【赤ちゃんのアレルギー検査】受けるべき?何歳から?どんな内容?

離乳食が始まると「アレルギー」が心配になるママ・パパも多いかもしれませんね。アレルギーの検査はいつから受けられて、どのように検査するのでしょうか。

今回は、赤ちゃんのアレルギー検査について、受ける必要があるのか、検査の方法や内容、いつから受けられるのかをご紹介します。

赤ちゃんのアレルギーの原因と症状は?

食物アレルギー 赤ちゃん 湿疹

赤ちゃんのアレルギーは、特定の食べ物を食べたり触れたりした後に免疫が過剰に反応がして症状があらわれる「食物アレルギー」であることが多いです。

食物アレルギーの原因となる食べものはさまざまありますが、0歳では鶏卵、牛乳、小麦粉がほとんどで、1歳になるとナッツ類、魚卵(いくら)、落花生(ピーナッツ)なども加わります(※1)。

赤ちゃんに食物アレルギーが起こった場合、次のような症状があらわれます(※2,3)。

皮膚症状

かゆみ、湿疹、あかみ、じんましん、腫れ、かゆみ、ヒリヒリ・ちくちくする など

呼吸器症状

咳、息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒュー(ぜん鳴)、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の違和感、飲み込みにくい など

消化器症状

吐き気・嘔吐、腹痛、下痢、血便 など

粘膜症状

白目の充血や腫れ、涙、かゆみ、まぶたの腫れ、口の中や唇の違和感・腫れ など

神経症状

頭痛、元気がなくなる、ぐったりする、意識がもうろうとする、尿や便を漏らす(失禁) など

循環器症状

血圧低下、手足が冷たい、 顔色・唇や爪が白い、脈が速い、脈が不規則 など

このような症状が1つだけあらわれることもあれば、急に複数の症状があらわれることもあります。

複数の症状に加えて血圧低下や意識障害を伴うことを「アナフィラキシーショック」と呼びます。

赤ちゃんに食物アレルギーが起きたらどうする?検査は必要?

赤ちゃんが特定の食べものを食べてアレルギー反応がみられたときは、医師の診断をもとに、アレルゲンの可能性がある食べものを「必要最低限の除去」となるようにして経過観察していきます(※2)。

必要最低限の除去とは、以下のことを意味します。

● 食べると症状が誘発される食べものだけを除去する
● 原因となる食べものであっても、医師が診断した食べられる範囲の(症状が誘惑されない)の量までは食べることができる、また、加熱するなど調理方法を限定する

皮膚にアレルギー症状があらわれる場合は、上記に加えて適切なスキンケアや環境整備、薬物療法を行って、皮膚症状を改善させます。

ただし、必要最低限の除去や環境整備、薬物療法などを行っても症状が改善しないときは、アレルゲンを特定したり、他にアレルゲンとなっているものがないかを調べたりするための検査を行います。

赤ちゃんの食物アレルギーの検査方法は?

食物アレルギー検査は、一般的に以下の方法・流れで行われます(※2,3)。

問診

アレルギー反応が出たときに何をどのくらい食べたのか、あらわれた症状などの情報をママやパパから聞き取りされます。

検査

血液検査を行い、アレルギーの引き金となる物質がどのくらいあるかを調べます。

血液検査では調べられない食べものが原因であると考えられるときは、「皮膚プリック試験」と呼ばれる皮膚検査が行われます。

アレルゲンと疑われる食べものや調べたい食べものに針を刺し、その針を皮膚に押し当てて、約15分後に膨れた部分の大きさを測定します。

血液検査または皮膚プリック試験の結果は、基本的に陽性・陰性で示されます。

ただし結果が陽性であっても、それだけでは食物アレルギーと診断することはできません。確定診断をするためには「食物経口負荷試験」を行う必要があります。

食物経口負荷試験

アレルギーが確定している、または疑われる食べものをごく少量または複数回に分けてを食べて症状があらわれるかどうかを確認する検査です。

検査の結果によって、アレルゲンとなる食べものの確定診断と安全に摂取できる量を決めることができます。

食物経口負荷試験は、重篤なアレルギー症状があらわれるリスクがあるため、十分な準備が整った病院で安全に実施する必要があります。

実施できる病院は限られているため、かかりつけの小児科などで相談して病院を紹介してもらいましょう。

また、食物経口負荷試験を真似て自宅で試しに食べさせることは非常に危険なので、絶対にやめてくださいね。

赤ちゃんのアレルギー検査はいつから受けられる?

アレルギー検査を受けられる時期について、「生後●ヶ月から」「●歳から」というような明確な基準がなく、病院や医師の方針によって検査できる月齢・年齢は異なります。

生後1〜2ヶ月などあまり月齢が低いと正確な検査結果が出ないこともあるため、早くて生後4〜5ヶ月以降を推奨しているところが多いようです。

しかし、0歳のうちからアレルギー検査を受けられるとはいえ、検査は赤ちゃんに多少の負担がかかります。赤ちゃんにとって何も分からない状態で針を刺されるのは怖いものです。

赤ちゃんにアレルギー症状が出ても、血圧低下や呼吸困難などの重篤な症状を伴っていなければ、すぐに検査が必要なわけではありません。

まずは医師に相談して、アレルギー検査を受けたほうが良いかどうかを判断してもらうといいでしょう。

赤ちゃんのアレルギー検査でアレルゲンを特定したらどう治療する?

血液検査または皮膚検査の結果が陽性で、食物経口負荷試験でアレルゲンが確定した場合、そのアレルゲンを必要最低限避けて、アレルギー反応を起こさないようにします(※2)。

その後、食物経口負荷試験を定期的に受けて、結果によって段階的に食べられる範囲を広げていきます。最終的には、日常摂取量を食べられることが確認できたら除去解除となります。

除去をしている間に間違ってアレルゲンを摂取してしまったり、アレルゲンと接触したりしてアレルギー反応が起きたときは、飲み薬や塗り薬を使って症状を抑えることもあります。

赤ちゃんのアレルギー検査は医師とよく相談して

アレルギーは素人判断が難しいものなので、赤ちゃんに症状があらわれたら小児科やアレルギー科を受診しましょう。検査が必要と診断されたときは、しっかり説明を聞いて受けるか検討してくださいね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。


※1 消費者庁「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」
※2 食物アレルギー研究会「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」
※3 アレルギーポータル「アレルギーについて 食物アレルギー」

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