RSウイルスの赤ちゃんの症状は?1歳までは要注意?熱は出るの?

赤ちゃんが生まれてから「RSウイルス」という言葉を初めて耳にしたママ・パパも多いかもしれません。2歳までにほぼ全員が一度はRSウイルスに感染することはご存知でしょうか。

今回は赤ちゃんのRSウイルス感染症について、初期症状や潜伏期間、検査方法、予防方法などをご紹介します。

RSウイルス感染症とは?1歳までは特に注意?

RSウイルス感染症とは、RSウイルス(respiratory syncytial virus)に感染して起こる呼吸器の感染症です。

1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%が感染するといわれています(※1)。

以前は秋に流行のピークを迎えていましたが、最近は夏に流行することが増えています。

特に生後6ヶ月以内の赤ちゃんや基礎疾患がある子どもがRSウイルスに感染すると、細気管支炎や肺炎など重症化しやすいため、注意が必要な病気の一つです(※1)。

RSウイルスは一度かかっても繰り返し感染することがあります。2回目の感染では1回目よりも症状が軽いことがほとんどで、感染を繰り返す度に症状は軽くなります。

RSウイルスの赤ちゃんの初期症状は?潜伏期間はどれくらい?

赤ちゃんがRSウイルスに感染すると約4~6日の潜伏期間を経て、発熱や鼻水などの初期症状が出ます(※1,2)。その後、咳が出はじめることもあります。

多くの場合は、このような風邪の症状だけで自然に治りますが、初めて感染した乳幼児の約3割は咳が悪化し、呼吸をするときにゼーゼー・ヒューヒューといった音がしたり、呼吸が苦しくなったりします(※1)。

生後1ヶ月未満の赤ちゃんがRSウイルス感染症になると、無呼吸発作を起こして突然死に至ることがあるようです(※1)。

低出生体重児や先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全、生後6ヶ月以内の赤ちゃんは重症化して肺炎や細気管支炎などを引き起こしやすいため、注意が必要です。

RSウイルスの症状が赤ちゃんに出たときの検査方法は?

1歳未満の赤ちゃんの場合、RSウイルスの感染を診断するには診断キットを使って検査をします。鼻水を使ってウイルスの有無をチェックする方法で、5分ほどで結果が出ます。

明らかな呼吸困難などがある場合は、血液検査や胸部X線検査で肺炎・細気管支炎や他の細菌感染の合併が起きていないかどうかを調べることもあります。

1歳を過ぎて入院するほど症状が重くないという場合は、検査キットに保険が適用されないため、希望しない限り検査は行われないことがほとんどです。

赤ちゃんのRSウイルスの治療法は?

RSウイルスを根本的に治療するための薬はないため、受診後は基本的に症状を和らげるための対症療法が行われます。

咳や鼻水が出て息苦しくなったり、なかなか眠れなくなったりすることもあるため、こまめな水分補給や鼻水吸引をすることが大切です。

重症化して肺炎や細気管支炎になった場合は、入院して治療を行うこともあります。

RSウイルスの予防接種はある?

RSウイルスのワクチン予防接種はありません。

ただし、以下に当てはまる赤ちゃんや子どもは、「シナジス」と呼ばれる注射薬を月に1回投与することで、RSウイルスに感染したときに重症化するのを予防できます(※1,3)。

パリビズマブの投与対象となる乳幼児(※1)

・在胎期間28週以下の早産で、生後12ヶ月以下の乳児
・在胎期間29~35週の早産で、生後6ヶ月以下の乳児
・過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた生後24ヶ月以下の乳幼児
・生後24ヶ月以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の乳幼児
・生後24ヶ月以下の免疫不全を伴う乳幼児
・生後24ヶ月以下のダウン症候群の乳幼児

RSウイルスに赤ちゃんが感染するのを予防するためには?

RSウイルスの感染経路は、主に飛沫感染(咳やくしゃみによって感染すること)と接触感染です(※2)。

RSウイルスの感染予防は赤ちゃん自身で行うのは難しいので、ママやパパ、同居する家族も一緒に対策することが大切です。以下の予防対策のポイントを参考にしてみてくださいね(※1)。

手洗いを徹底する

帰宅時や食事の前、トイレの後などは、必ず手洗いをしましょう。

月齢の低い赤ちゃんは洗面所で手を洗うのは難しいので、石けんやハンドソープを含ませた濡れタオルで指先や手のひらなどを拭き、水で湿らせたタオルでしっかりと拭き取り、最後に乾いたタオルで拭いてあげてくださいね。

ママやパパは手洗いと一緒に、アルコール消毒やうがいも忘れずにしましょう。

赤ちゃんがよく触る場所を消毒する

おもちゃやドアノブ、机など赤ちゃんが日常的によく触れる場所を、アルコールや塩素系の消毒剤で定期的に消毒しましょう。

感染が疑われる人との接触をなるべく避ける

RSウイルスは再感染の場合、軽い風邪のような症状のみ出ることが多く、感染していることに気づかないケースもあります。

RSウイルス感染症が流行している時期に「風邪かな?」という症状が出たら、RSウイルス感染症の可能性もあるため、できるだけ赤ちゃんと接触する機会を減らして別の部屋で過ごすようにしてください。

赤ちゃんのRSウイルスは早めの受診で重症化を防ごう

保育所や一時保育などに通っている赤ちゃんは、施設内でRSウイルス感染症が流行するとすぐに感染しやすいので、預け先の流行状況を把握しておくことも大切です。

特に生後6ヶ月以内の赤ちゃんがRSウイルスにかかると重症化しやすいといため、普通の風邪かなと思っても早めに小児科を受診するようにしてくださいね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。


【参考文献】
※1 厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A
※2 日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」p.30
※3 日本小児科学会「日本におけるパリビズマブの使用に関するコンセンサスガイドライン」

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