子どもが風邪をひくと「目やに」が増えることがあります。風邪からは連想がしにくい目やにですが、なぜ増えるのでしょうか?
今回は子どもが風邪をひいたときに目やにが増える原因や対処法、病院へ行くかどうかの目安などをご紹介します。
そもそも目やにってどうして出るの?
目やには、涙に含まれている成分がホコリ、老廃物などをからめとってできたものです(※1)。通常はまばたきによって涙と共に流れ、目と鼻をつなぐ管を通って、鼻水と一緒に排出されます。
しかし、何らかの理由で目やにの分泌量が増えたり、まばたきの回数が減ったりすると、目頭や目尻に目やにが溜まってしまいます。
子どもが風邪で目やにが増える原因は?
風邪をひいたときに目やにが増えるのは、鼻の通りが悪くなることが原因となります。
風邪をひくと、ウイルスや細菌を体外に排出しようとして鼻水が出ますが、子どもは自分で鼻をかむのが苦手なことが多く、鼻水がたまって鼻が詰まりがちです。
鼻の粘膜が荒れたり詰まったりすると、目の汚れなどが鼻まで通り抜けることができず、目やにが出てしまいます。
この他にも、風邪のウイルスや細菌が目に入って結膜炎を起こし、目やにが増えることもあります。
子どもが風邪で目やにが出たら病院は?
風邪で目やにが出ていたとしても、発熱しておらず、元気で食欲があれば、そのまま様子を見て構いません。
しかし、以下のような症状が出た場合は、早めに小児科を受診してください。
● 咳や鼻水が出ていて、呼吸が苦しい
● 機嫌が悪い
● ぐずってなかなか寝ない
● 白目が赤くかゆみ、痛みがある
● 水分がとれない
特に、子どもが苦しそうにして呼吸がはやい、ぐったりして顔色がよくないといった場合は、診察時間外でも急いで救急病院を受診してください。
風邪が治れば、目やにも自然と少なくなっていきます。風邪の症状がひどくなくても、目やにが多くて気になるときは小児科や眼科の医師に相談しましょう。
子どもが風邪で目やにが増えたら、どうケアすべき?
目やにがたくさん出ている場合は、きれいに取り除いて、清潔に保つことが大切です。
目全体に目やにが出ていたら皮膚を傷つけないように、お湯に浸した清潔なガーゼなどで目頭から目尻に向かって優しく拭き取ってください。
目頭のところに溜まった目やには、濡らしたガーゼで目頭を軽く押すようにしてぬぐい取ります。
目に強いかゆみが出ていて子どもが掻こうとしているときは、冷水で絞った清潔なタオルを当ててかゆみを和らげてあげましょう。
爪が伸びた汚れた手で目を触ると症状が悪化することがあるので、爪は短く切り、こまめに手洗いをさせてくださいね。
子どもが風邪で目やにが増えたら、どんなリスクがあるの?
風邪を引いて鼻づまりが起きると目やにが増えるだけでなく、鼻と耳をつなぐ耳管が詰まって中耳炎になることもあります。
子どもが風邪を引いたら、鼻水吸引器を使ったり、蒸しタオルで鼻を温めたりして、鼻づまりを解消するように心がけてくださいね。
風邪以外の病気で、子どもの目やにが増えることがある?
風邪で鼻が詰まること以外にも、目やにが増える原因となる病気はあります。
例えば、アレルギー反応として起こるアレルギー性結膜炎や鼻炎、細菌性結膜炎にかかると、目が赤く充血して目やにがたくさん出ます(※1)。
また、アデノウイルスが原因となって発症する「プール熱」では、高熱や喉の腫れ、下痢、腹痛などの症状に加えて、結膜炎が起こることがあり、目やにが増える原因になることも。
また、涙の通り道である鼻涙管の形成に生まれつき異常があると、涙や目やにが溜まります。片目だけ涙や目やにが溜まっている場合は早めに小児科を受診してくださいね。
子どもが風邪で目やにが出ていたら、その他の症状をチェックして
目やには、風邪や他の病気に気づくきっかけになることがあります。普段から子どもの様子を観察しておき、子どもの体の異変にいち早く気づき、対処してあげてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 日本眼科学会「「目やにがでる(眼脂)」原因と考えられている病気一覧」