妻が妊娠をしたら、夫は何をするべきなのか、妻に対してできることがあるのかを知りたい男性も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、妻が妊娠したら夫が知っておくべきこと・やるべきこと7つを詳しくご紹介します。
● 2. 妊娠中に気をつける食べ物を知る
● 3. 夫も感染症対策を徹底する
● 4. 赤ちゃんのために夫も禁煙!
● 5. 妊娠中の家事分担を見直す
● 6. 夫も妊婦健診・両親学級に行く
● 7. 夫も育休取得を検討する
妻が妊娠したら夫が知るべきこと
1. 妊娠中の妻の心身の変化
ホルモンバランスの変化、栄養や水分不足、血液量の増加や子宮が大きくなるなど、妊娠すると女性の体内ではさまざまな変化が起こります。
そうした体の変化によって、体調不良や情緒不安定など色々な症状が引き起こされます。妊娠中の妻に起こる心身の変化を夫も知っておくことで、妻のサポートができますよ。
特に妊娠初期は、下記のようなトラブルに悩まれる妊婦さんが多いです。
つわり
妊娠すると多くの人が「つわり」を経験します。胸やけや胃の不快感があり、ゲップがでたり、常に吐き気がしたりするような状態です。
何を食べても吐いてしまう「吐きつわり」や、常に食べていないと気持ち悪くなる「食べつわり」など、症状の種類や出るタイミング、程度は人それぞれです。
貧血
妊娠すると、血を作るのに欠かせない鉄分が赤ちゃんの発育に優先的に使われます。そのため妊婦さんは、貧血になりやすい状態です。
貧血になっても多くは無症状ですが、疲れやすい、めまい、息切れなどの症状が現れることもあります。
お腹の張り
妊娠すると、子宮の収縮や、子宮を支える靭帯や子宮広間膜が引っ張られることなどで、お腹が張ることがあります。
お腹の張りだけであれば問題ないこともありますが、痛みや出血を伴うときは切迫流産の可能性も考えられるので、すぐに病院の受診が必要です。
情緒不安定
妊娠するとホルモンバランスや生活環境が変化する影響で、イライラしたり悲しくなったりと、精神的に不安定になりやすくなります。
また妊娠初期は、妊娠を喜ぶ気持ちがある一方で仕事と家庭の両立など産後の生活に不安を感じたりと、気持ちが不安定になる時期でもあります。
自分ではコントロールすることが難しいので、夫は「今はそういう時期なんだ」と理解して気持ちに寄り添うことが大切です。
その他のマイナートラブル
上記のほかにも、以下のような症状があらわれることがあります。
● 肌荒れ
● 頻尿
● 便秘
● おなら
● 下痢
● むくみ
● 足がつる
● こむらがえり
● 疲れやすい
● 昼でも眠くなる
● 物忘れが多くなる
など
妊娠中期・後期になると、動悸や立ちくらみ、腰痛、尿もれなどのマイナートラブルに悩まされることも増えてきます。
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妻が妊娠したら夫が知るべきこと
2. 妊娠中に気をつける食べ物・飲み物
お腹の赤ちゃんの発育に影響が出る可能性があることから、妊娠中に食べてはいけない、過剰摂取に気をつける必要がある食べ物や飲み物があります。
妻だけでなく夫も正しい知識を持つことで、毎日の食事を安心して楽しみましょう。
妊娠中に食べてはいけない食材
基本的に妊娠中は「生もの」を避けてください。
【肉類】
● 生ハム
● ナチュラルチーズ
● 肉や魚のパテ
● レバ刺し
● ユッケ
● 馬肉
● レアステーキなど、加熱不十分な肉
【魚介類】
● スモークサーモン
● 加熱不十分な二枚貝や肉類
【卵、乳製品】
● 生卵
● 未殺菌牛乳
● 低温殺菌が行われていない乳製品 など
妊娠中のリスク①リステリア食中毒
リステリア菌は4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも耐えて増殖することができる非常に強い菌で、妊婦さんをはじめとした免疫機能が低下している人は、特に感染しやすいとされています(※1)。
一般の人がリステリア食中毒を発症しても多くは軽症で、自然に治まります。しかし妊婦さんが感染すると、胎盤を通して胎児にも感染し、流産が起きたり生まれてきた赤ちゃんに影響が出たりすることがあるので、注意が必要です(※1)。
妊娠中のリスク②トキソプラズマ
妊婦さんがトキソプラズマに感染すると、6~80%の確率で胎盤を通して胎児に感染し、そのうち約10%に「先天性トキソプラズマ症」があらわれます(※2)。
先天性トキソプラズマ症になると、生まれてくる赤ちゃんに脳性麻痺や髄膜炎などの症状が見られるほか、流産や死産のリスクも高まります。
妊娠中のリスク③食中毒
食中毒は胎児に直接影響を及ぼすものではありませんが、食中毒の症状の1つである激しい下痢が起こると、子宮収縮を促し、流産や切迫早産につながるリスクが高くなります。
妊娠中に過剰摂取を避けたい食材
魚介類の一部
● マグロ類(本マグロ、インドマグロ、メバチマグロ、クロカジキ、メカジキ、マカジキ)の料理や加工食品
● 金目鯛やムツなどの深海魚
一部の魚に含まれる「メチル水銀」という有害物質は、妊婦さんが大量に摂取すると胎盤から胎児に伝わって、発育に悪影響をもたらす危険があります(※3)。
ただし妊娠中に絶対に食べてはいけないというわけではなく、量や頻度に気をつければ食べても問題ありません。一例ですが、量の目安は以下の通りです(※3)。
◇インドマグロ、マカジキ:1週間に約80g/お刺身1人前もしくは切り身で1切れ
◇本マグロ、メバチマグロ、金目鯛:1週間に約40g/お刺身半人前もしくは切り身で半切れ
(お刺身の1人前/切り身1切れを約80gとして)
レチノールを含む食材
● レバー
● うなぎ
● あなご
● ホタルイカ
レバーは動物性のビタミンA(レチノール)を多く含み、過剰に摂取すると胎児の発育への影響が心配されます。特に胎児への影響が大きい、妊娠初期の摂取量には注意が必要です(※4)。
妊娠中の1日の摂取上限量は、鶏レバーや豚レバー:1日4.6~6gまでです(※4)。
妊娠中に過剰摂取を避けたい飲み物
● コーヒー
● 紅茶
● 緑茶(煎茶、玉露、抹茶、番茶、玄米茶、ほうじ茶)
● ウーロン茶
● コーラ
● ココア
● 栄養ドリンク
胎児への影響についてまだはっきりとは分かっていませんが、妊娠中にカフェインを摂りすぎると、流産や低出生体重児のリスクを高める可能性があるという研究結果があります(※5)。
カフェインの効果は体質によって異なり、日本では妊婦さんの1日のカフェイン摂取上限量は定められていません。しかし、欧州食品安全機関や英国食品安全庁は1日200mgまで、カナダ保健省は1日300mgまでという上限を設定しています(※5)。
妊娠中は1日にコーヒー1〜2杯程度にとどめておき、なるべくカフェインレスの飲み物を選ぶと安心です。
妻が妊娠したら夫がやるべきこと
3. 感染症対策を徹底する
妊娠中の女性は免疫力が落ちているため、感染症にかかりやすくなっています。また妊娠中は、赤ちゃんに影響を与える可能性を考慮して服用できない薬や、接種できないワクチンもあります。
夫から風邪などをうつしてしまわないように、感染症対策を徹底しましょう。手洗い・うがい・マスクの着用など基本的な予防が大切です。
母子感染のリスク
感染症の中には、母体が感染することでお腹の赤ちゃんも感染し、流産や早産を引き起こす危険があるものもあります。
妊娠中に気をつけたい主な感染症は以下の通りです。
● 風疹
● B型肝炎
● C型肝炎
● ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
● 成人T細胞白血病
● 梅毒
● B群溶血性レンサ球菌(GBS)感染症
● 性器クラミジア感染症
特に風疹は、ママが妊娠中にはじめて風疹ウイルスに感染し赤ちゃんに胎内感染すると、先天性心疾患や視覚・聴覚障害などの「先天性風疹症候群」を招く恐れがあり、最大限の注意が必要です。
妻の妊娠がわかったら、夫は早いうちに風疹の抗体の有無を確認しましょう。抗体値が低い場合は、すぐに予防接種を受けることが大切です。
性感染症については、性行為の際に必ずコンドームをつけることでリスクを減らすことができます。
妻が妊娠したら夫がやるべきこと
4. 赤ちゃんのために夫も禁煙!
タバコに含まれる有害物質は、子宮や胎盤への血液量を減少させ、赤ちゃんの低酸素状態や、胎盤の老化・機能低下を引き起こし、以下のようなリスクを与えます(※6)。
● 常位胎盤早期剥離
● 前置胎盤
● 流産
● 早産
● 先天異常
● 赤ちゃんの発育遅延
● 乳幼児突然死症候群(SIDS)
妊婦さん自身の喫煙だけでなく、「受動喫煙」でも上記のようなリスクが生まれると言われています(※6)。妻の妊娠をきっかけに夫も禁煙をするか、妊婦さんのいる場所では絶対に吸わないようにしてください。
また妊娠中の飲酒は赤ちゃんに「胎児性アルコール・スペクトラム障害」を引き起こす可能性があるため、妊娠がわかったら飲酒はNGです。
妻が禁酒していることを考えて、夫もなるべく妻の目の前で飲酒をするのは避けたほうが良いでしょう。
妻が妊娠したら夫がやるべきこと
5. 妊娠中の家事分担を見直す
特に妊娠初期はつわりなど体調がなかなか安定しないことが多く、今まで何でもなかった日常の家事などがつらくなる女性は多いです。
また妊娠中期や後期に入るとお腹が大きくなってくることで、立っているだけでもつらいこともあります。
妻の妊娠中は夫が家事を多めに担当するなど、これまでの家事分担を見直してみましょう。特にお風呂掃除や荷物の片付けなど、お腹に負担がかかる家事は夫が担当した方が安心です。
妻が妊娠したら夫がやるべきこと
6. 妊婦健診・両親学級に行く
妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に見るために「妊婦健診」があります。厚生労働省は妊婦健診の標準的な回数を14回として、次のようなスケジュール例を示しています(※7)。
● 妊娠初期~23週:合計4回(4週間に1回)
● 妊娠24~35週:合計6回(2週間に1回)
● 妊娠36週~出産:合計4回(1週間に1回)
これはあくまで一つの目安であり、病院や妊婦さんの年齢などにより妊婦健診の頻度が変わることがあります。
病院によりますが、妊婦健診には夫が付き添うことも可能です。妊婦健診は夫婦のタスクと考えて、なるべく夫も行くようにしましょう。行けない場合は、妻に妊婦健診の様子を聞き、赤ちゃんの成長を気にかけることが大切です。
妊娠中期からは、妊娠中の過ごし方や分娩の進み方、赤ちゃんのお世話などを学べる「両親学級」にぜひ夫婦で参加してみてください。
自治体や病院、企業などが主催していますが、平日のみ開催や早くから予約が必要な講座もあるので、なるべく早めに調べておきましょう。
妻が妊娠したら夫がやるべきこと
7. 育休取得を検討する
近年は育休を取得する男性も増えてきています。「産後パパ育休(出生時育児休業)」は夫も育休を取得しやすいように、従来の育児休業よりもフレキシブルな制度になっています。
夫が必ず育休を取得するべきとは限りませんが、まずは育休取得の検討をしてみることが大切です。
育休を取得する場合は、期間についてしっかり夫婦で話し合い、自身の家庭にとって最適な期間を検討してみましょう。
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監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 厚生労働省「リステリアによる食虫毒」
※2 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第3版』p.219
※3 厚生労働省「これからママになるあなたへ」
※4内閣府 食品安全委員会「ビタミンAの過剰摂取による影響」
※5 食品安全委員会「ファクトシート 食品中のカフェイン」
※6 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響」
※7 厚生労働省「妊婦健診Q&A」