1歳半頃は、動きや言葉にも少しずつバリエーションが出てくると同時に、発達の程度に個人差も出てきます。1歳半健診(1歳半検診)を忘れずに受診して、成長の状況を確認することが大切ですよ。
今回は、1歳半健診の持ち物や事前に知っておきたいチェック項目などをご紹介します。
1歳半(1歳6ヶ月)健診とは?
1歳半健診とは、母子健康法により定められた、すべての1歳6ヶ月児を対象とした健康診断のことで、無料で受けられます(※1)。定期健診なので必ず受けるようにしましょう。
自治体の保健センターなどで行われる集団健診であることがほとんどで、これまでに行ってきた乳児健診に加え、歯科健診も行われます。
1歳半健診を行う目的は?
1歳半健診の主な目的は以下です(※2)。
● 心と体の健康・発達を確認し、個別指導や継続的なサポートにつなげる
● 食生活のリズムや習慣、行動を確認し、サポートする
● 虫歯予防のため、仕上げみがき習慣や歯の状況を確認する
1歳半健診では、体の発達だけではなく、精神的な成長や言葉の発達を診てもらうようになります。
さらに、歯の健診を行って虫歯を予防したり、生活習慣の自立や栄養・育児の指導を行われることもあります(※1)。
1歳半健診で子どもの発達状況を把握し、専門家に直接相談したり、アドバイスをもらったりできるので、今後の子育てに活かしてくださいね。
1歳半健診に必要な持ちものは?
多くの1歳半健診では時間帯によってはとても混み合い、順番を待つ時間が長くなることもあります。以下の持ちものを参考に、当日忘れものがないよう準備しておきましょう。
持ちもの
● 母子手帳
● 事前に送付された問診票(記入を済ませておく)
● おむつ一式(おむつ2~3枚・おしりふき・おむつ替えシート)
● ガーゼやタオルなどの汗やよだれ拭き
● 赤ちゃんの飲みもの(お茶や水を飲んでいれば水筒やマグ)
● 汚れものを入れるビニール袋
● 普段使用している歯ブラシ
自治体ごとに持ちものが異なるので、問診票と同封されているお知らせをよく確認した上で準備してくださいね。
1歳半健診の内容とチェック項目は?
1歳半健診の内容は、自治体によって多少内容が異なりますが、基本的な内容は厚生労働省によって決められています。主な項目は以下の通りです(※1)。
身体面の発達・健康状態のチェック
身長、体重、頭囲、胸囲、大泉門(頭頂部にある頭蓋骨のつなぎ目)の塞がりの有無、胸とお腹の聴診・触診、口腔内・陰部などのチェックがあります。歯磨き指導・栄養指導などが追加されることもあります。
また、歩行ができるかどうかの確認もあります。
精神面の発達のチェック
言葉がどのくらい理解できているか・手指はどのくらい発達しているかなどをチェックします。
問診
あらかじめ配布された用紙に普段の様子(1日の生活リズム、食事・おやつの内容、遊び、歯磨きの様子など)について記入しておき、当日はこの用紙をもとに保健師との簡単な面談が行われます。
1歳半健診で言葉や積み木がチェックされるの?
1歳半健診では、具体的には以下のような項目を確認されます。
積み木やページめくり
積み木やページめくりは、主に指先の発達をチェックする意味があります。積み木を何個か積ませたり、絵本のページをめくらせたりしてチェックします。
指差し
指差しは、相手の話す言葉がどのくらい理解できているかをチェックする意味があります。
簡単なイラストを見せつつ「ワンワンはどれ?」「ブーブーはどれ?」と聞いて指差しをするか、話しかけられている人に対してコミュニケーションをとろうとしているかなどをチェックします。
言葉
「ママ」「マンマ」「パパ」「ワンワン」「ブーブー」「ナイナイ」など、意味のある言葉がいくつ話せるかを確認します。たくさんではなく、3語以上話せたら良いとされています(※3)。
言葉が話せなくても、ママやパパの話す言葉が理解できていれば、「様子を見ましょうね」と言われることが多くなります。
1歳半健診に行くときのポイントや心構えとは?
1歳半健診に行くときのポイントは、普段から気になっていることも問診票に記入しておくことです。
あらかじめ用紙が配布されていれば、問診票に普段の様子(1日の生活リズム、食事・おやつの内容、遊び、歯磨きの様子など)について記入しておきましょう。
乳幼児健診は、育児の悩みや気になることを専門家にチェックしてもらうことが目的のひとつなので、子どものありのままの様子を記入してくださいね。
当日、質問したい内容を忘れないように、問診票のメモ欄に普段から気になっている育児のことや発育について記入しておくと聞き漏れがなく安心ですよ。
1歳半健診でひっかかったら?発達障害もわかる?
例えば、子どもがうまく指差しできなかったときも、たまたま機嫌が悪い、慣れない健診会場の雰囲気に緊張してしまったということもあります。
明らかな異常がある場合は別として、検査をしてくれる人もそのあたりはきちんと理解していますよ。
たいていは様子見となり、2〜3ヶ月後に再度確認となるので、そのときに問題がなければ大丈夫です。
この健診で発達の遅れや発達障害を断定されるわけではありません。赤ちゃんの成長には個人差があり、まだまだこれからも成長していきます。
赤ちゃんをより良くサポートする方法を教えてもらえるので、今後の育児に活かしてくださいね。
もし疑いがある場合は、様子を見るため、またはより詳しい検査のため、専門的な機関を紹介されることもあります。
しばらく様子を見ても不安が解消されないようであれば、改めて保健センターの保健師やかかりつけの小児科医に相談してみましょう。
1歳半健診で育児の不安を解消しよう
この時期の子どもの成長には個人差があります。健診は子どもの今の状態を客観的にチェックするためのものなので、他の子と比べたりせず、ゆったりと構えて健診に臨めるようにしましょう。
1歳半健診は、日頃の育児の悩みや不安を解決する絶好の機会です。わからないことがあればどんどん質問してくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
【参考文献】
※1 厚生労働省「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き」
※2 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査事業 実践ガイド」
※3 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター「改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」