赤ちゃんがギャン泣きし始めるとなかなか泣き止まず、途方に暮れてしまいますよね。どうして赤ちゃんは、あそこまで大泣きするのでしょうか?
今回は、赤ちゃんのギャン泣きの原因と対策についてまとめました。
新生児期のギャン泣きの原因は?
生まれてすぐの新生児期は以下のような理由で大泣きします。
● お腹が空いたときやおむつが濡れたとき
● 暑かったり寒かったりするとき
● かゆいとき、大きい音が鳴ったとき など
生理的な要求や不快があると大泣きしやすく、生後1ヶ月を過ぎると赤ちゃんの泣き方が変わってきます。
生後1ヶ月以降の赤ちゃんがギャン泣きする原因は?
赤ちゃんは感情の芽生えとともに、日常のあらゆる場面で「泣く」ことでさまざまな感情を自己主張していきます。
生後1ヶ月を過ぎると以下のような原因でギャン泣きをします。
心の揺れが大きい
赤ちゃんが人見知りを覚えたころ、一番安心できるママやパパから離れる不安と「相手に近づきたい、知りたい、見たい」という好奇心の間で赤ちゃんの心は大きく揺れています(※1)。この揺れを「泣く」という行為で表現します。
恐怖と好奇心の揺れ幅が大きいほど、赤ちゃん自身も自分の感情をコントロールできなくなり、激しく泣くようになります。
思い通りにならない
赤ちゃんにも怒りの感情があります。「自分がしてほしいことをママやパパがしてくれない」「眠いのに眠れない」「暑い、寒い」「さみしい」など、思い通りにならないときに、その怒りを泣いて表現します。
赤ちゃんは、思いどおりになるか自分の気が済むまで泣き続けます。
体調不良
赤ちゃんがギャン泣きするときには、もちろん生理的な理由も考えられます。
特に、普段はあまりギャン泣きすることのない赤ちゃんが、突然激しく泣き出したり、長く泣き止まなかったりするときには、身体が痛い、熱があるなど体調不良の可能性もあります。
赤ちゃんがギャン泣きしたときの対処法は?
赤ちゃんがギャン泣きしてしまったら、以下のような対処法を試してみるのがおすすめです。
抱っこして背中トントン
まずは、抱っこして安心させてあげましょう。
ギャン泣きしている赤ちゃんは、身体を反り返らせて暴れたり、思わぬ動きをすることもあります。ケガのないよう、しっかりと抱いてあげてください。
優しく声をかけてあげて、背中をトントンしながら抱くと効果的です。赤ちゃんは胎内にいるときにママの心音を聞いて過ごしていたので、そのリズムを思い出して気持ちが落ち着くようです。
あえて泣かせて感情を発散させる
手がつけられないほど激しく泣いているときには、泣きたいだけ泣かせてあげるというのも手です。感情を発散させて気が済めば、泣き止んでくれることもあります。
体をチェックする
いつもと泣き方が違うなど、「なにか変だな?」と思ったら、熱を測り、体に発疹などができていないかをチェックしましょう。おむつの中や脚の爪の先まで確認してくださいね。
顔色が悪い、反応が鈍い、ぐったりしているなどの症状がある場合は、すみやかに病院を受診しましょう。
赤ちゃんをギャン泣きさせないための対策は?
ギャン泣きにまで至ると、すぐに泣き止ませるのはなかなか難しいですが、以下のような方法を試してみましょう。
早めに抱っこして安心させてあげる
初めての場所、初めての人に会うときには、その前から抱っこしておくなど、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせてあげてから臨みましょう。
人見知りする赤ちゃんは「相手に接近したい」気持ちがある反面、「怖いから離れたい」と葛藤しています。
「抱っこしているから大丈夫だよ」と伝えることで、言葉は理解できなくても怖がりな気持ちがきっと和らぎますよ。
気分転換に外へ連れ出す
家の中で親子で二人きりの状態が続くと、泣いたときに気分が変わらず、泣き止むきっかけが見つからないことも。
「ぐずりはじめたな」と思ったら外に出て、いろいろなものを見せてあげると赤ちゃんの興味がうつり、ご機嫌になりやすいです。
ドライブするときの車の走行音やベビーカーから見る景色が好きな赤ちゃんも多いですよ。
好きな音楽を聞かせる
外が寒い、大雨が降っているなど、外に出られない状況のときは、音楽を流してみましょう。
赤ちゃんは音に敏感で、好きな音楽を聴くと気分が変わることも多いものです。
「泣きそう」と思ったら、すかさず音楽や動画、音の鳴るおもちゃで聴覚を刺激してあげてください。ママやパパが歌を歌ってあげるのもいいですね。
赤ちゃんのギャン泣きは成長の証
赤ちゃんは個人差が大きいので、この他にも、お腹が空いた、おむつを替えてほしいなどの理由でギャン泣きする赤ちゃんもいます。
あまりに大泣きされると気分が滅入ってしまうかもしれませんが、この「泣いて感情や思いを伝える」という行動は、赤ちゃんの成長過程で必要なことでもあります。
赤ちゃんとコミュニケーションをとりつつ、赤ちゃんの伝えたいことを探してみてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
【参考文献】
※1 科学技術振興機構(JST)「赤ちゃんの『人見知り』行動」