育児に少しずつ慣れ始める生後1ヶ月頃に、赤ちゃんとママの産後の様子を診るための1ヶ月健診があります。それ以降も定期的に赤ちゃんの成長やママの育児状況を把握するために「乳幼児健診」を受けますが、実際にはどんなことをするのでしょうか。
今回は、赤ちゃんが受ける乳幼児健診について、目的や内容、費用や行う時期などをご紹介します。
赤ちゃんの乳幼児健診とは?
赤ちゃんは生まれたあと定期的に「乳幼児健康診査」という健診を受ける必要があります。一般的には「乳幼児健診」や「乳児健診」と呼ばれています。
乳幼児健診は、子育ての支援と赤ちゃんの健やかな成長・発達の確認、病気の早期発見のために行われます。
健診のときには、ママやパパが普段気になっていることを小児科医や保健師に相談することができます。
定期的な乳幼児健診は、保護者の不安を緩和する精神的な支えにもなる貴重な機会にもなっていますよ。
赤ちゃんの健診(乳幼児健診)はいつ受けるの?
乳幼児健診はお住まいの自治体によって回数が異なりますが、法律で必ず実施すると決まっている健診は1歳6ヶ月、3歳の2回です(※1)。
ほとんどの自治体では生後3〜4ヶ月児健診、8割近い自治体では生後9〜10ヶ月児健診、約半分の自治体では6〜7ヶ月健診も行われていています(※2)。
乳幼児健診を実施する時期や内容、集団・個別などの場所は自治体によって大きく異なります。
定期の健診時期
● 1歳半児健診
● 3歳児健診
任意の健診時期
● 1ヶ月児健診
● 2ヶ月児健診
● 3〜4ヶ月児健診
● 5ヶ月児健診
● 6~7ヶ月児健診
● 8ヶ月児健診
● 9~10ヶ月児健診
● 11ヶ月児健診
● 12ヶ月児健診(1歳健診)
● 2歳児健診
● 4歳児健診
● 5歳児健診
● 6歳児健診
赤ちゃんの健診(乳幼児健診)はどんな内容?
乳幼児健診は、赤ちゃんの身長・体重・胸囲・頭囲を測定し、成長曲線と照らし合わせながら成長の具合をみてもらえます。
運動能力や精神面を含めた発達、病気の有無に関しても確認されます。
健診時期によって重視する内容が異なるので、以下の内容を参考にしてみてくださいね(※2)。
1ヶ月児健診(任意)
1ヶ月児健診は自治体主体ではなく、出産した病院で行われることが多いです。
母乳・ミルクのあげ方や量、音への反応、へそなどの状態、黄疸や先天性股関節脱臼、心臓の雑音がないか、モロー反射の様子などを診てもらいます。
母乳の場合はビタミンK不足による赤ちゃんの出血予防のため、シロップ薬が処方されることもよくあります。
育児についての不安があれば、気軽に相談してみましょう。
3~4ヶ月児健診(定期)
首のすわり具合、音への反応、肌の状態、先天性の病気がないかなどのチェックがされます。
「あやすと笑うか」「音に反応するか」「目でものを追うか」などが発達具合を測る指標にとなっています。
赤ちゃんについて何か気になることがある人は相談してみましょう。自治体によっては離乳食の説明があることもあります。
6~7ヶ月児健診(任意)
寝返りやお座りができるか、離乳食の回数などの確認が行われます。また、おもちゃへの関心、人見知りがあるかなど、精神的な発達も確認します。
生後6ヶ月頃になるとママからもらった免疫が弱くなるので、感染症についての指導が行われることもあります。
9~10ヶ月児健診(任意)
つかまり立ち、ハイハイなどの運動機能の発達具合、歯の生え具合、喃語(ダダ、ババなどの言葉)、離乳食の様子などを診てもらいます。
また、体が倒れそうになった時に手を伸ばして体を支えようとする「パラシュート反射」の確認や、予防接種の進み具合なども確認されます。
12ヶ月児健診(任意)
ひとり立ち、伝い歩きなど運動機能の発達と、簡単な「ママ」「パパ」などの言葉が言えるか、おもちゃで遊ぶかなど周囲に対する関心があるかを確認されます。
ママやパパは夜泣きなどで睡眠不足が続き、ストレスや不安が溜まりやすい時期なので、悩みごとがあれば相談してくださいね。
1歳半児健診(定期)・2歳児健診(任意)
心音や腸の動き、皮膚の状態に異常がないか、視力・聴力などをチェックします。
ひとり歩きができるか、小さいものを掴めるか、物の名前がわかるか、指さしができるか、名前を呼ばれると振り向くかなど、言葉や音への反応を細かく確認します。
また、歯の本数や生え方、虫歯がないかをチェックし、歯の磨き方の指導があるかもしれません。
3歳児健診(定期)
視力や聴力のテスト、お医者さんによる問診、生活習慣の確認、言語・精神・運動発達の確認、社会性の発達確認、歯の検査や尿検査などが行われます。
例えば、名前と年齢が言えるか、積み木が指定の数まで積めるか、小さい物を指先でつまめるかなどを確認します。
イヤイヤ期などが続いているなど、子育てに悩みがあれば相談してみましょう。
赤ちゃんの健診の費用は自費?
乳幼児健診は自治体によって助成内容が違うため、有料(自費)と無料(助成)の場合があります。母子手帳と一緒にもらった「乳幼児健康診査受診票」を確認してみてくださいね。
基本的には、定期健診は無料、自治体が主催の任意健診は無料または一部負担があるケースがほとんどです(※2)。
赤ちゃんの健診はどこで受けるの?
乳幼児健診の受診先は、病院と市町村の保健センターの2つがあります。どちらで健診を受けるのかは、自治体や受ける年齢で異なります。
市町村の保健センターでは、「集団健診」といって、複数の赤ちゃんが同じ場所に集まり、一緒に健診を受けることもあります。
主に保健センターでする乳幼児健診
● 3~4ヶ月、1歳半、3歳児健診
国や自治体が負担する場合は、指定した日に市町村の保健センターで受けることが多いようです。受診票が配布された場合は、病院で受ける場合もあります。
主に病院医療機関でする乳幼児健診
● 1ヶ月児健診
出産した病院でママの1ヶ月健診と合わせて受けるほうが多いようです。
● 6~7ヶ月、9~10ヶ月、12ヶ月(1歳)、2歳児健診
基本的には 小児科で受けることが多いです。予約が必要な場合や、曜日の指定がある病院もあるので、行く前に確認をしましょう。
赤ちゃんの健診の前に気になることをチェックして
乳幼児健診は、専門家に相談できる貴重な機会です。事前に赤ちゃんの成長過程を把握し、気になっていることや、育児への不安やストレスなどがあれば、先に母子手帳に記録しておきましょう。
まとめておけば、自分でも状況を把握できる上に、健診もスムーズに進むのでおすすめですよ。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 厚生労働省「乳幼児健康診査事業実践ガイド」
※2 厚生労働省「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き」