赤ちゃんが大泣きしているときに口に入れるとピタッと泣き止ませることができるおしゃぶり。とても便利ですが、歯並びに影響するかもといった話を耳にして気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、おしゃぶりのメリットとデメリットについてご紹介します。
おしゃぶりのメリット
おしゃぶりのメリットとして、以下のようなことがあげられます(※1)。
● すぐに泣き止む
● 気持ちが落ち着く
● 寝つきがよくなる
● ママ・パパの育児ストレスが減る
● 赤ちゃんが指しゃぶりをやめる など
赤ちゃんにとっては母乳やミルクを飲むことが唯一の栄養補給法です。そのため、口を使っておしゃぶりを舐めたり、しゃぶったりすると、赤ちゃんがリラックスすることにつながると考えられています。
赤ちゃんの機嫌が悪い状態が続くとついイライラしたり焦ったりしてしまうものですが、おしゃぶりで機嫌がよくなればストレスなく育児ができそうですね。
また、指をしゃぶる癖のある赤ちゃんにおしゃぶりを与えると、自然と指しゃぶりをしなくなることがあるといわれています。
赤ちゃんは免疫力が弱いため、指しゃぶりをやめさせれば、手や指からウイルスや細菌が入るのを防ぐことにもつながります。
おしゃぶりのデメリット
赤ちゃんにおしゃぶりを与えるデメリットとしては、次のようなものがあげられます(※1)。
● 習慣になりやすい
● 長い期間使うと噛み合わせが悪くなる
● 言葉を発する機会が少なくなる
● ママ・パパから赤ちゃんへの言葉がけが減ることがある
泣いている赤ちゃんをすぐに泣き止ませられるメリットがあるおしゃぶりですが、その便利さから癖になってしまうことが多いようです。
また、赤ちゃんが泣いているときにとりあえずおしゃぶりで静かにさせてしまうと、ママやパパが赤ちゃんの気持ちを考えてあやしたり、赤ちゃんが言葉を発してコミュニケーションをとろうしたりする機会を奪うことにもなりかねません。
さらに、おしゃぶりを長期間使用し続けると、前歯にすき間が開いて噛み合わない「開咬」や、出っ歯になる「上顎前突」、上の歯の間隔が狭くなって噛み合わせが悪くなる「交叉咬合」という症状が出ることがあります(※1)。
おしゃぶりを使っていいのは何歳まで?
おしゃぶりを使用する期間については、小児科医や小児歯科医など専門家の意見として、2歳半までにやめさせたほうがいいといわれています。(※1)。
噛み合わせについては、 2歳頃までに使用をやめれば発育とともに改善されるとされています(※1)。
ただし急におしゃぶりを取り上げると、赤ちゃんは不安になってしまいます。
突然やめさせるのではなく、1歳を過ぎた頃から少しずつ使う回数を減らし、2歳頃を目標に使わなくなることを目指しましょう。
子どもが興味を持つ遊びやおもちゃで気を紛らわせたり、親子のコミュニケーションの機会を増やしたりして、おしゃぶりをやめる準備をするようにしていけるといいですね。
おしゃぶりはメリット・デメリットを踏まえて使おう
おしゃぶりを使用する際は、今回ご紹介したメリットとデメリットをしっかり理解した上で使うようにしましょう。おしゃぶりについて気になることがあったら、かかりつけの小児科や小児歯科などで相談してみてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 公益社団法人 日本小児歯科学会「おしゃぶりについての考え方」