妊娠初期に飛行機に乗っても大丈夫?赤ちゃんへの影響と注意点まとめ

妊娠が判明したあと、近いうちに飛行機に乗る予定があると「飛行機に乗っても赤ちゃんは大丈夫かな」と心配になりますよね。また、妊活中の人は妊娠に気づかず飛行機に乗る可能性もあるかもしれません。

そこで今回は、妊娠初期に飛行機に乗っても大丈夫なのか、赤ちゃんへの影響や注意点、対策、持ち物などをご紹介します。

妊娠初期に飛行機に乗っても大丈夫?航空会社の規定は?

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一般的に、飛行機は気圧などが適切に調整されているため、妊娠中は体調が安定していれば搭乗しても問題ないといわれています(※1)。妊娠していたことに気づかずに乗っていた場合でも、大きな心配は必要ありません。

ただし妊婦さんによって健康状態にも個人差があるので、飛行機で移動する予定がある場合は搭乗前に必ずかかりつけの医師に相談し、許可をもらうようにしてくださいね。

移動先で何か起こったときに受診できる病院も確認しておきましょう。

各航空会社の規定は?診断書は必要?

妊娠初期に飛行機に乗る場合、医師の診断書は必要はありません。

ただし、里帰り出産などで出産予定日が近い時期に搭乗する場合は、「飛行機での旅行を行うにあたり、健康上の支障がない」と医師が明記した診断書を提出するか、もしくは医師が同行する必要があります。

下記の各航空会社の国内線における規定を参考にしてくださいね。

航空会社JAL、ANA、スカイマーク、スターフライヤー、ソラシドエア、AIR DOの規定(※2,3,4,5,6,7)

⚫︎出産予定日を含め8日以上28日以内の搭乗:診断書が必要
⚫︎出産予定日を含め7日以内の搭乗:診断書と医師の同行が必要

航空会社peachの規定(※8)

⚫︎出産予定日を含め15日以上28日以内の搭乗:診断書が必要
⚫︎出産予定日を含め14日以内の搭乗:診断書と医師の同行が必要

航空会社Jetstarの規定(※9)

● 妊娠36週以降:すべてのフライトにおいて診断書が必要
(ただし飛行時間が4時間以上のフライトは、妊娠36週まで搭乗可能)

国際線の場合は規定が異なることがあるので、各航空会社のホームページをチェックしましょう。

また、各航空会社で妊婦さんに対するサポート体制が用意されていますが、詳しい規定や事前に受けられるサービスについても確認しておくと安心です。

妊娠初期に飛行機に乗ったときの赤ちゃんへの影響は?

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妊娠初期に飛行機に乗る際は、放射線によって赤ちゃんに何か影響があるのではないかと不安になりますよね。

基本的に、搭乗前の検査で通る金属探知機のゲートは、放射線を使用していないため心配ありません。また上空は地上より放射線の濃度が高くなりやすいですが、赤ちゃんへの影響を心配する程度ではないとされています。

例えば、東京とニューヨークを飛行機で往復したときの放射線被ばく量は0.11〜0.16mSV程度です(※10)。

しかし日本産科婦人科学会のガイドラインでは、「50mGy(≒50mSV)未満の被ばく量であれば安全」であり、妊娠初期における流産や胎児の発育不全などのリスクも少ないとされています(※11)。

心配なことがあれば、遠慮せずかかりつけ医に相談するようにしてくださいね。

妊娠初期の飛行機で起こりやすいトラブルは?

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妊娠初期に飛行機に乗る際は、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

気圧の低下による体調変化

上空では、気圧と酸素濃度が低下する影響で、次のような体調変化が予想されます。

● つわりの悪化
● 頭痛
● 頻尿
● 吐き気
● めまいや立ちくらみ

エコノミークラス症候群

搭乗中は、長い時間同じ体勢でいることで足の血流が悪くなり、血が固まりやすくなります。血の固まりが全身をめぐると、足や胸の痛み、呼吸困難などにつながる「エコノミークラス症候群」を引き起こします(※12)。

特に妊婦さんはエコノミークラス症候群になりやすく、初期症状として、片方の脚に腫れや痛みが出てくる、脚が赤くなるなどがあげられます(※13)。

妊娠初期の搭乗の際のトラブル対策は?

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妊娠初期に飛行機に乗った際のトラブル対策として、以下のことを行いましょう。

水分をこまめに摂る

水分が不足すると血の固まりができやすくなり、エコノミークラス症候群の一因となります。特に機内は乾燥しやすいので、こまめな水分補給を意識するようにしましょう。

ゆったりとした服装をする

体を締め付けるような服を着ると、血行が悪くなる原因となります。胸やお腹周りがゆったりとした服を着たり、搭乗中は靴を脱いでスリッパを着用したりなどの工夫をしてくださいね。

適度に体を動かす

血流をよくするために、定期的に体を動かすようにしましょう。かかとの上げ下ろし運動や、ふくらはぎを揉む・足首を回すなどの軽い運動がおすすめです。

姿勢をこまめに変えたり、30分〜1時間おきにトイレに行って足を動かしたりするのも効果的ですよ。

予約する席を工夫する

つわりの悪化や急な体調不良に備え、すぐ席を立てる通路側や、トイレが近い席を予約しておきましょう。

妊娠初期の飛行機・持ち物&心構えチェックリスト!

チェックリスト ポイント

妊娠初期に飛行機に乗る際は、以下の持ち物と心構えを参考に、入念な準備をしてくださいね。

持ち物チェックリスト

□ 母子手帳
□ 健康保険証
□ 緊急連絡先(かかりつけの病院や連絡してほしい人)を書いたメモ
□ エチケット袋
□ マタニティマーク

事前準備は?

まず前提として、妊婦さんは体調が最優先です。搭乗直前に体調が万全でない場合は、万が一のことを考え、搭乗をキャンセルするようにしてください。

搭乗中も、疲れや体調の変化を感じたら遠慮せずに乗務員に相談しましょう。

事前に航空会社が用意している妊婦さん向けのサポートを確認しておいたり、行き先付近で受診できる産婦人科を確認しておいたりすると、より安心ですよ。

ninaru導線(あきさん追加)

監修医師:産婦人科医 藤東 淳也

産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。

※1 株式会社南江堂 『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』p.74~75
※2 JAPAN AIRLINES「妊娠中のお客さま」
※3 SKYMARK AIRLINES「【国内線】現在、妊娠中です。飛行機に乗ることはできますか?」
※4 ANA「妊娠中のお客様[国内線]」
※5 STARFLYER「妊娠中のお客様」
※6 Solaseed Air「ご妊娠中・お子様連れのお客様」
※7 AIR DO「お子様連れ・妊娠中のお客様」
※8 peach「妊娠中やお子様連れのお客様」
※9 Jetstar「妊娠中/新生児を連れてのご搭乗について」
※10 環境省「自然・人工放射線からの被ばく線量」
※11 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」
※12 厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防Q&A (一般の方々のために) 」

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