育休中は上の子は保育園に通えるの?育休退園とは?

「育休退園」という言葉を聞いたことはありますか?以前、とある市が待機児童の解消策として打ち出した政策のひとつで、下の子どもの育休中に上の子どもの保育園退園を求められたため、保護者が裁判を起こしたことで有名になりました。

今回は、下の子の育休中に上の子が保育園に通えなくなることがあるのかや育休退園の現状についてご説明します。

育休中、上の子は保育園に通える?

認可保育園の場合、運営元である多くの自治体は「上の子は保育園に在園できる」としています。

ただし、在園できる期間は自治体によって異なります。育休期間中は無条件で在園できるところもあれば、育休を取得する期間や下の子の年齢で在園できる期間を定めているところもあります。

例えば、育休を延長する場合の在園可能期間は、下の子が満1歳になった月の末日まで、満1歳になった年の年度末まで、満2歳になった月の末日まで、といったように自治体によってさまざまです。

なお、認可外保育園の場合は、基本的に育休期間に関係なく継続して在園できますよ。

育休退園とは?実施している自治体もあるの?

育休退園とは、育休を取得すると家で保育ができるとみなされ、上の子が保育園から退園させられることをいいます。待機児童を減らすための苦肉の策として、一部の自治体で制定されました。

例えば、埼玉県所沢市では「保護者が育休を取得する場合、利用継続できる理由がない限り、下の子を出産した月の翌々月末で上の子を退園させなくてはいけない」としています(※1)。

「利用継続できる理由」とは、主に以下のようなものです。

● 下の子が生まれたの翌々月末で上の子が3歳以上である
● 生まれた子どもに病気などがある
● 出産した母親に病気・障がいがある
● 同居している親族などの介護・看護をする
● 多児出産(双子以上)である

上記に該当しない場合は、上の子は下の子が生まれた翌々月末で、一旦退園しなくてはいけないというわけです。

育休退園の現状は?

埼玉県所沢市では、育休退園の制度ができた2015年に複数の保護者によって育休退園の差し止めを求める裁判が起こされました。

その結果、所沢市では、育休退園の対象となった家庭向けに下記のようなフォローをしています(※1,2)。

● 育休終了後に上の子が元の園にすぐ戻れるように、受け入れ枠を確保する
● 下の子も優先的に入園できるように、選考の基準となる点数を加算する
● 一時預かりや地域子ども・子育て支援事業などでサポートする

所沢市のほかに、神奈川県平塚市や小田原市、秦野市、静岡県静岡市などでも、育休退園の制度がありましたが、大半の自治体が2016年4月から育休退園の制度を撤廃したり、見直したりしています。

育休中、保育園の預かりルールは変わる?

認可保育園では、保護者がフルタイムで仕事をしていて「保育を必要とする事由」に当てはまる場合は「保育標準時間」扱いとなり、1日11時間の枠で保育園を利用できます(※3)。

ところが保護者が育休を取ると、上の子は「保育短時間」扱いとなり、預けられる時間が1時間遅くなったり、お迎えの時間が2時間繰り上がったりして、平均1日3時間程度、預けられる時間が短くなるのが一般的です。

育休取得前に手続きをする必要もあるので、保育園に事前に確認しておいてくださいね。

育休中の保育園のルールを知っておこう

住んでいる地域や年度によって違いはありますが、育休中は、上の子を保育園に預けられる時間が変わったり、稀に上の子が一旦退園しなくてはいけなかったりすることがあります。

下の子が生まれてから慌てることがないように、育休に入る前に自治体や保育園ごとのルールもしっかりと確認しておくと安心ですね。

【参考文献】
※1 所沢市『育児休業取得に伴う退園/育児休業中における在園児の継続利用について』
※2 所沢市『育児休業中における在園児の保育の継続利用について』
※3 内閣府『よくわかる「子ども・子育て支援新制度」』

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