこともあります。

治療法としては、FSH作用を持つ「hMG注射」または「FSH注射」で卵胞を発育させたあと、LH作用のある「hCG注射」を使って排卵を促す、ゴナドトロピン療法などがあります。

このような治療がうまく行くと、十分成熟した卵胞をいくつか育てることができ、排卵のタイミングもコントロールしやすくなるため、妊娠率の向上が期待できます。

ただし、ホルモン剤の刺激で卵巣が腫れる「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)」などの副作用が現れることもあるため、経過を慎重に見ながら治療することが大切です。

卵胞の大きさは排卵日予測の目安

妊娠しやすいタイミングで夫婦生活をしたり、体外受精に向けて採卵したりするためには、卵胞の大きさを測り、できるだけ正確な排卵日を推測することが重要なカギとなります。
場合によっては、何度か病院に足を運び、超音波検査を受けなければならないことも。

一方で、卵胞チェックの結果、十分に卵胞が育っておらずその周期での妊娠を諦めないといけないなど、思うように治療が進まないときもあると思います。

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監修医師:産婦人科医 間瀬徳光先生

産婦人科医 間瀬徳光先生
2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行っている。IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)として、母乳育児のサポートにも力を注いでいる。

※1 メジカルビュー社『不妊症・不育症治療』p.112
※2 日本産婦人科医会「4. 排卵の予測」
※3 株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版』p.15

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